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日本のミニバンに多大なる影響を与えた名車

シボレー アストロ (CHEVROLET ASTRO)

すでに生産終了も、いまだ人気継続

シボレー アストロ がデビューした当時、自動車業界に「ミニバン」というジャンルは存在しなかった。日本でミニバンというジャンルが確立されたのは、クルマに多様性が求められはじめた90年代中盤。つまりアストロこそ、ミニバンというジャンルを築いた、ミニバンの元祖といっても過言ではないのである。

更新日:2012.06.21

文/石山英次 写真/ヤナセ/ゼネラルモーターズ

ミニバン=新時代のファミリーカー

 ミニバンは、もとはステーションワゴンと同等の快適性と選りすぐれた居住性、収納性、多用途性、経済性を持ちながらも、アメリカの標準的な家庭のガレージに収まる、新時代のファミリーカーとして開発されたクルマだった。
 アメリカでミニバン第1号モデルとなるクライスラーの「プリマスボイジャー」がデビューしたのは1983年のこと。クライスラーの内部では開発当初「マジックワゴン」と呼んでいた。シボレーアストロはその後を追って1年後の1984年、85年モデルとしてにデビューしている(フェイス違いのモデルとして、GMCからサファリも同時に発売されている)。

 クライスラーは初代ボイジャーを新世代のファミリーカーとして開発し、乗用車用のシャシーをベースに製作していたが、アストロの場合は、フルサイズバンと同じようにピックアップトラックのシャシーをベースに製作されていた。
 クライスラー、GMを追いかけたフォードも、当初のモデルはトラックベースのシャシーを採用。そのため、フルサイズバンの小型バージョンということから、ミニバンというカテゴリーが出来上がったともいわれている。

 初代モデルのアストロがデビューしてからすでに27年という月日が流れているが、アストロは2005年にすでに生産終了をしている。実質20年というご長寿モデルとなったわけだが、実はこのアストロというクルマ、初代モデルのデビュー当時から基本構成が大きく変わっていないのが特徴である。
 つまり、デビュー当時のアストロもモデル末期のアストロも、ほとんど変わらないシルエットを持っており、ボディサイズもほとんど変わっていないのである。

 85年に登場した初期モデルのアストロは、角目2灯式のフロントマスクを持っており、ブラックアウトされたラジエターグリルの中央に小さくシボレーの「ボウタイ」があしらわれていた。バンパーのデザインも直線的で、全体としてはファニーなイメージ。いかにもファミリーカーといった感じの顔付きになっている。サイドビューもスクエアなグラスエリアとその下に平行してに伸びるショルダーラインがデザインされたシンプルなものだった。

 この初代モデルは、4.3リッターV6エンジンを搭載した3列シートの後輪駆動モデルのみで、リアドアがスライド式になるなど、いってみればすでにこの時点で今日のミニバンとほとんど変わらない内容を誇る。ちなみ日本では「旧マスク」と呼ばれていた。
 
 その後、小さな変化、大きな進化を繰り返し(ABS装着、4WD追加、若干のエンジン改良など)、デビュー10年後の95年に初めてのフェイスリフトが行われたのである。ただし、95年時のマイナーチェンジは、このフェイスリフトのみであり、エンジンは94年までのものが使用されていたのである。

プリマスボイジャー、ダッジキャラバンがミニバンの祖と言われている。たしかに乗用車シャシーをベースにしているだけあって、乗り味が乗用車的だし、当時のコンセプトにも合致する。一方でアストロはトラックシャシーをベースにしているため、商用的なイメージ。

「旧型マスク」と呼ばれる初期モデル。角目2灯式のフロントマスク、ブラックアウトされたラジエターグリルの中央に小さくシボレーの「ボウタイ」があしらわれ、ファニーな印象が大人気となった。この型は、93年型から日本でも正規輸入が開始され、当時は諸経費込みで600万円近い高級車として販売されていたのである。

四角四面のミニバンとして、機能は旧型当時から非常に高いものを有していた。まさしく今日の日本のミニバンたちの下地になったといっても過言ではないのである。

95年に大きなフェイスリフト

 この95年のフェイスリフトは、これまでとは一転、逆スラントしたラジエターグリルは真ん中に上下を分割するホリゾンタルバーが通され、その中央にボウタイマー進クを装着。ランプのレイアウトはホリゾンタルバーの上部がヘッドライト、下部がウインカーレンズとなっているなど、アストロオーナーの中では一変と言われるほどの変化だった。

 個人的な印象としては、この年代から「商用車」風情が強くなっていると思っている。旧型にあったアメリカンな雰囲気やファミリーカー的なイメージが消え、一気に商用モードが強くなっている。

 96年にはメカニズムも刷新され、エンジンはボルテックエンジンに進化し、インテリアなども劇的に変化している。

 ちなみに、日本仕様のアストロは、93年の3月にデビューしている。いわゆる正規モデルである。ラインナップは、LT(ラグジュアリー・ツーリング)の2WDと4WDで、当時2WDで480万円という価格設定がなされていた(諸費用込みで600万円近い高級車?)最高出力は200馬力、最大トルクは35.9kg-mというスペックだった。
 その後、8ナンバー仕様「フォレシエスタ」というヤナセ独自のモデルも登場するなど、空前のアストロブームがやってきたのである。ちなみに、インポーターがヤナセからGMに変わったりスズキに変わったりと、いろいろあった。

 多くの派生ミニバン全盛の今日でも、そして生産終了後7年以上経った今でも、アストロの人気が衰えることなく続いている理由、それはデビュー当初から基本コンセプトがいっさい変わることなく生産され続けたことではないかと想像する。
 言い換えれば、デビュー時点でのコンセプトが素晴らしく、その時すでに「完成していた」ともいえるだろう。

 ひと昔前のような、いじる楽しみを見出す方々は減ったかもしれないが、ミニバンとしての機能はいまだ劣らずで、現在においても手に入れるに足る、十分な価値を見出すことができる。ただし、コンディション等の把握をきちんとすることが前提ではあるのだが…。

ハイルーフと言われるコンバージョンモデルが登場したり、インポーター独自仕様が登場したり、当時のアストロ人気はもの凄かった。写真は当時ヤナセが輸入していた時のディーラー車。後にディーラーマスクと言われるヘッドライト形状が特徴である。ちなみに、メインカットのアストロが並行モデルのヘッドライト。このディーラーマスクは、後に並行と同様のマスクに変更されることになる。

旧型マスク当時は一部にデジタルメーター仕様があるなど、個性的な部分が多かったが、96年以降のモデルは写真のようなスッキリしたインパネに進化している。あくまで商用ベースだから、仕方ないのかもしれないが、個性が減ったと嘆く方が多かったのは事実である。

<関連記事>
>> アストロ カスタムカー vol.1 を見る
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>> アストロ 試乗記 を見る

最終モデル当時のD車のカタログ。

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