更新日:2015.08.27
文/石山英次 / 堀口訓 写真/堀口訓
2013年に国内導入されたフォードクーガは、1.6リッター直4エコブーストエンジンを搭載した本格派SUVであり、アメリカ仕込みのSUV作りのノウハウと、ヨーロッパ仕込みの洗練されたハンドリングの融合という、まさに理想的な組み合わせを持ったSUVだった。
そこに時代の最先端を行くダウンサイジングエンジンを搭載したわけだから、日本の道路事情を加味した場合、最適な1台とも言えたわけである。
これまで過去に何度も試乗しているが、大人3人を乗せた走りでも何ら不満はなく、乗り心地が抜群にいいのに驚き、さらにボディ剛性が高く、あくまで日本車では得られないフィーリングを醸しだし、それは世界中のライバルをも越える硬質なフィーリングとも言えたのである。
室内は、優れた調整機能により適正なシートポジションが探し出せるシートにゆったりと身を預けられ、運転操作系統へのこだわりが強く人間工学的に優れた操作パーツを操って、自動車の本質的な性能である走る、曲がる、止まるが純粋に楽しめたのである。
搭載される直列4気筒1.6リッターエコブーストエンジンは、182ps/5700rpm、最大トルク24.5kg-m/1600-5000rpmを発生させ、欲しいところで適切なトルクを生み出すダウンサイジングターボとの組み合わせによって、前車を追い抜きたいといったちょっとした加速時であってもタイムラグなく素直に反応してくれる。
もっともパワー&トルクウェイトレシオからすればそれほど余裕があるとは言えないものの、それでも発進加速時の軽やかさや高速における合流での力強さは十分にあり、いわゆる法定速度+αといった日常的な使い勝手で不満を漏らすことはまったくない。
くわえて、しなやかながら引き締まった足回りにより、走りにはフラット感があり、操舵に対する応答が素早く、正確な操縦性を実現していると言えるのである。
最近のフォード車にはどれに乗っても非常に良い印象があるのだが、フォードは足回りの作り方に何か独自の極意を持っているのではないかとすら思うほどである。
考えてみれば、フォードは我々に馴染みのあるアメリカ以外にヨーロッパにも拠点を持ち、両者の英知を投入しつつ、「ONE FORD」の号令のもとグローバルで通用する車種を送り出すという、稀有なる開発体制が敷かれている。
つまり冒頭に書いたようにアメリカの良さと欧州の緻密さを組み合わせつつ、アジアを走るためのグローバルな開発がなされているからこそ、SUV作りに長けたアメリカ的センスで室内をまとめ、欧州車のようなハンドリングを持ちつつも、日本のスピードレンジの中でも旨味がしっかりと味わえるのだろう。
フォードは世界の道を知っている。現行マスタングを見ればわかるが、アメリカンな雰囲気を生かしつつ、世界に通じるクルマを作るのが格段にうまい。
マスタングはアメリカが先にあり、つい最近世界に向けて発信されたが、たとえばフォードクーガは、最初から世界に通じるSUVとして発信されたからこそ、日本でもアメリカでも高い評価が得られているのである。
走ればタフ、使えば人に優しい、そんなSUVの王道・エクスプローラーとともに歩んできたフォードが、そのノウハウを注ぎつつ都市部での扱いやすさを極めたミドルサイズSUVこそがフォードクーガなのである。
そんなクーガは今夏、マイナーチェンジを受け搭載エンジンに変更がもたらされている。具体的には2種類のエンジンになり、装備に若干の変更がもたらされている。
だが、スタイリング的な変化がないぶん、あえて認定中古車をチョイスしても古さを示すポイントがまったくないだけに、1.6リッターエコブーストエンジンを搭載した優秀な相棒を、あえて安価に入手することもオススメなのである。
なんせ日本の街中での使い勝手はベスト。走っても楽しく、使っても実用性が高い。それでいて外車ならではの硬質なフィールが得られるのだから、質実剛健的なクルマが好みの方にオススメしたい1台である。
フォードクーガには、これまでタイタニアム、トレンドといった2種類のグレードが存在し、両機種にそれぞれ同様の1.6リッターエコブーストエンジンが搭載されていた。
だが、今回のマイナーチェンジによって、タイタニアムには2リッター直4エコブーストエンジンが、トレンドにはダウンサイズした1.5リッター直4エコブーストエンジンが搭載された。と同時にトレンドには新たにフォード車初採用となるアイドリングストップ機能が装備され、総じて1.6リッター比で約34%の燃費改善が果たされているという。
一方、ボディカラーにも変更が加わり、タイタニアム専用色の「ホワイトプラチナム」とトレンド専用色のクーガとしては初となる赤系の「ルビーレッド」が新たに加わり、より幅広いカラーの選択が可能となったのである。
まとめると、タイタニアムに搭載される2リッター直4エコブーストエンジンは、いわゆるエクスプローラーに搭載されていたエンジンと同機であり、1.6リッター比で60psアップとなる242psを発生させ、クラストップレベルとなる圧倒的パワーを所有するにいたった。
一方1.6リッターからダウンサイズした1.5リッター エコブーストエンジンを搭載するトレンドは、より低燃費を意識した仕様となるも、1.6リッター時代と同様の182psを発生させることで、燃費を意識しつつも動力性能を落とさないというフォードの見識が見て取れるのである。
価格はタイタニアムが419万円、トレンドが359万円からとなる。
「欧州仕込みの走りに強い関心を抱くユーザー様が多いですね」と語るのは、フォード大阪平野店の佐々木マネージャー。
つい先日新型が発表へと移行したばかりのクーガは、日本の交通事情にマッチした取り回しの良いサイズ感とパワフルな走りが好感され、歴代モデルすべてが高く支持されている。また、購入者のほとんどは自身の趣味を謳歌する大人の男性という点もいかにもクーガらしい特徴といっていいだろう。
そんなクーガにおける売れ筋モデルは2.5リッター直5ターボが搭載された初代タイタニアム。現状、190万円前後での価格帯が推移しており、売れ行き好調という。また、2代目もやはりタイタニウムが人気を集めており、こちらは270万円前後で推移中。
佐々木氏いわく「今回のマイナーチェンジを受けて、初代2代目ともども若干のプライス変化が予想できる」という。
ちなみに、車体色による価格差はほぼ存在しないとか。日本人はブラックやホワイト、シルバーといった無難な車体色を好みがちだが、同モデルはカラフルな車体色を含めてまんべんなく売れているそうで、来店者の多くが気にするのは、ドイツ車を彷彿とさせる剛性感とスタイリッシュなボディに宿るSUVらしからぬ俊敏な走りこそがすべてという。
ただ、今後3代目へ乗り換えるユーザーが増え中古車市場における供給量が増えるのは必至ということで、クーガの購入はこれからが一段とオイシイのかもしれない(インタビュー/堀口)。
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