2007年型キャデラックエスカレードと2006年型リンカーンナビゲーターである。この2台、年式にして1年、モデル世代にしてみれば一世代違うわけで、比較すること自体には無理があるが、一応並べて撮影してみた。
一目瞭然だが、クルマ自体の華やかさが違う。エスカレードの圧倒的勝利である。だが、市場の人気としてはいまだ二分するという。そういう意味でのナビゲーターの根強さとある意味保守的なデザインの良さもわからなくはない。
2013年も人気SUVの上位を占めるであろうこの2台を、改めて分析してみる。
この型3代目エスカレードが登場したのが2007年。それから5年弱が過ぎるが、その性能はいまだ圧倒的である。ライバルと目されるアメリカンSUVたちの進化がすべてにおいてエスカレードよりも劣っているという現状と、GM系においてはエスカレードが頂点に君臨するというヒエラルキーが確立しているだけに、日本ではアメリカンSUV=エスカレードと言っても過言ではない状況である。
エスカレードは、人気だけでなくハイテク装備や性能においても一流である。可変バルブタイミング機構を備えるオールアルミ製6.2リッターV8OHVエンジンは滑らかさの極地を体現させてくれ、409psのパワーと57.4kg-mの最大トルクがドライバーを十分に満足させる。
一方で横転抑制機能付きスタビリトラックやABSと統合制御されるフルタイム4WDシステムによって、路面状況にかかわらず高い走行安定性を実現させているほか、マグネティック・ライドコントロールよる優れたダンピング性能をもたらしてくれるのである。これらは総じて過去のアメ車の印象を大幅に覆す、圧倒的な進化である。
今回撮影した2007年型のエスカレードには、28インチのレグザーニLX9が装着されていたが、ノーマルで22インチホイールを履くエスカレードだけに超大径でも余裕で履きこなすだけの懐の深さを備えているのが印象的だった。28インチにローダウンを施したエスカレードは抜群のカッコ良さである。
さらにE&Gグリルを装着しているためか、もともと見栄えのするフロントマスクが一層派手になり、トータルでの洗練度が格段に上がっている。
多くのユーザーが語るエスカレードの魅力とは、ノーマル状態での見栄えとまさしくこのカスタマイズ能力の高さにほかならないのである。
そしてもうひとつがESVの存在である。ESVとはエスカレードのロングボディ仕様である。考え方としては、ノーマルエスカレードがタホベース、ESVがサバーバンベースと考えれば分かりやすいか。
この2007年に登場したエスカレードからユーザーの反応が徐々に変わってきており、それまではエスカレードがあろうとも、タホ、サバーバンの人気が衰えることはまったくなかったのである。
だが07年以降は、「タホを買うなら、何とか無理してでもエスカレード」という風潮が見て取れるようになり、またサバーバンに関しても同様に「サバーバンを買うならエスカレードESVへ」という新しい流れができてしまったというのである。
実際、市場における現行サバーバンにはまったくといっていいほど反応はなく(タホに関しては確実なタホ愛好家が存在する)、そういったオーナーたちをも取り込んだことで、現行エスカレード人気は一気にブレイクしたのである(エスカレードは正規輸入されているが、ESVは正規導入されていないから注意が必要である)。
この取材車輌も実はESVなのだが、ノーマルボディよりも伸びやかなスタイリングが大径ホイールなどと絡みあい、明らかに迫力が増している。さらに派手めのフロントマスクとの相性やバランスもESVとの方がかなり良い気がする。
2007年型のエスカレードの中古市場価格は、すでに400万円を切ったものが多く存在する。旧型よりもヤレが格段に少ないこともあり、この先もエスカレード人気が続くこと必至である。
330,000円
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