もう何度も書いているからご承知の方も多いと思うが、カマロ、マスタング、チャレンジャーといった現代版マッスルにおいて、一番カッコいいのがチャレンジャー、乗って一番アメ車らしいのがマスタング、そして走って一番速いのがカマロ、というのが実際に触れてみての私の感想である。
つまり、カマロはクルマとしての出来が一番良く、カマロのスタイルに違和感を感じなければ、それこそオススメ鉄板モデルとして紹介してもいっこうに差し支えないと思っている。
ここ数年のGM車は、キャデラック系のハイパフォーマンス車に始まり、ことごとく出来がいい。特にボディが格段にシッカリしており、サスペンションの制御にも筋が一本ビシっと通っているから(マグネティックライドの進化にもよる)裏切られることは一切ない(だからC7コルベットにも期待できる。デザインの良否はさておき)。
そうした進化の波は、室内各部のクオリティにも現れており、少なくとも質感という部分においては、旧世代のどのモデル達と比較しても「天地の差」と表すことができるだろう(他メーカーもクオリティが上がっているが、質感が高いと思わせるように設えるのはGMが一番上手い)。
で、こうしたGM車のクオリティ感を凝縮した1台が現行カマロである。乗ると分かるが、かつてのクルマ達との差は歴然であるし、パフォーマンス自体にも不満は感じない。4thカマロ時代を思い起こせば、それこそ一気に3世代くらいの飛び級進化。とくにV8クーぺにおいては、ちょっと穏やかなBMW M3かと思うくらいの出来映えである(個人的にはMTモデルが好み)。
搭載されるエンジンは6.2リッターV8スーパーチャージドエンジン。カマロ史上最大のこのエンジンは580hp、最大トルク556lb-ftを発生させる。キャデラックCTS-Vと同様のエンジンであるが、パワー感やフィーリングは少し異なる。
レースフィールドからフィードバックされたというアルカンターラ巻きのステアリングやセンターコンソール。全体的な質感は高く、操作性にも違和感は感じない。
カマロのセンターコンソールには2DINサイズのナビが装着できないので、取材先のガレージダイバンではオリジナルでダッシュパネルを製作し、大口径のナビが装着できるように改良を加えている。手前に見えるのは、もともと装着されていたオリジナル品。
コンバーチブルと聞いて即座に気持ち良くのんびり走ることを想定していたが、ZL1の走りを体感すると、是が非でも飛ばしたくなる。それほど走りが刺激的だった。
そんなカマロに登場したハイパフォーマンスバージョンが、カマロZL1。フォードマスタングのシェルビーGT500に対抗するために生まれてきたトップモデルである。
メーカー公式発表によれば、0〜60mph加速が3.9秒で、最高速度が296キロ/hにも達するという。しかもこれは、タップシフトと呼ばれるATによるもの。MTモデルも当然存在するが、MTだと若干遅くなるというから驚きである(4秒)。
搭載されるエンジンは、6.2リッターV8スーパーチャージドエンジン。カマロ史上最大のこのエンジンは580hp、最大トルク556lb-ftを発生させる(キャデラックCTS-Vと同様のエンジンだ)。
このカマロZL1で象徴的なのが、常にサーキットでのテスト走行を全面に押し出し、速さやラップタイムをアピールしていること。これは、過去のアメ車では考えられないことであり、このこと自体も現代のGM車の高性能ぶりを知らしめるエピソードのひとつである。
実際にカマロZL1のラップタイムは良好で、例のニュルブルクリンクサーキットを7分41秒27でラップする。これは同コースを走ったノーマルカマロV8よりも40秒近く速いラップタイムである。
ちなみに、コルベットZ06が7分22秒68、ZR1が7分19秒63でラップしているが、それらより200kg違う車重や乗用車ベースの4人乗りのマッスルカーということを考慮すれば、カマロZL1がいかに速いかおわかりいただけるだろう。
さらに面白いのが、シェルビーGT500との比較において、カマロがニュルブルクリンクメインで鍛えているのに対し、シェルビーはラグナセカなどの国内サーキットを主戦場としていること。限界値の性能は、アップダウンの激しい超難所コースで鍛え上げられたカマロに軍配があがるのは至極当然のような気がする。
巨大なボンネットフードには、ブラックにペイントされたパワーバルジが備わる。これがZL1の証でもある。
ホイールはフロント285/35ZR-20、リア305/35ZR-20インチを装着。んブラックカラーのZL1専用ホイールの内側にはブレンボ製キャリパーが備わっている。
アルカンターラとレザーのツートーンシート。ホールド性も良く、ハードな走りにも対応する。赤いステッチが洒落ている。
非合法な速度域でなければ、それこそアクセル調整はほとんど必要なく、ステアリングを切れば何事もなかったようにコーナーをクリアする。
そんなカマロZL1の試乗であるが、当日現れたのはZL1のコンバーチブル。デビュー当時は史上最速のコンバーチブルと唱われたモデルであり、後にシェルビーGT500コンバーチブルが登場するまでは、スペック的にも世界一だった。
コンバーチブルの基本構成は、ノーマルカマロコンバーチブルとほぼ変わる所はなく、車体と幌との比率等も変わらない(だからオープン時のスタイルが抜群にイイ)。だが、ZL1には、盛り上がったボンネットフードや20インチホイール等が奢られており、見た目一瞬にして「タダモノではない」雰囲気を察知するはずである。
さらにエンジンを始動すると発する爆音が高性能を予感させるし、アルカンターラが巻かれたステアリングやダッシュボード等がひと味違う上級カマロをアピールしている。
動き出して感じるのが、ボディのシッカリ感である。オープンモデルということをまったく感じさせないこの作りの良さには驚きを越えて笑いが出る。しかもめちゃめちゃ速い!
本来なら、「踏めば強烈なトルクを発するドロドロしたV8サウンドを青天井のもと、片手でステアリングを握り、軽く流すような運転で楽しめる、最高!……、なんて書こうと思っていたのだが。
だが、実際にステアリングを握り路上に出ると、ビックリするほどの強烈な加速感に、正直誰彼構わず勝負を挑みたくなる(笑い)。しかもMTモデルと違って、ただアクセル踏めばいいわけだから〜。
一緒に取材していたカメラマンが「ノーヘルでバイクに乗ってるみたいだわ」と言っていたが、まさにそんな感じ。ゆっくり流すというよりは、風とともに加速するその瞬間を刹那的に楽しむといった感じである。
コーナリングに関しては、たとえば一般道でのコーナーなんかは、まったくロールせず、不気味なほど何事もなかったように曲がる(余分な荷重移動がかなり少ない)。多少スピードが乗るようなレベルのコーナーでも同じ。少なくとも、筆者の腕では限界なんて見極められないし、まぁ、普通に乗る限りにおいては決して破綻するレベルにはならないと思う。そのくらい限界は高い。新世代のマグネティックライドコントロールやエレクトロニックスタビリティコントロールさまさまではあるのだが(さすがニュル仕込み)。
取材時にお台場周辺を走っていたら、現行型のスカイラインGTRと何度かすれ違ったが、明らかにこちらを意識していた。ただ、街中での勝負は圧倒的にZL1有利だったし、視線を浴びる回数もカマロの方が断然上である。何よりエンターテイメント性においてはまったく勝負にならないだろう。
まぁそれにしても、700万円前後の価格帯でこれほどのパワーを持ったスーパーカーが買えるなんて、なんて幸せなんでしょう。
このクルマに乗る前は、ZL1買うなら迷わずクーぺを選んでいたが、今なら間違いなくコンバーチブルを選ぶ。大排気量V8エンジンの咆哮がキャビンに響き渡り、シフトダウン時のブリッピングサウンドや精緻で豪快なエキゾーストノートを生で満喫すれば、なるほど! と誰もが納得してくれるはずである。
ホワイトのボディカラーに各部にもたらされたブラックカラーが良いアクセントとなっている。
リアの造形はノーマルカマロからそう大きく変わることはないが、4本出しマフラーから聞こえる精緻で豪快なエキゾーストノートは別物でZL1ならでは。
MT信奉者の筆者としては、「クーぺ+MT」モデルが基本路線であったが、この試乗後は、「コンバーチブル+AT」はかなり魅力的な組み合わせであると思う(正直、「コンバー+MT」にも未練を感じるが…)。とにかくコンバーチブルは速くて楽しい!
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19,404円
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19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
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