ひと昔前までのオープンは、その名の響きから得られる魅力や快適性とは、実にほど遠いクルマだった。雨がほとんど降らないカリフォルニアとはまったく異なる、雨季を持つ日本。あえて晴れの日にしか乗らないというのならまだしも、普段使いにはあまりオススメできる存在ではなかった。耐候性は、いわゆるアメ車クオリティ。そしてボディの剛性やら足回りのバタバタ感は、緩んだボディと相まって、そりゃ酷いもんだった。だから車種バリエーションの中にオープンモデルが存在していても、正直「買い」ではなかった(と思う)。
だが、近年アメ車全般がワールドワイドな存在に進化し、あらゆる面でのクオリティが上がった現在においては、そんな不安も杞憂に終わる。特にこのコンバーチブルに乗ってからは、すべての面での考え方が変わってしまった。
2009年に復活したシボレー カマロは、発売以来本国では9万台を超えるセールスを記録したという。そんな通算5代目カマロのコンバーチブルモデル。このコンバーチブルの開発目標は、「乗り心地や操作性、全体的な性能をできる限りクーペに近づけることだった」
Aピラーのハイドロフォーム・チューブ、フロントウインドシールド上部の強化ブラケット、強化フロント・ヒンジピラー、サイドシルの強化など、ノイズ・振動特性を向上させるために構造強化を追加し、これがカウルおよびステアリングの振動の除去にもつながった。そしてコンバーチブルのボディ構造を変化させることで、競合車種よりも優れた曲げ剛性とねじれ剛性が得られたというのだ。ここでいう競合車とは、BMWの3シリーズである。
ボディを強固なものに成功したコンバーチブルは、その結果、サスペンションをクーペと同一のチューニング方法で仕上げることが可能となり、高いロードホールディングや加速性能が実現できることになった。
また、それに合わせてソフトトップも入念に造られ、厚く丈夫なキャンバス製となり、吸音性の高いライナーが挟み込まれているために、クローズ状態ではクーペ同様静かで快適な走行が可能である。もちろんリアウインドーはガラス製で、デフォッガーも備わる。乗れば分かるが、クローズド状態ではまんまクーペのような快適性である。
搭載されるエンジンは、3.6リッター直噴V6。308psを発生させるエンジンは、車両補強による重量増をものとせず、ファントゥドライブを可能にしてくれる。もちろんV8エンジンもあるが、オープンで快適に飛ばすならV6でも十分に活発だった。
まずは幌を上げたままの状態で試乗に向う。事前に聞いていたコンバーチブルの剛性の高さや造り込みの確かさは、お見事の一言だった。リリース同様本当にクーペのような快適性である。それでいて、スイッチひとつでルーフが取れるのだから、遊びクルマとしては最高の1台だと思う。
そして路肩に止め、ルーフを開ける。頭上のラッチを外せば、あとはスイッチを押すだけで自動的にサイドウインドーが下がり、トップが格納される。所要時間は20秒たらず。トップは、Z字形に折りたたまれ、リアシート背後にピタリと収まり、いざ出発。
もの凄い開放感である。最初はサイドウインドーを下げたままの状態だったので、風の巻き込みもかなりのものだったが、ステアリングの反応やボディの弱さなどが微塵もなく、非常に良くできたスポーツカーのようである。途中でウインドーを上げると風の巻き込みがまるで何事もなかったように収まり、助手席との会話も余裕で可能。
一方で重量増に伴う3.6リッターV6エンジンを不安視する声も聞こえそうだが、そちらもまったくの杞憂に終わった。約130kg(車両重量1840kg)増にもめげずまったく難なく走り、小気味よい快音とともに、まるでオープンスポーツカーのような走りが可能である。アメ車ファンの中にはV8信奉者が多いと思うが「実用」と「スポーツ」を両立するなら、V6でも十分である断言する!
個人的なオープンモデルに対するこれまでの評価は、「日を選ぶ」というものだったが、このカマロならファーストカーとして所有し、日常的にバンバン使えるわけだし、あえて積極的に選んでみても面白いと思う。絶対に後悔はしないはずだ。
オープン走行時の雰囲気です
走行シーンの雰囲気です
幌の開閉シーンです
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES