更新日:2013.01.25
文/椙内洋輔 写真/古閑章郎
トレイルブレイザーは、新世代アメリカンSUVの旗手として大ヒットした1台。ミディアムボディに直6エンジンを搭載し、ボディはすべて新設計とするなど、デビュー当時のGMの力の入れようがもの凄かった。
これに付随してボディバリエーションも豊富にあり、ミディアムレギュラーボディ+直6エンジンでは物足りない方々のための1台、ロングボディ+V8なる「EXT」という存在までもが登場していたのである。
ただ、このEXTの存在意義が、ロングボディにあったのではなく「V8エンジン」搭載にあったことは否めず(アメリカ人はやっぱりV8好き)、一時のブームが過ぎ去るとEXT自体がバリエーションから外れることになる。
余談だが、直6エンジンが微妙というわけではなかった。ただ、直6エンジンにはカスタムパーツがほとんどなく、パワーアップ等の楽しみが薄いということだけが難点だった。
で、06年。ついにEXTの生産が打ち切りとなりトレイル+V8の設定がなくなるのではと心配するかたわらで、彗星のように現れたのがトレイルブレイザーSSであった。
それまで直6にしかなかったレギュラーボディに、当時のコルベットと同じ6リッターV8(LS2)エンジンが搭載されたこのSS(スーパースポーツ)は、GM系最強SUVとして君臨するとともに、世界中でひしめく超パワー戦争のアメリカ代表として、存在意義を高めたのである(当時はポルシェカイエンにBMW X5にグランドチェロキーSRT8など、スーパーSUV活況の時代であった)。
このSSは、ノーマル直6モデル比100hp(395hp)アップということで、足回りにはスポーツサスペンションが奢られ、車高を1インチダウンしている。
またフルタイム4駆とすることで395hpのハイパワーに対応。フロントマスクの精悍さも増し、ブレーキ等も強化されいてるので、ひと目見て「SS」だと分かるのである。
トレイルブレイザーは、08年にて生産終了をしているが、当然ながらこのSSの希少価値は高く、GM最強SUVの1台として後々まで語られる存在であるに違いない。
395hp、6リッターV8エンジンを搭載したトレイルブレイザーSSは、SSバッジを装着するシボレー初のSUVであり、ドイツの有名なサーキット、ニュルブルクリンクを含めて徹底的にチューニングされた1台。
その性能は凄まじく、時速60マイルに5.7秒で到達するという俊足ぶり。このタイムは当時デビューしたてのグランドチェロキーSRT8と同様に速く、一説には車体が軽い分だけSSの方が速いとの噂であった。
実際に乗ると、ステアリングがから伝わるレスポンスが良く、また剛性感が非常に高く、レギュラーボディのトレイルが軽々と走る。そこには、フルサイズの巨体を猛然と走らせる楽しさとはまた別の、いわゆるスポーティな感覚に溢れた楽しさがあり、ロールの少なさがコーナリングの楽しさを一層高めているのである。
過去にトレイルEXTを何度も乗っていたことがあっただけに、正直乗る前にはなめていた部分があったのだが、乗ってしまうと病み付き。トレイル自体が「そもそもV8設定で登場していればアメリカンSUV自体が変わっていたかも?」なんて思ってしまうほど、楽しさに溢れた1台だった。
この走りなら、少なくとも当時のポルシェカイエン等には負けることもないだろうし、ブレーキもキッチリ強化されているから、積極的にミニサーキットを走ったりしても十分に楽しめるような気がする。
このパフォーマンスを街中だけで終わらせるのはもったいない、本気でそう思わせるメーカーチューンドの最速SUVであった。
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