取材車両は、2013年型のマスタングである。V8エンジン搭載のコンバーチブル。マスタングといえば、走り系のV8とコンフォート系のコンバーチブルにファン層が分かれると言われているが、この車両はその両方を備えている。しかもギアはMTだ。
これまで数年にわたり旧マスタングを取材してきたが、このV8コンバーチブルのMTモデルというのは初である。
いったん話は逸れるが、その昔、テレビドラマで「ナッシュブリッジス」という番組があった。ドンジョンソン扮する主人公の愛車がクーダ。恐らく超有名な話なんでほとんどの方が知っていると思うが、そのクーダがコンバーチブルのMTモデルだった。
ドラマに出ているアメ車で初めてカッコイイと思えたそのクーダ。だが、その感動はクーダであるというよりは、「MTでコンバーチブル乗る」という行為そのものにだった。
それまで国産走り屋系モデル(の筑波ラップタイム)に興味津々だった筆者にすれば、「剛性の劣るコンバーチブルにMTで乗って意味あるのか?」と最初は超真面目に反応していたわけだが、ドラマシリーズ後半には「めちゃめちゃカッコイイ」と見事にアメリカ的感覚に麻痺させられたわけである。=筑波サーキットラップタイムには出ない「粋なカッコ良さ」を理解したのである。
それ以降、「V8+コンバーチブル+MT」というひとつの理想型を追い求める自分がいた。
だが。正直、売り物として考えた場合、それほど売れるタマじゃないだろう(笑)。売主にした場合、どうしてもオーソドックスな形状を好むはずである=AT。だからこそ、今回のマスタングを見た瞬間に震えたわけである。
ちなみに、ここでいうコンバーチブルとは4シーターモデルのこと=だから粋なのである。
このマスタングは2013年型ということで、搭載されるエンジンは5リッターV8DOHC。418psを発生させ、6速MTと組み合わされる。またこの車両には、シェルビーGT500用のマフラーや前後スポイラー、さらにはブレンボブレーキ、シェルビー20インチホイールが装備され、アイバッハのスプリングでローダウンされている。しかも走行距離が約11000キロ。
その姿は、さながらシェルビーGT500とも言えそうな雰囲気を醸し出しており、幌を下ろした状態のスタイリッシュさをアップさせているのである。
この型の旧マスタングには、まるで旧車かと思えるようなフィーリングが備わっており、今乗るとそこにノックアウトされてしまう。いい意味で新鮮かつ素晴らしいほど官能的である。
そこにオープンボディがくわわり、その官能的なV8エンジンをMTで操れるのだから、これ以上のアメ車趣味(2010年アップの現代的なアメ車では)もないだろう。
それでいて、400psものパワーがあって、時にワープするかのごときロケットダッシュをキメるのだから、あえて本物の旧車に手を出さなくても十二分に旧車風情とパフォーマンスとオープンの気持ち良さが味わえ、しかも粋なMT操作が可能であるわけだから不満はまったくあるまい。逆に、最大の問題となるのが、このクルマに自分が似合うかどうかなのである(笑)
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