1990年代、日本でC1500やC10といったGMのフルサイズピックアップトラックが流行した際に人気だったカスタム手法はローダウンだった。
当時のローダウンの手法は、2WD車をベースに、フロントがローダウンサス&スピンドルで、リアがフリップダウンキット。下げ幅はフロントが3~4インチ。リアが5~6インチというのが一般的で、このタイプのローダウンが施された車両は俗に「4/6ダウン」などと呼ばれていた。
当時はそれが例えピックアップトラックであっても、車高は低ければ低いほどカッコイイという風潮があった。ローダウンと逆のリフトアップ系カスタムは、アメリカでは当時から主流だったが、日本ではピックアップトラックに関してはあまり流行ってはいなかった。
日本のピックアップトラックのローダウン系カスタムは90年代後半から加速度を増していき、2000年代に入り、エアサスを使って自由に車高の調整が出来るようになった頃から、Cセクション(Cノッチ)やフレームスライス、チャネリングなど、「より低く」を目指して、そのカスタム手法はどんどん過激になっていった。そして、最終的にはフルスラムド(=着地)に到達した車両も珍しくないという状況になっていったのである。
と、以上はオジさんの昔話。40代以上のアメ車ファンであれば「そーそー、そうだった!」と懐かしく思い出す方も多いだろう。
C1500のローライダーから始まった日本におけるピックアップトラックのカスタムの方向性は、行き着くとこまで行き着いた後に徐々に変遷していった。「低ければ低いほど偉い!」という風潮だったのが、いつの間にか風向きが変わり始め、USトヨタのタンドラ&タコマなどの逆輸入車が最初に流行し始めた頃には、ローダウンよりも「ちょい上げ」と呼ばれるマイルドリフトが主流となっていったのである。
そして今やピックアップトラックのカスタム傾向はリフトアップ全盛。アメリカでも日本でも、車種やグレードを問わず、さらには4WD、2WDさえも問わず、チョイ上げのマイルドリフトから小山の様なハイリフトまで、多種多様なカスタムカーが製作されているという状況にある。
ここで紹介する車両は、近年の主流に背を向けるかの様なローダウン仕様。もっとも、ベース車両は4WDであり、そのスタイルは昔懐かしいC1500やC10などのローライダーとは完全に別物。それどころか、オーバーフェンダーやKMCホイール&マッドテレインタイヤなど、どうみてもリフトアップ系(というかオフロード系)のパーツがチョイスされている。
このタンドラ、片側4インチという超ワイドなオーバーフェンダーを装着することで、全幅は約230cmと巨大になっているが、車高はノーマルよりも低くなっているので運転時の操作性は思いのほか悪くない。
また、ローダウンしているとは言っても、基本的な足回りはビルシュタインダンパーなどTRDパッケージのパーツをそのまま流用しているので、マッドテレインタイヤ分のゴツゴツ感を差し引けば、乗り心地や運動性能の劣化もほとんど感じない。
ベース車は2016年型トヨタタンドラSR5 TRDパッケージ。ボデイカラーに合わせて前後バンパーのメッキの部分をブラックにマッチペイント(部分的にマットブラックを使用)し、TRDパッケージのデカールはあえて剥いでいる。
足回りは、フロントはストラットの構造は変えずにダウンサス&ダンパーの取り付け位置を下げることでローダウンし、リアはリーフを上下逆に付け替えるフリップダウンキットとシャックルを使用。使用したパーツは前後ともタンドラレーシングである。
同時にホイールはKMCのロックスターをチョイス。タイヤはニットーのデューングラップラーの組み合わせ。いずれもオフロード系カスタムでは定番のアイテムである。バンパースポイラーはタイヤに干渉しないようフロント側に2インチほどオフセットされているという。
つまり、ここで紹介しているタンドラは、見た目だけでなく性能面でもリフトアップ(オフロード)スタイルとローダウン(オンロード)スタイルの良いとこ取りで製作された車両であり、迫力の外観とチョイ下げならではの使い勝手の良さは特筆もの。「なるほど、この手があったか!」言える仕様といえる。
もうすぐ新型のタンドラがデビューすることで、この旧型の中古車が一気に市場に流れる可能性があるから、少し買いやすくなったタンドラをベースにこうしたカスタマイズで楽しむのもお勧めである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES