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今だから分かる「アメ車らしさ」

ハマーH2 (HUMMER H2) vol.1

そして今乗るからこそ、ノーマルで!

取材車両は2005年モデルのフルノーマル・タイプGと2008年の最終モデル。まだ6リッターエンジンを搭載していたデビュー当時の「らしさ」と、変遷を重ねた最終モデル。これからは「あえてノーマルハマーH2に乗れ」が正しい選択肢だ。

更新日:2016.03.03

文/椙内洋輔 写真/椙内洋輔

取材協力/キャデラック・シボレー葛西 TEL 03-5878-7500 [ホームページ] [詳細情報]

いろんな作用が交わってできた奇跡の1台

「大きいことは、いいことだ」という往年のCMソングは、まさにハマーH2のためにあるような歌だった。出会った途端オーッと仰ぎ見る大きさこそ最大の値打ちであって、それゆえに歓迎されているとも、少なくとも当時は言えた(デビュー当時は)。大きければ大きいほど、やっぱり強そうに見えますもんね。そしてハマーH2の場合は大きさだけではなく、その背後に控える特別なイメージによって、なおさら強さが増幅されていた。ハムヴィことオリジナル・ハマーこと通称H1がそれだ。この存在なくしてはH2も生まれ得なかった。

 米陸軍の機動力の基本として長いこと活躍したのが名作ジープで、それが60年代に新世代のM151 A1・A2に引き継がれた。で、その次の主力機種として国防総省が設計を公募したのが70年代後半のこと。なんとスーパーカー・メーカーのランボルギーニまで応募したので話題も盛り上がったが、結局ライバルを蹴落として採用されたのがAMゼネラル社のHMMWV(高機動多目的装輪車)だった。これが軍ではハムヴィ(HAMVEE)と呼ばれ、民間向けがハマー(HUMMER)となった。 

 余談だが、AMゼネラル社というのは当時ビッグ3の次で頑張ってたアメリカン・モータース(AMC)が軍用車部門だけ独立させた時の社名。それ以前にカイザー社からジープの商標権と製造権も買い取っていたが、そちらは手元に残しておいたので、後にAMCがクライスラーに吸収合併されたことによって、ジープもクライスラーの一員となった。

 一方、AMCと分かれたAMゼネラルは83年にLTV社の傘下に入り、92年にはニューヨークのレンコ・グループに転売され、さらに99年、ハマーの妙な人気に目をつけたゼネラル・モーターズが資本参加し、そこからH2計画が始まったというわけだ。それと同時に、元々のハマーはH1と呼ばれることになる。

 ----------と前置きが長くなったが、要するにGMの商売センスがH2を生んだっのだ。ゴツいH1(そういえばアーノルド・シュワルツェネッガーが愛用して注目度が俄然アップした)のイメージを生かしながら、手軽にハマーのイメージを楽しんでもらおうというのが当初のGMの狙いだったから。そんなビッグSUV用の部品なら、シボレー・タホ(GMCユーコン)やサバーバン(ユーコンXl)からいくらでも流用できる。

 そういう成り立ちだから、航空機用アルクラッド板のボディだとか複雑なハブリダクションなど凝りに凝ったH1とくらべてずっと常識的なH2だが、それでいいのだろう、何よりあのルックスと存在感が欲しかったのだから。

これぐらいお金持ってますよとか、自分はこういうセンスでモノを選んでますよとか、そういうものを世間に自己アピールするために乗っていた方が多かったように思う。いわゆる流行もの理論で。だが、素の状態と向き合えば、大型SUVとしての魅力が何より大きいことに気付くはず。

街中での走行も、慣れてしまえば全然問題ない。ドライバーは左右の感覚が意外と掴みやすいのである。その点で言えば、H3よりも乗りやすいと言えることも。H3は、右端のウインドーのさらに向こう側にフェンダーが張っていて、その感覚までを掴むのに結構時間がかかるのだ。

一時期流行ったきらびやかなハマーカスタムも、今となっては時代に合わない気がするのは筆者だけだろうか? H2は、今更ながらだが、ノーマルで十分に目立つし、やり過ぎない感じのカスタムが中心となっている今、H2こそノーマルで乗るべきアメ車ではないかと思うのである。

先入観なく素の状態と向き合う

 そういうわけでホイールベース3.1m、全長4.83m、そして全幅2m以上もあるハマーH2の「運転席」によじ登る(全高も2m級で、地面からフロアまで1m近くある)と、隣のバスと目線がほとんど同じ。四角いボンネットを除けば、だいたい3トン・トラックに乗った感じと思えば近いかも。それだけで急に逞しくなった気分だ。眼前に広がる風景は、H2そのもの。意図的に仕込んだメーターやシフトレバーなどの遊び心が、現代の落ち着いてしまったアメ車たちと比べると、俄然響いて来る。

 キーをひねると、ボワッと聞き慣れたボルテック6リッターV8の響きがたちのぼる。デザイン優先のシフトレバーは日本人の手には若干大きすぎるが、3、2、1とかあっても基本的にはDレンジしか使うチャンスがないので問題ない。ガッシと掴んでガッコンガッコンとシフトしアクセルを踏むと、まるで岸壁を離れる船のように巨体が動きだす。最高出力320ps、最大トルク50kg-m以上の怪力とはいえ、重量3トンもあるから、深く踏み込んでも一気呵成に、とはいかないが、さりとて鈍重でもなく、走行中に困ることはまったくない。あとは、とにかく大柄なので右側の車体感覚(左ハンドルだから)さえ気をつければ、ごく普通に走れる。

 走行感覚もアメリカンSUVの標準的なところで、高速道路で少し違反する程度のクルージングならとてもフラットな姿勢を保つし、車線変更時の反応もとても素直なので、周囲さえ広ければ大きさも実感しなくなる(料金所は別ですが)。コーナリングも、こんなルックスと体格から想像するよりは素直で扱いやすく、SUVとしては想定の範囲内にある。ただし基本コンポーネンツを旧型タホやサバーバン共有しているために、正直最新のSUVの水準には届いていないのは仕方ないだろう。

 ハマーH2といえば、これまでにカスタムカーばかり取材していたからか、このようなノーマル状態での試乗をした経験がほとんどない。だからか、中古車とはいえ、情けないが乗って感動することが多々ある。H2が登場した頃の時代は、こういった素の走行性能よりもブランド力や広い知名度などで売れていたような気がするから、今乗ると余計な先入観なく向き合えて、非常に好感だ。

 たしかに、乗ると「他車では決して味わえない日常とはかけ離れた生活感覚」を味わわしてくれそうな雰囲気が十分にある。それに何だか強く立派な人間になれたような気になれるのも事実だ。だが、そういったイメージで売れたのは過去の話であり、これからはアメリカンSUVとしてもう一度再評価すべきである。
 過去に、ハマーH1を試乗した経験を持つが、それはもうまったくの別物なのだが、H2はH2としての存在価値があることを確信している。そういう意味でも、一度ノーマル状態で乗ってみることをオススメしたい。当時のアメリカンSUVが十分味わえるから!

6リッターV8エンジンは、3トンを超える車重をものともせず、力強く加速させる。エンジン性能自体に問題はなく、トラブルなどもほとんどないことから、中古車で購入しても比較的安心できる1台だ。

唯我独尊の誰も真似ていない斬新なインテリア。ステアリングやメーター、シフトレバーなど、インパネ周辺のデザインは、ハマー独特のデザインでまとめられている。工作精度自体はたいして高くないが、この世界観が多くの人々に愛されているのは事実である。後期型はこの良さが減少するから、あえて6リッター時代を選ぶのも手。

取材車両はタイプGであるから、3列目シートが装着されており、6名乗車となる。車内保管のスペアタイヤを社外へ移動しているため、荷室も最小限確保されている。

静かなるブームの音が聞こえてきた

 2008年型のハマーH2である。上記で紹介した05では6リッターV8を搭載していたが、こちらは6.2リッターV8が搭載されている。パワーはなんと398ps。しかも6速ATになり、インパネの雰囲気もすべからく変わっている(今っぽいGM系のインパネに)。

 走行距離は44000キロ弱のD車である。しかもホイールが等がオリジナル(超希少でしょ)。聞けばボディのみマッチペイントが施されているということで、それ以外は基本フルノーマル。内装のみ、ナビやモニターが装備されているが、H2オリジナルの雰囲気をまったく変えない範囲での追加装備ということで、今どきビックリするほどのノーマル個体。

 これまでのハマーといえば、ある意味「どこまでやれるか?」的なカスタム車輌がほぼ98%だったが、いまじつは市場ではノーマル車に近い個体ほど売れていると言われている。しかも、そういった個体を求めている方々といえば、これまでのような目立ちたがり屋さんの派手好きさんたちではなく、いわゆるアメ車好き。アメリカンSUVが好きで(に目覚め)、真面目に乗りたいと思っている方々。

 だから、まずはノーマルに近い個体に乗ってみて、そこから徐々に手を加えていこうか的な志向をお持ちのようで。

 余談だけど、過去に一世を風靡した角形のチェロキーがいまプチブームを起こしている。いわゆるXJチェロキーと言われているやつだが、いまだに街に海に山にて出くわす回数が増えている。しかもほとんどがノーマル車。あの無骨な感じにヤラれているらしい。

 いわゆる誰も持っていないものを所有する喜びというか、自分がいいと思うものしか持たないコダワリというやつなんでしょうけど。ちなみにH2にも同じようなニオイを感じる。

 というわけで、ハマーH2、あくまで自然体に、そんで都心でサラっと乗るならノーマルが正しい選択肢。とくに2015年以降はその傾向が強いのでご注意ください!

2008年型のD車。外観はマッチペイント以外フルノーマル。筆者はホイールすら換えていない個体を初めて見た。

上記の初期型H2と比較すると、だいぶ日和った感も出てきたが、それでもH2の雰囲気を残した特有な感じもちゃんとある。ちなみに、工作精度は俄然こちらの方が上である。

走行距離は44000キロ弱であるから、インテリア等のヘタリもほとんどない。質実剛健のアメリカンSUVの血筋を引いた、ある意味個性の塊を手にするなら、かなりの上玉物件である。

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