更新日:2020.12.01
文/椙内洋輔 写真/ゼネラルモーターズ
この車両は、本来なら今年行われるSEMAショーに出展されるはずだった。だが、中止になり知らない方も多いのではないか。
例年のSEMAにおける恒例といってはなんだが、ここ数年見られた傾向としては、旧車に最新のエンジンを搭載したモデルたちが多数登場していたこと。
たとえば、ヘルキャットエンジン。707hp、797hpの6.2リッタースーパーチャージャーエンジンを、70年型チャレンジャーや71年型チャージャーにぶち込んだ車両とかである。
要するに、旧車に現代版の最新パフォーマンスエンジンをプラスすることで、より一層魅力的になる、ということが言いたいのだろうが、今年はもっと凄かった。
旧車に、EV用の電気モーターを組み込んで、電気自動車に仕上げてしまったのだ。その名も1977年型シボレーK5ブレイザーE。「E」とはEV用のEを示しているのだろう。
1977年型のK5ブレイザーには、本来6.6リッターV8エンジンが搭載され、3速ATと組み合わされていたが、そのエンジン、ミッション、燃料システムおよび排気系パーツを取り払い、そこにシボレーボルト用のEV電気モーターとシボレーパフォーマンスの4速ATを組み合わせ、電気自動車に仕上げたのである。
ちなみに、K5ブレイザーのトランスファーケースやドライブシャフト、アクスルといったドライブトレインはそのまま流用しているという。
なお、ボルト用のEVのパワーは、200hp、最大トルク266lb-ftを発生させるから、当時の175hpのV8よりも上回っているという(笑)
さらにオプションとして、電動パワーステアリングキットやオリジナル燃料計をバッテリーの充電残量計に変換できる電子コントローラー等も用意されているというから、旧車のインパネの雰囲気を壊さずにEV化が図れるということである。
さて、このK5ブレイザーEであるが、ひとつの実験として行われている。それは2021年後半から販売が予定されている「エレクトリックコネクト&クルーズパッケージ」である。
要するに、ガソリンエンジン車をEV車に換装するためのパッケージパーツの販売である。以下がそのパッケージに含まれたパーツ。
・60kWhバッテリーパック
・200hpの電気モーター
・電気モーターを駆動するためのDC-ACインバーター
・低電圧システムに電力を供給するDC-DC電力変換器
・バッテリーの加熱と冷却のためのワイヤーハーネス、コントローラー、ウォーターポンプ
もちろん、誰彼構わずこのパッケージが入手可能というわけではなく、販売店等は選別され、さらに必要なトレーニングを受け、専用ツールや装備等を揃える必要があるというが、新たなEVベースでのメカニカルスタッフが必要になるということで、たとえばビンテージコルベットにEVモーターを搭載するといった、新たなアメリカ的ブームが到来してもおかしくはないのである。
今のところ、上記ボルト用のパーツを使用したパッケージだが、数年もすれば、それこそ1000hpを発生させるEVモーターなんかも登場するかもしれないから、アメリカ的EVパワー競争なんかも期待できるかもしれないのである。
330,000円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
283,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
183,250円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋
272,800円
AUDIO&VISUAL
あとづけ屋