私事で恐縮だが、先日、3年ぶりに開催された著名な祭りに際し我が家に親戚一同が集まった。久しぶりに皆で食卓を囲んだのだが、その際に筆者の使っているガラケーに、親類小学生が食いついた。「なんじゃそれ」
小学4年生の彼は、生まれた時からスマホしか触っておらず、通話とメールしかできない携帯電話をつゆ知らず、「昔はみんなこれだったんだよ」と言っても「うそだー」と全く信じてもらえなかったのだ。
で、今は自動車業界全体の変革期、恐らくはクルマに関する様々な事象についても今後同じようなことが起こるだろうと推察している。
すなわち「V8」「大排気量エンジン」「マニュアルトランスミッション」「左ハンドル」etc、そしてそもそも「ガソリンエンジン」といったものの存在を説明しても、「うそだー」と笑われる日がいずれやってくるはずだ。
そういった時代の変化にむしろ積極的に身をゆだね、テスラなどを早々に入手するのも一興ではある。
だが個人的には、残された時間がわずかだからこそ、そういった失われゆく物々を今のうちに堪能したいと思っているのだ。
例えば「大排気量V8エンジン」である。ダッジチャレンジャーヘルキャットに搭載されている6.2リッターV8スーパーチャージャーのような。
▲2022年型ヘルキャットワイドボディ。走行600キロということだから、ほぼ新車状態。
▲高年式のヘルキャット自体がレアだが、ワイドボディとなるともっとレアになる。ブラックのボディカラーにオレンジのキャリパーがよく似合う。
2015年ダッジは我々の度肝を抜く最強エンジンを製作。なんと前代未聞の707hpという大排気量V8+スーパーチャージャーエンジン搭載のチャレンジャーヘルキャットをリリース。
それまでのモンスターエンジンといえば、2014年まで存在した旧時代のシェルビーGT500に搭載された662hpエンジンだったから、そこから一気に700hpオーバーという「数字の破壊力」は凄まじいモノだった。
というかこのエンジン、実測でも700hpを超えていたという話があり、プラスして5年10万キロのメーカー保証(本国アメリカにおいて)が付帯していたのだから、他メーカーに与えた影響も凄まじく、当時デビューを控えていたシェルビーGT500の発売を延期させ、また日本のみならず、ドイツへも直輸入車が多数流れたという。
さらに2018年、輪をかけたスペシャルマシンがデビューする。デーモンである。なんと840hp。このデーモンはドラッグマシンベースの車両ということだったが、それでも日本国内で人気を博し、結構な数が直輸入されていた。が、翌年、我々はさらにもう一度驚くことになる。
レッドアイの登場である。なんと797hpのチャレンジャー最高峰マシンであり、ベースは前年デビューしたデーモンのディチューン版だから、基本デーモンと同様のエンジンが搭載されている。
この時点でヘルキャットは707hpから717hpへと10hpアップを果たし、同時にワイドボディモデルが登場したことで、チャレンジャーのバリエーションが一気に広がったのである。
▲ワイドボディ専用の305/35ZR20インチタイヤとオレンジのブレンボブレーキの組み合わせ。ヘルキャットレッドアイと同サイズだけにリアの安定性はより高いと言える。
▲搭載されるエンジンは6.2LスーパーチャージャーV8。2019年から10hpアップの717hpに進化している。とにかく十分に速い。
▲デュアルシュノーケルフードが2019年以降の高性能の証となっている。
▲797hpを制御するワイドボディと同タイヤサイズを、ヘルキャットの717hpにも適用しているということで、レッドアイ以上にリアのグリップが確保され安全性が担保される。
一方で、ヘルキャットがデビューした以前から世はダウンサイジング花盛りといった感じで、アメ車にも2リッター直4ターボモデルが多数存在し始めており、他国メーカーへ目を向ければ、それこそ1.5リッターターボエンジン車等が目立つようになり、例えばメルセデスベンツのそこそこのモデルでさえも低排気量モデルが一般的となっていたから、ヘルキャットは規格外の別格な存在といえるだろう=世界遺産といってもいい。
で、そんな稀有なモデルを入手する際に、必要なのがモデル選びである。例えばヘルキャットとヘルキャットレッドアイとどちらを入手すべきか。もちろん買えるなら797hpのレッドアイが「定石」ということになるのだろう。いわゆるトップオブトップである。
だが一方で、本国アメリカでの数は実はヘルキャットの方が少ない=希少価値が高い。
メーカーからすれば一番高いやつを売りたいということでレッドアイの数が多いのだろうが、何故だかヘルキャットの人気が高く、とはいえ数が少ないためになかなか入手しづらい=当然日本においても同じ傾向である。
そんな中であえてヘルキャットに狙いを定め一定数の個体を直輸入しているのがBCDである。
聞けば、「レッドアイはそのパワー数値からもわかる通り、中古車の消耗&個体差がヘルキャットよりも大きく、弊社の輸入基準をクリアする車両が少ないというのが理由です(新車ベースなら全く問題ありません)。
それなら状態の安定した『ヘルキャットを狙おう』というのが我々の考えです。もちろんレッドアイのご依頼があればお受けいたしますが、その際にはヘルキャット以上にお時間がかかるかもしれません」
▲他のチャレンジャーよりもグリップの太いステアリングを握るだけでも「違い」が明確であり、凄みを感じさせる。エンジン始動時の爆音もヘルキャットならでは。
▲ヘルキャットにもMT車が存在するが、個人的には8速ATの方が似合っていると感じるし、実際に十分速い。「D」レンジに入れた時の強烈なクリープもならでは。
▲グリップの太いステアリングにサイズの大きくなったパドルシフトがヘルキャットにはよく似合うし、操作感も良い。
なるほど。BCD車両としてある一定以上の基準をクリアした車両となるとレッドアイよりはヘルキャットの方が扱いやすいということか。
本来なら価格の高い物を売る方が商売上の利益は上がるし会社も喜ぶのだろう。だがその一方で、自社基準をぎりぎりクリアするレッドアイよりは、きっちりクリアするヘルキャットの方がユーザーの負担は少ないという正しい判断によるものだ。
ちなみに、これは筆者の個人的感想だが、717hpも797hpもさほど変わらないと思う(笑)。少なくとも日本の公道においてはそこまで試せない。もちろんサーキットなら話は全く別だが。
というか、筆者は何度か乗ったことがあるから断言できるが、ヘルキャット以上のモデルは持っているだけで十分満足できる。なんせ自動車界の世界遺産なのだから。
そして走らせた時の独特の音、いわゆるスーパーチャージャーの「ミャーン」というまるで怪獣のような咆哮が聞けさえすれば、そしてひとたびアクセルペダルを踏み込めば、まるで背後から蹴飛ばされたような猛烈な加速が体感できるから、それらだけでも十二分に楽しい!
▲メーター内のカラーリングが異なっているが、ヘルキャットの持つハードな印象にマッチしている。
▲ラグナレザーのバケットタイプのシートには使用感がほとんどなく新車のような佇まいであった。
▲シートケアのガイドが装着されているなど、新車と言っても過言ではない状態であった。
さらにBCDでは2015年のデビュー時からヘルキャットを20台以上販売してきた実績があるから納車後のアフターに関しても十分なデータが集積されており安心して乗れる。
で、取材車両であるが、2022年モデルのヘルキャット。しかもワイドボディだから一層のレアモデル。また走行600キロということだからほぼほぼ新車といえる状態というのも素晴らしい。
だから取り立てて使用感が気になる部分は皆無だし、個人的にはなかなか見かけないオレンジのブレーキキャリパーがブラックのボディカラーによくマッチしていてモパーマッスルの雰囲気を高めていると感じるから、「21世紀最後の名車候補を新車に近い状態で」と思っている方には絶好の1台だと思うのである。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES