前項では取材車の内外装が非常にキレイでコンディションが良好であるというのがよく分かった。そしてそのまま取材を続け、今度は工場に向かい下回り等のメカニズムチェックをお願いした。
対応してくれたのが、メカニック歴10年の道地大樹さんである。
取材したBUBU宇都宮は、GM正規サービスディーラーであるから当然カマロについても詳しい。そんな中で「2019年型は非常に信頼性高く安心して乗れる年代」という。
2019年と言えば6代目モデルで、5代目モデル登場が2010年、6代目が2016年に登場しているという流れである。
で、5代目モデルまでは、新時代のカマロとして登場しつつもメカニズム的には旧時代のアナログっぽさを若干残した仕様であったが、2016年に登場した6代目モデルからは全てが刷新され各種センサー類やCP制御が複雑になっているという。
よって進化により信頼性が格段に上がっているものの、メカニックに求められるレベルも当然上がっており、電子デバイスによる各種チェックが必須になっている。
聞けば、今回の取材個体のみならず、販売車両として入荷した個体は全て最初に電子デバイスによるチェックを受けた後、各部の細かい作業に入るという。
「GMの作業マニュアルでも一番最初に電子デバイスを使用してチェックするようになっているんです」
すなわち、販売個体としてあらゆる確認を受けた展示車両は、そうした電子デバイスによるチェックを受けた個体であり=問題ないと判断された個体=GM正規サービスディーラーで中古車を購入するメリットの一つである。
余談だが、ディーラー車とはいえ、正規の電子デバイスを持たないショップで車両を購入すれば、こうしたチェックが行われていない可能性が非常に高い=後々トラブルに発展する可能性が高いとも言えるのである!
そしてそのまま車両をリフトに載せ、下回りのチェックに入った。
まずはフロント部分のアンダーカバーを外し、水漏れオイル漏れ&滲みを確認。そのまま後端に進み下回りのヒット痕やキズ、サスペンションのアーム類のガタ、ブッシュ類のガタ、キズ、変形等を確認。そのままショックのオイル漏れ等も確認し一旦終了。
排気漏れは? と筆者が質問すれば、すかさず「この年代での排気漏れはほとんどありません。ただ、マフラを改造していたりする個体はそのつなぎ目が錆びたりして漏れることはありますが」と。
今回の取材個体は、全てにおいて正常な範囲の状態を維持しており、また下回りを打った形跡もなく、非常にクリーンな状態であった。
ただし「今回の個体は走行約3.6万キロですが、カマロの場合、5万キロ程度を超えてくるとチェックを厳しくしています」という。
それすなわち「スポーティカーだからこそ足回りが正しく機能していることが必要だからです」という。
なるほど。素晴らしい! いろいろなところで取材しているが、初めて聞いたセリフ。指示されたことだけを愚直にこなすのがメカニックなのかもしれないが、個人的にはこうした指導やアドバイスをくれるメカニックの方が好きだし安心できる。
そのままリフトを下げ、今度はエンジン関連のチェックである。
上記した通り、この年代のカマロは非常に信頼性が高いといい、特に4気筒モデルにおいては「全く壊れない」という。ただし、あくまで正規サービスディーラーにて定期的な検診を受けている車両においては、という。
ちなみに、4気筒モデルはクーラントの減りが意外に早いから気をつけた方がいいという。これは個体差ではなく、全般的に当てはまるというから定期的にチェックし、減っていることが分かれば速やかに補充すべしという。
また、カマロのメーター内に「オイルライフ」ゲージがあり、そのゲージをベースにオイル交換する方が非常に多い(普通に正しい)。
だが、地道さんによれば、「経験上、そのゲージ通りにオイル交換するとオイルが真っ黒状態なので、可能であればゲージをあてにすることなく、例えば「5000キロ or 半年」といった新たな基準で交換することをアドバイスしますね」という。
日本の道路事情や気候を加味すれば、アメリカ基準のオイルライフよりも独自の基準を考えた方がいい場合もあり、確かにその通りだと思った次第。
そのままベルト類のチェックを行いエアクリーナーの確認をし、話はバッテリーへと進んで行く。
「バッテリーが弱いということではなく、上げてしまうと大変なので極力バッテリーを上げないようにして欲しいですね」
その理由は以下の通りである。バッテリー自体がリアトランクに設置されており、カバーを外すとバッテリーのマイナスターミナルの部分のみが見えるようになっている=この部分からバッテリーを交換することはできない。
バッテリーを上げてしまい交換となると、リアトランクのパネル全体を外さなければならないのである(=自分ではできない)。
以上のような細かい話やアドバイスを聞きつつ、4気筒カマロについてまとめると、今回の個体の程度は非常に良好だった。
そして正規ディーラー車ベースを、正規サービスディーラーで購入することが必須であることも分かった。
そうすることによって、程度が保たれたカマロの購入が可能になり、同時に、購入後もGM車に精通したメカニックに適切なアドバイスをもらうことが可能になるので、安心して乗れるということである。
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