アメ車ワールドの車両紹介記事の中でもトップクラスのアクセス数を誇るのがエレノア関連のページです。
言うまでもなくエレノアとはフォード・マスタングをベースに制作されたカスタムカーの事ですが、実はこのエレノア、人気がある割に意外とモデルの詳細を正確に認識している人が少ない。ま、エレノアはメーカー純正モデルじゃなくてカスタムカーなので、これはある意味仕方ないというか、当然と言えば当然なんですが。ただ、せっかく人気のあるアメ車に関する情報が不足しているというのは業界的に勿体ない。ちょうど次期マスタングが発表される時期でもあるし、いい機会なのでアメ車ワールドで一度しっかりとエレノアについて検証してみようということで、新車と中古車の両方を販売中のASDNで取材をさせていただきました。
今年から発売された2013年型及び2014年型の現行フォード・マスタングをベースにした新型エレノアについては、既に下記リンク先で詳しく解説していますので、そちらをご参照ください。
>> 新型フォード・マスタング・エレノアが日本初上陸!
まずエレノアの誕生についての経緯を簡単に説明すると、そもそもエレノアというのは2000年に公開された『60セカンズ』というハリウッド映画に出てきた劇中車です。この映画はアメ車ファンにはお馴染みの『バニシング in 60″』という1974年公開の映画のリメイク版なんですが、アメ車ワールドで映画の話をしても仕方ないので、この辺は端折ります。興味のある人はウィキペディアで『60セカンズ』と検索して下さい(笑)。
この60セカンズに出てきたエレノアがどんなクルマかというと、ベースは1967年型フォード・マスタング・シェルビーGT500になります。「ベースは」という言い方をしたのは、このGT500にカスタムが施されていたから。カスタムの内容は主にエクステリアの変更(映画の中の設定ではNosなんかも装備されてます)となりますが、なぜわざわざカスタムしたのかは不明。というか、私は知りません。また、映画では1967年型という事になっていますが、劇中に登場した車両は実際には1968年型の普通のマスタングをベースに製作されたようです。
穿った見方をすれば、コレクターズアイテムとして希少価値の高い本物のシェルビーGT500を何台も集めるのは大変だし、カーチェイスで壊すわけにもいかない。ついでに言えば本物の忠実なレプリカを製作するよりもカスタムカーにして誤摩化した方が楽とか、そんな理由だったんじゃないかと?(笑)。ま、想像ですが。
このエレノア、映画が公開されるやいなや大人気となります。デザインに関する好き嫌いは人それぞれですが「カッコイイ!」と思ったファンが多かったんでしょう。日本のマッスルカーファンと違い、アメリカのオールドカーファンの中には『フルオリジナル』にこだわらない人も多いし。で、当然のようにエレノアをモチーフにしたカスタムカー(レプリカ)が数多く製作されました。しかも、後にはあのキャロル・シェルビーのライセンスまで取得した本格的なコンプリートカーも登場。結果的にこの劇中車をモチーフに製作されたカスタムマスタング全般が『エレノア』と呼ばれるようになりました。
この初代マスタングをベースにしたエレノアには、専門のカスタムファクトリーが製作した本格的なコンプリートカーから、個人が趣味で製作した手づくり感満点のカスタムカーまで様々な車両が存在します。筆者自身も日本で数台のエレノアを取材しましたが、エンジン、ミッション、足回りなどはもとより、エクステリアパーツも個体によって細部がけっこう違います。
あくまで個人的な見解ですが、初代マスタングベースのエレノアはベースモデル自体が半世紀近く前のクラシックカーだし、カスタムのレベルも個体ごとに区々。購入時にも購入後にも手間もお金もかかる事が予想されるので、アメ車初心者の方にはかなりハードルが高いと思います。もしどうしても欲しいという方は、旧車のメンテナンスに精通した信頼出来るショップに注文することをお勧めします。
先の項目では、映画『60セカンズ』に登場した劇中車をモチーフに製作された初代マスタングベースのカスタムカーが、エレノアと呼ばれる一連のカスタムカーの元祖という話をしましたが、実は前項目までは前説みたいなもの。本題はここからとなります(笑)。
初代マスタングベースのエレノアの人気を受けて、「面倒な旧車ではなく、楽な現行車をベースにエレノアを作ったら売れるんじゃないか?」と考えたかどうかは分かりませんが、2005年に登場した6代目マスタングをベースにしたエレノアが登場したのが2006年のこと。言ってみればレプリカのレプリカですね。
この6代目マスタングをベースに製作されたエレノアは、当時飛ぶ取りを落とす勢いだった『サリーン・ジャパン』が日本に導入。コンプリートカーとして販売したのですが、ディーラーで販売されていたノーマルの正規輸入車よりも100万円以上高価な価格設定であったにも関らず、その迫力のスタイルで日本でも大人気となりました。
サリーン・ジャパンは2009年に消滅しましたが、その後もサリーンに加盟していた一部の販売店が独自に販売を継続したため、今でもたまに中古車市場で見かける程度のタマ数は存在しています。
ちなみに、サリーン・ジャパンが存続時に同社が販売したエレノアには同社独自のコーションプレートが付いています。筆者が見た限りでは、サリーン・ジャパンが正規販売した車両は、中古車となっても程度良好な個体が多い気がします。
6代目フォード・マスタングは、2010年にマイナーチェンジしますが、エレノアもこのマイナーチェンジに合わせてフロントフェイスが変更されます。そして、このマイナーチェンジ後のエレノアを日本に導入したのがASDNになります。ASDNが販売中の2010〜2012年型のエレノアについては後編で詳しく解説します。
>> フォード・マスタング・エレノア 購入ガイド_その2
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