あまりにスパルタンすぎて客からクレームが来たという「GT350」や、高すぎるパフォーマンスを隠すためカタログにあえて低いスペックを載せた「GT500KR」。1960年代に活躍した初代の頃から、「SHELBY(シェルビー)」の名を冠するマスタングは、常に物議を醸す存在だった。
そして2006年、再びシェルビーは復活した。2005年にデビューしたマスタングをベースに、スーパーチャージャーで武装した5.4リッターV8をフロントノーズに押し込み500hpオーバーのパワーを後輪だけで路面に叩きつける。トランスミッションにATは存在せず、ドライバーは6MTを駆使して獰猛なエンジンを手なずける。
純粋にパフォーマンスだけを見れば、このクルマがスピードとパワーを得るために行ったドーピングは凄まじい。なんてったってエンジンは、あのフォードGTのために開発されたものをベースにしており、そこには悪魔に魂を売る一歩手前といったある種の凄味が漂っている。
そんなシェルビーGT500は、2006年にデビューし毎年のように進化し続けていった。2009年当時までのGT500のマックスパワーは500hp、2010年型は540hpとなり、翌年すぐさま550hpにパワーアップ。圧倒的パフォーマンスを伴ってアメリカン・ハイパフォーマンス・カーの王座を本気で狙い始めた一台だった。
だが2011年当時、シボレーにはコルベットZR1が(639hp)、クライスラーにはバイパーがいた(600hp)。バイパーに関してはV10NAエンジンだったから直接のライバルとはならずとも、シェルビーGT500が本気でチャンピオンを名乗るには目の上のたん瘤だったに違いない。
さらにその当時、シボレーからカマロZL1(580hp)なる、これまたハードチューンのマシンが登場するという状況下におかれ、シェルビーGT500はどうしたか?
フォード陣営は、2012モデルをすっ飛ばし早々に2013年モデルを発表。なんと、排気量を5.8リッターに上げスーパーチャージャーを変更、インタークーラーを大型化するなどして662hpの超スーパーマシンに仕立て直したのである。
ライバル、カマロを無視し、バイパーやZR1すら超えて、一気に100hp以上増強した662hpのパワーに合わせ、各部もよりヘビーデューティに仕上げ直した。カーボンファイバー製のドライブシャフトを採用し、デュアルディスククラッチ、6速MT、ファイナル3.31+LSDを携えるなど、アクスル等の強化も行っている。
同時にブレンボ6ピストンキャリパーや耐フェード性の高いパッドを使用し、ブレーキも格段に強化されている。すなわち、数字だけの木偶とはせずに、本気で使えるマシンに進化させ、一気にチャンピオンの座に上り詰めたのである。
2013~2014年において、世代ナンバーワンのアメリカンマッスルとなったシェルビーGT500だが、ベースモデルとなるマスタングのモデルチェンジにより生産終了。後継モデルは、2016シェルビーGT350であるが、V8NAエンジン搭載で500hp超のアウトプットに制限されている。
それまでのモンスターマシン風情というよりは、サーキットスペシャルを目指したトータルバランス重視のマシンへと進化を遂げており、それはそれで良いのだが、アメリカンマッスルとしての片鱗は残して欲しかったという意見も多数あるという。
それが証拠に、2013~2014年におけるシェルビーGT500の存在価値は急激に高まり、全米でも中古車価格が高騰しているのである。
ここで紹介しているマシンは、BCDの直輸入車であり、これまでのGT500の販売台数の多さから得たノウハウを武器に輸入車好きの味方として購入からその後の維持までを万全の体制で支えてくれる。
ちなみに、2015年からのナンバーワンマシンは、ダッジチャレンジャーヘルキャットであるが、その辺の話はまた後日。
最後に、ふたたび余談だが、シェルビーGT500のホントの後継モデルが登場するとも言われており、ヘルキャットの707hpを越える800hpモンスターとも囁かれているが、果たしてどうだろうか。故キャロルシェルビー氏が生きていれば、必ずや登場させたたとは思うが…、フォードの今後に注目である。
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