ドアを開けドライバーズシートに座る。ドライバーを包み込むラウンドした形状にスポーツカー特有の6連メーターを備えるコルベットのインパネ。C4コルベットのようなコックピット的感覚はなくなったが、人間工学を駆使した設計はステアリング位置、シート位置、ペダル位置に何ら不満を感じさせない。しかし、全体を見渡して細かいことをいえば、小銭を入れるモノ入れや高速道路のチケットをしまっておくスペースといった、細かいモノ入れが足りないような気はする(笑)。
取材車輌は、シフトノブやペダル類が変更されていたが、好みの問題はさておき、基本、操作感は増している。
低いフォルムから想像できるとおり、どっしりと腰を落とす室内は太いセンターコンソールをはじめタイトな印象である。そのためシートに座ると「特殊なクルマを運転しているんだ」というスポーツカーならではの優越感と緊張感に浸ることができる。
包み込まれるような室内だが、C4コルベットのような息苦しさは全くない。C4コルベットは、シートに腰を下ろすだけでもひと苦労であったが(ぶっといサイドシルをまたいで、さらにすっぽりと尻が収まるバケットシートが…)、それに比べれば、依然としてヒップポイントは低いが、乗降性に問題はない。
キャビンスペースからの見晴らしは良好であり、盛り上がった左右のフェンダーがボディの大きさを的確に表現してくれているために乗りにくさは全く感じない。これは歴代コルベットの伝統でもある。
人間工学を駆使したインテリアはステアリング位置、シート位置、ペダル位置に何ら不満を感じさせない。取材車輌は、シフトノブやペダル類が変更されていたが操作感は増している。各部の程度もかなり良い。
適度にタイトでホールド性の優れたシート。中古車として若干使用感は出ているが、特に問題のあるレベルではない。
アメリカを代表する2シータースポーツカーに荷室が必要か? という個人的な疑問はあるのだが、C5にはリアに大きなスペースがあり、ゴルフバッグ2つを楽々収納するラゲッジスペースが用意されている。そういった意味では、デイリーユースで困ることはないはずだ。
6連メーターの視認性は良好。オドメーターの数字は実数である。
いざ走り出す。搭載されるエンジンは5.7リッターV8OHVで350hpを発生させる。この力感がすごい。街なかの路地からちょっと出ようかなという時でさえ、ズドドドっとくる。そこから一気に回すと、グォーンと吠えながら5000rpmを越えるところまで苦もなく回り、強烈に加速する。このトルク感を味わった後には、日本車には乗れない。すべてにおいてか細い感じがして物足りなくなるからだ。
シャシーもまだまだ一線級のスポーツカーとして十分に通用する。ステアリングを動かした時の舵の効きも素直だし、コーナリングの姿勢もいい。なにより、あれだけ太いタイヤを履いてフラフラせずに真っ直ぐ走る。足もちゃんとストロークしているから、たしかに硬いけれども不快感はない。
この個体は、2000年型で5.5万キロ走行の車輌だが、ボディはまだまだ強く、ミッション等の変速やアクセル&ブレーキにも違和感がまったくない。さらに弊社にあるシルバーのC5と比較して、パワステの動きもが気持ち良くステアリングの反応がかなり良い(弊社の個体はステアリングがなぜか重い)。
また各種機能装備の操作系ボタンはすべて確認したが、それも完調だし、スポーツカーとしてまだまだ十分に楽しめる範囲にあるといえるだろう。ちなみに、ホイールだけは好みの問題もあるので、この部分は購入時および購入後に再検討の余地はあるかもしれないが。
搭載されるエンジンは5.7リッターV8OHVで350hpを発生させる。LS1エンジンは、今でも人気が高く、チューニングベースとしても楽しめるエンジンである。
各種機能装備の操作系ボタンはすべて確認したが、すべて確実に作動している。パワステの感触が非常に気持ちよかったのが印象的だった。
C5コルベットのスポーツカー的な資質は言わずもがなだが、車輌重量配分やパッケージングによる要素はいまだ革新的である。エンジンの搭載位置を前車軸よりも後ろまで下げた、いわゆるフロントミッドシップを構成し、合わせてトランスミッションを後輪側にもっていきデフと一体に置いたトランスアクスルを採用。その重量配分はドライバーが乗るとちょうど50対50になるようセッティングされている。
さらに重心が低く採れるというスポーツカーにとって重要なファクターを満たすためにOHVエンジンを採用し、バネ下重量軽減と横剛性向上を両立させる横置きリーフのサスペンションや軽量化に寄与するフレーム式シャシー構造など、C5コルベットには当時のGMが考えるスポーツカーの理想を実現するためのエンジニアリングがどん欲に盛り込まれている。しかも、そいつを街中走行でさえ感じさせるから素晴らしい。
C4からC5へとモデルチェンジをした当時、じつはそのデザインには賛否両論あった。「コルベットでありながらもコルベットではない」。そんな論争であったと記憶する。C4コルベットまでのロングノーズ&ショートデッキ、かつリアタイヤ直前にドライバーが座るというアメリカン・ポジションが少々希薄になり、さらにデザインにキレがなく、ディティールに迫力がないと。もっとハッキリいえばNSXやRX7と大差ないじゃないか、と。
フロントのアゴといわれるチンスポイラーは、弾力的な素材でできており、中央に切れ込みがあるから、万が一擦ってもたわんで衝撃を逃がしてくれる。それでいて高速走行ではエンジン内にエアを取り込み、床下への気流を排除する役割を果たす。
ノーマル状態でのエキゾーストのサウンドも刺激的。さらにリアテールの造形も美しい。
たしかにC3あたりから続くフェンダーの盛り上がり等、ハードな部分は影を潜め、ひたすら洗練された美しいスポーツカーとしてデザインされている感じである。
だがしかしC5は、そうしたスポーツカーの普遍的なデザインへと生まれ変わりつつもアメ車としてのサイズ感を生み出し、ホイールベースがC4比で100ミリ伸びてはいたものの、前後オーバーハングを切り詰める等、スポーツカーとしての定石をきっちりと守っている。
今、中古のC5を見ても、たしかに分かりやすいアメリカ的攻撃的造形はなにもない。だがそれはスポーツカーとして誰もが思い浮かべる普遍的な美しさを備えており、世界で戦うための美意識で包まれたスポーツカーと呼べる代物である。だからこそ、コイツをベースにC6、C7へとコルベットは進化し続けている。
いわゆるアメリカ的コルベットであったC4までのデザインとは一線を画し、新たにワールドワイドなスポーツカーとして生まれ変わりつつあったC5は、だからこそこの先の中古車市場において特別な扱いを受けるに違いないのである。
手に入れるつもりがあるなら、程度の良い個体を早めに入手しておくのが得策である。
リトラクタブルヘッドライトや4連の楕円テールライトを生かしつつも、これまでのアメリカ的攻撃的造形を捨て、あえてワールドワイドな普遍的美しさを備えたスポーツカーへと進化させたC5。
サイドから見るとミッドシップと言われても勘違いするかもしれない。この美しきボディデザインは、歴代コルベットの中では「異端」とされるが、個人的には後に再評価され、中古車市場での価値も跳ね上がるに違いないと踏んでいる。
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