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ダッジチャレンジャー 必須メンテナンスガイド

かなり丈夫なアメ車ではあるが注意すべきポイントがいくつかある

並行輸入車を購入する際には、購入後の事を考えておく必要がある。車検は?定期点検は?整備は?事故や故障時の修理は?などなどだ。ここではチャレンジャーの整備&修理に関して圧倒的な実績を誇るUGアーバンガレージに、チャレンジャー特有のウィークポイントやオーナーとしては知っておきたい役立つ話を色々と話を伺ってきた。

更新日:2021.02.26

文/田中享 写真/田中享

取材協力/UGアーバンガレージ TEL 072-638-5579 [ホームページ] [詳細情報]

複雑化する現代版チャレンジャーの整備事情

 現代版ダッジチャレンジャーともなれば、メンテナンスという言葉には二つの内容が伴っている。一つは機械的なメンテナンス。いわゆる油脂類やエアフィルター、オルタネーター、バッテリー、タイヤ空気圧etcといった一般メンテナンス事項である。

 そしてもう一つがECU系のトラブル確認を行う時に必要となる電子デバイス系のメンテナンス。現代の車両は、この両者のメンテナンスが必要であり、特に年式が新しくなればなるほど後者の電子デバイス系診断が必要になる。

 ということで、この両者の技能を備えたショップを探す必要があり、この点において圧倒的な実績を誇るUGアーバンガレージに一般メンテナンス事項と電子デバイスを使用した診断について説明してもらった。

 ダッジチャレンジャーに限った事ではないが、現代の自動車の点検や整備、修理を行うには、一般的にテスターと呼ばれるメーカー純正のスキャンツールが必要になる。ダッジを含むクライスラー系の場合『ワイテック2.0(wiTECH2.0)』がそのスキャンツールとなる。

 テスターと聞くと、ある程度アメ車に詳しい人でもGMの『テックツー(TECH2)』の様なオールインワンの診断機を連想すると思うが、現代のテスターは、電子デバイス、PCソフト、オンライン契約の3つがセットになっている。

日本仕様への改善。修理や整備以前に、ヘッドライトやテールライトがアメリカ仕様のままで日本仕様へ変更されていない車両も少なくない。日本の保安基準を満たすための改善が施されていない車両で公道を走行すると道交法違反となる。心当たりのあるオーナーは、信頼できるショップで点検してもらいたい。

エンジンチェックランプが点灯したり、明確な不調を感じなかったとしても、定期的にwiTECH2.0(ワイテック)による診断を行うことをお勧めする。メーカーではECUのプログラムの改善を定期的に行っており、既存のプログラムに対する問題点解決を含む改善されたソフトウェアをリプログラミングする必要があるからだ。

キャリブレーションの更新を行わなかったからといって、すぐに走れなくなったりする事はないが、長く放置しておくと、未更新のプログラムが溜まっていき、最終的には車両が不調になる可能性が高いそうだ。

電子デバイスを使用した行使したシーンをよく見かけるはずだ。

電子デバイスを入手するにも高いハードル

 チャレンジャーの場合で言えば、まず車体のOBD2に接続し、データをPCに送信するためのマイクロポッド2(microPod2)というデバイスが必要であり、転送されたデータを解析するためのワイテック2.0のソフトが必要であり、さらにテックオーソリティ(Tech Authority)という技術整備書閲覧のためのサイトにログインする必要がある。

 このテックオーソリティはアフターマーケットカスタマー向けのサイトであり、閲覧するためには1日、3日、7日、30日、3ヶ月、半年、1年と期間を指定して費用を支払わなければならない。

 ベース機器の購入に約40万円。必要ライセンスの取得に約30万円がかかり、そこにさらにテックオーソリティの費用がかかるのである。

 しかも、2019年からは車体(VINナンバー)ごとにVRS(Vehicle Reprogramming Subscription)と呼ばれる枠(接続権利)を購入しなければフラッシングと呼ばれるプログラミングが出来ないシステムが導入されたので、ワイテック2.0の導入は、金額的に非常に高いハードルとなっている。

主にV8エンジンに多い症状なのだが、ウォーターポンプのガタつきが原因で、水漏れを起こしたりベルトが外れてしまうというトラブル事例が複数件あるとのこと。ウォーターポンプの水漏れは、少量であればチェックランプが点灯しないので、オーナーが気づきにくく、ランプが点いた時点では末期症状というパターンが多いという。

この症状は、6.4L HEMIエンジンにとくに多いそうなので、一度もチェックした事のないオーナーは早急に点検することをお勧めする。

グレードやブレーキの種類に限らず出るトラブルだ。ABSのチェックランプが点灯すると、ABSが作動せずにトラクションコントロールも効かなくなる。タイヤの内側にあるABSセンサーを交換する事で直る場合が多いそうだが、原因がセンサーではない事例もあるそうだ。ABSセンサー不良は、熱やブレーキダストが原因の場合が多いので、根本的な対策は難しいとのこと。

写真はタイヤの内側にあるABSセンサー。

ワイテック2.0を導入している店舗を探す必要あり

 また、こういったスキャンツールというのは、導入したからといってすぐに使いこなせるわけではない。

 車両のトラブルコードを確認したり、データをアップデートする程度の事であれば、PCに明るい整備士であれば出来ると思うが、難しい症例を正確に診断したり、部品交換などの必要に応じた処理を行うためには、勉強と経験の両方が必要となる。

 ダッジチャレンジャーの点検・整備・修理を行う際に、ワイテック2.0が必要不可欠な要素である以上、行きつけのショップを探す際には、ワイテック2.0を導入している事を最低基準として店舗を探す必要があるだろう。

オルタネーター不良が原因でエンジンがかからなくなる場合がある。オルタネーター内部のダイオードが故障する症例が多く、この問題点を改善して品番変更されたオルタネーターが2018年2月にリリースされている。オルタネーターが機能しなくなるとバッテリーが充電されないため、バッテリーあがりを起こしてしまう。2017年型までの車両にお乗りのオーナーで、対策品に未交換の人がいたらチェックしてもらうと良いだろう。

3.6L V6ペンタスターエンジン特有のトラブルとして、オイルエレメントハウジングからのオイル漏れがある。原因はオイルエレメントハウジングの成形不良だと思われる。オーナー的には「急にオイル漏れした」と焦ってしまうそうだが、実際にはオイルが徐々に漏れてVバンクに溜まっていき、最終的に溢れて垂れてくるのだそうだ。オイル漏れを見つけたら早急にショップにて点検してもらう事をお勧めする。

こうした画面にて車両の情報や蓄積されたECU系のトラブル情報を確認することが可能になる。が、あくまで情報閲覧が可能ではあるが、実際の修理はメカニックが行わなくてはならない。

現代版のチャレンジャーをメンテナンスする場合、PCを使い車両情報を確認しつつ、その情報に基づいてメカニックとしての能力を生かし、トラブルを修理していく総合的な能力が必要になる。

初期型3.5リッターV6モデルのパーツが絶版

 ダッジチャレンジャーには大きく分けて7種類のエンジンが存在するが、この中で2009-2010年の初期モデルのみに搭載されていた3.5L V6 SOHCエンジン搭載車は、新品の部品が絶版になってきているそうだ。

 アーバンガレージでは中古部品などで出来る限りの対応をしているそうだが、今後新たにチャレンジャーの中古車の購入を検討している人は、購入後の維持を考えた場合は3.5L V6搭載車は避けた方が無難かもしれない。

チャレンジャーでジープみたいな渡河を敢行するオーナーは存在しないと思うが、ゲリラ豪雨などで、川みたいになった道路を走行する際には注意が必要。ボディ下のエアの吸入口から水が入り、エアクリーナーから水を吸って、最終的にエンジン内部に水が入ってしまうと、異常燃焼が起きてエンジンがブローしてしまう。

「そんなバカな」と思うかもしれないが、アーバンガレージには実際に前記した状況でエンジンを壊してしまった車両が入庫していた。それほど神経質になる必要はないが、大雨の日の運転は控えるのが良いかもしれない。

UGアーバンガレージには10台以上のチャレンジャーがストックされており、これまでにかなりの台数を販売&メンテナンスを行っているだけに、多くの情報が集まっている。

指定のオイル粘度を厳守すべし

 エンジンオイルの交換で注意が必要なのはオイルの粘度だ。オイルフィラーキャップに記載された粘度のオイルを使用するのが基本。

 エンジンの保護のため、若干硬めのオイルを使用するのは良いが、粘度が大きく違うオイルを使用するのはダメ。とくにHEMIエンジンでは、油圧で制御するMDS機能等が備わっているため、オイル粘度が指定と大きく違うと、それだけでチェックランプが点灯することもある。

 V8エンジンの場合、一回のオイル交換で6L程度使用するので、単価の安いオイルを希望するオーナーも存在するようだが、長く愛車に乗り続けたいのであれば、高性能オイルを使用する事をお勧めする。

純正ホイールのエアバルブ部には、各ホイールのタイヤの空気圧情報を『タイヤプレッシャーモニター(TPMS)』に送るためのセンサーが装備されている。ホイールを社外品に交換した場合、このセンサーを移植しない限りはタイヤプレッシャー警告が点灯してしまう。

対策としてはセンサーを移植するのが一番なのだが、その必要性を感じない人であればプログラムを変更することで、システムを無効化することも可能だそうだ。が、タイヤ空気圧は安全にも繋がるだけにセンサーを装着すべきだと考える。

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