街中で見る赤いSUVといえば、日産エクストレイルくらいか。さらにいえばBMW X3にFJクルーザーに旧XJチェロキーくらい…。筆者の周りでは、そんなものである。
アメ車の場合に限れば、赤いSUVなんて非常に限られている。ほぼ皆無といっても過言ではない。まぁ昔から白か黒っていうのが、ある意味イメージカラーとなっているから(?)、仕方がないと言えばそれまでだが。
だがこれまた筆者の周りには、結構なクルマ好きがいるもんで、ある方は赤いベンツワゴンに乗っており、めちゃめちゃオシャレな方なのだが、そいつに乗って波乗りから街中までを疾走しているし、原色ブルーのポルシェやスカイブルーのミニに乗る友人もいる。
彼らいわく「どうせ外車に乗るならね!」ということだ。
今回試乗させていただいたダッジデュランゴは、2003年型5.9リッターV8エンジン搭載のR/T。オーナーさんは、ヘアメイクアーチストということで、数台あった在庫車の中から赤いデュランゴを即買いしたそうである。この赤、デュランゴの純正色である。
さらに、かつて一世を風靡したデュランゴベースのカスタムカー、SP360のエアロを装着し、その他はフルノーマルのままという、じつに今どきのチョイスである。
2003年型5.9リッターV8搭載の純正赤のデュランゴ。このままでもグッドコンディションかつレアモノということで良かったのだが、今回あえてSP360のエアロのみを前後に装着した。これにより、おそらく「日本に1台の仕様」になったはずである、ということで。
まやかしによるキレイなエンジンルームというよりは、使い込んだ年輪が刻まれたエンジンルーム。走行10万キロをわずかに超えるというが、まだまだ完調を保っている。245hpとノーマルでのチューンレベルが低いことも耐久性に利いているのだろう。
大きな二灯のフォグランプが特徴となるSP360エアロ。かつてキャロルシェルビー氏が参画したチューン車両のエアロである。ベースとなるのは、ジャパンレーストラックのエアロだった。
非常に明る赤色だけに、街中で目立つこと必至。迫力のアメ車というよりは、どこかのオシャレさん、みたいな印象を与えるようです。
ダッジデュランゴは、1998年にデビューしたミドルクラスSUV(〜2003年が最後)。基本となる骨格はミドルクラスなれど、そこに使われたエンジン等の補記類はすべてフルサイズクラスのものということで、日本では爆発的にヒットしたモデルであった。ちなみにデュランゴは、現行で3代目まで進化しており、初代とはまた違った魅力を伴ったSUVとして認知されている。
デビュー当初は、5.9リッターと5.2リッターV8がラインナップされ、00年型から4.7リッターV8が追加されている(本国には3.9リッターV6まで存在する)。余談だが、デュランゴには数種類のパッケージが存在しており、「R/T」と「SLTプラス」が有名で、「R/T」は2001年型から5hpアップしており245hpとなり、「SLTプラス」は、2000年からウッドパネル化され、2002年型からグリルがクローム化される等、ラグジュアリー傾向のパッケージとなった。
すなわち取材車輌は、2003年型のR/Tということで、初代型末期の5.9リッターV8R/Tで245hpを発生させる貴重な純正赤色ということになる(エアロのみ社外であとはフルノーマル)。さらにいえば純正タイヤサイズ275/60R17の、これまた純正ホイールを装着しているレア車と言っても過言ではない。
SP360エアロのリア側。エアロに組み込まれた穴から一方はマフラー、もう一方にバックライトを仕込み、上手く処理している。
ホイールは、貴重な純正サイズ275/60R17インチを履いている。これが乗り心地にも効き、今どきのSUVにも通用する快適な乗り心地を与えてくれる。
インテリアも非常に良好なコンディションであり、距離数を感じさせないヤレ具合。聞けばワンオーナーだったというこもあり、距離数に惑わされず、あくまで個体程度重視で探すことが必要である。
この年代のデュランゴに限らず、旧タホやカマロ、コルベット、チェロキー、アストロetcなんかを安価に購入して「こ綺麗にしてサラッと乗る」っていうプチブームが都内では今、起こっているんですよね。ちなみにボロいまま乗るのはNGだそうです。ダサさ丸出しということで。
これまでに見たデュランゴは、黒、白、青、ガンメタ、シルバー、ワインレッド。これでほぼすべてと思いきや、純正色には真っ赤があったのだ。エアロ以外基本フルノーマルのそれは、約10万キロという日本国内での実数距離を稼いでいるが、適切なメンテナンスにより、いまだに完調を保っている。エンジンルームを見ればわかるが、驚くほどキレイだった。とはいえそれは、キレイに見せるためのまやかしではなく、定期的に手を加えていたからこその見栄えである。
エンジンは一発でかかり、野太い排気音も健在である。走りだせば、極低速域からでも感じる硬質なステアリングフィールとボディ剛性。それらもいまだに健在だった。ちなみに、この部分が初代デュランゴの調子を見るひとつのカギである(ここがダメになっているクルマは、ほぼ十中八九ほかもダメである)。
現代の感覚でいえば明らかに小さいボディは、見切り良く、機敏なステアリングの反応を伴ってドライバーに一体感を与えてくれる。しかもロールが少ないから、かなりスポーティな印象も与えてくれる。
今の時代、意外と機敏に反応するクルマは多い。だがそれは人工的な味付けのもと行われたある種のドーピングによるものである。そういうクルマは、新車時期から距離を重ねるごとに消耗し、その機敏さを失って行くのである(その代償は大きい。整備代十万単位の出費である)。
だが、この時代のデュランゴは、ボディ全体の軽さがもたらす軽快感やダイムラーが製造にかかわっていた時代の産物という作りの良さを伴って、時間が経った今もなおトータルバランスに優れる魅力的なSUVなのである。
だからこそ、良い個体が見つかれば、「今だに即売れる」というだけあって、この純正赤は、街中でも目立つし人気必至な1台なのである。ちなみに、弱点等もあらかた出尽くしているため、距離数よりも個体の程度を重視してタマを選べば、まだまだ楽しめる存在であるということも、この10万キロ超のデュランゴは教えてくれるのである。
シートは、レザー表皮に若干のヤレがあるが、破れや汚れ等はなく、個体程度を計る物差しにもなる。
メーター等の針もすべて完調で、総じて各部の細かい部分における程度もすべて良好だった。吹け上がりはまあまあだが、最新のV8と比較すれば、かなり濃密なフィールが味わえる。
たったの245hpと思うかもしれないが、乗ればそんな不安は一蹴される。低速パンチ力はアメ車ならではのものである。また極低速域からでも感じる硬質なステアリングフィールとボディ剛性の高さ、さらにロールの少ない走りがデュランゴの真骨頂である。コンディションさえ良ければ、全体の軽さがもたらす軽快感とダイムラー製の作りの良さを味わうことも可能である。
恐らくちょっと古いアメ車の持つデザイン的魅力を再発見した方々が動いているのでしょう。このデュランゴを購入された方もそんなお一人で、だからこそシンプルに、素材の良さを消さない範囲のカスタムで収めて、赤いSUVを仲間内に自慢されているそうです。
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