なんとも言えない美しい雰囲気を放つSUV。一目見て「リンカーン」ブランドとはわかったけれど、正直「何者なのか」は分かっていなかった。というのも、この型のアビエーターを見たのが初めてだったから。
アビエーターはかつて2003年〜2005年時に初代モデルとして登場している。が、その際はまんまナビゲーターの小さいモデルといった感じで、デザインが当時のナビゲーターそっくりの小さい版だった。
しかし、そのモデルはたった3年で生産終了。そしてその後15年間音沙汰なく、2020年に復活したという流れなのだが、恥ずかしながらその流れに筆者はついていけておらず、新しく登場したアビエーター自体の存在すら認識していなかった。
プラスして、現行版のナビゲーターは何度も取材していたが、それともまた違うデザイン&サイズ感に理解が追いつかなった。
だが、筆者ですら知らないということは、アメ車に詳しくはない方々においては当然知るはずもなく。とはいえ、そんな人達が見ても、アビエーターの気品は伝わるはず。そのくらい美しいという言葉がよく似合う。
この型のアビエーターが登場したのは2020年。ベースとなっているのがフォードエクスプローラー。エクスプローラーは、前年までFFベースであったが、2020年にフルモデルチェンジしFRとしてリスタート。
アビエーターは、そのエクスプローラーをベースとしているから「FRモデル+3列シート」を持ったSUVであり、サイズ感はまんまエクスプローラーだから日本でも扱いやすいミッドサイズ。
それでいて味付けはリンカーンブランドがもたらす洗練されたラグジュアリーであるから、好きな人にとってはある意味究極のSUV。
ちなみに搭載されるエンジンは、3リッターV6ツインターボで400hp、最大トルク415lb−ftを発生させ、10速ATと組み合わされる。
このエンジン、エクスプローラーだと「ST」と呼ばれるトップモデルに搭載されるエンジンだから、アビエーターの場合それが標準搭載されているという点においてもフォードとリンカーンとの住み分けがきっちりなされているということだろう。
だが。こんな魅力的なSUVにもかかわらず、残念ながら現行型アビエーターを日本で見ることは滅多にない。それは2016年にフォードの日本法人が撤退してしまったからであり、それ以外でフォード車を扱うショップ自体が少ないからである。
そんな中、FF時代の旧エクスプローラーに乗っていたオーナーさんが、次なる乗り換え車種に選んだのがこのアビエーターだった。
このオーナーさんがエクスプローラーに乗っている時点ですでにフォード日本が撤退していたから、次なる愛車は当然「並行輸入」を覚悟し、様々なショップを調べたという。
そういった中で出会ったのがアベカーズ。フォード日本撤退後もフォード車を積極的に扱うショップとして知り、アビエーターの輸入を打診。それが昨年の11月。そして車両が見つかったのが今年の2月後半。その後輸送し日本にて改善&点検&車検を取得し納車が5月末日であったという。
アベカーズによって日本に持ち込まれたアビエーターは、2022年型の新車。アビエーターには、スタンダード、リザーブ、グランドツーリング、ブラックレーベルとあり、取材車はリザーブのアピアランスパッケージ付き。
ボディカラーはホワイトであるが、ピラー周りのブラックとブラックの大型グリル&ブラックホイール等が合わさって、非常に高級感あるスタイリングを形成している。
一方で室内は、ベージュとモカブラウンカラーのレザーコンビネーションによってまとめられた「ザ・リンカーン」的高級感で満たされており、質素を旨とするEV車の販売好調が伝えられる中、それとは対極的なアメリカンラグジュアリーが体感できる。
さすがはリンカーンブランド。トップモデルたるナビゲーターを連想させる質感である。
そして走れば400hpのパワーに10速ATがもたらす小気味良い変速とアダプティブダンパーによる質の高い走りが可能。
サイズ的には旧時代のエクスプローラーが運転できればさほど変化はないから日本の道路でも難儀することはなく、そして今関東圏で最もフォード車を積極的に扱っているアベカーズだけあって、電子デバイス系の作業やメンテナンス&パーツ等で困ることもないから、レアなリンカーンブランドとはいえ不自由さを感じることは全くない。
くわえて日本で同じ車両に出会うこともほとんどないだろうから、「これぞ並行輸入の醍醐味」としてオーナーさんの満足度もきっと高いことだろう。
ちなみに、この原稿を書いているのが7月7日。実は昨日6日お昼頃に京橋インターから首都高に入る白いリンカーンアビエーターを見かけました。恐らくこのクルマだったんじゃないかと勝手に思っています(笑)
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