欧州市場では、フォルクスワーゲンポロと真っ向勝負を繰り広げるというフォードフィエスタ。実際にはヨーロッパフォード作ということで、われわれがいつも接しているアメリカンなフォード車とは若干異なるテイストだが、1リッター3気筒エコブーストエンジンに心惹かれて試乗させてもらったのである。
取材したフォードフィエスタは、もともと2008年に登場したモデル。2012年に大掛かりなモデルチェンジを受け爆発的人気となり、それが今年1月からフォードジャパンにて正規モデル車として導入されることになった。
いわゆるBセグメントと言われる小型系のカテゴリーに属する車輌ということで、見栄えに関しては、正直大した期待はなかったが、実物を見て驚いた。全長×全幅×全高=3995×1720×1475ミリというボディサイズなのだが、驚くほどのカタマリ感を持ち合わせ、パッと見で「カッコいい」と一瞬で心奪われたのである。
切れ長なヘッドライト、ボリューミーなボンネットフード、フロントからリアに描かれるキャラクターライン、それらすべてがカタマリ感のあるボディに立体的な造形を与え、小さいながらもダイナミックな印象を与える。よくよく見ると「小さなアストンマーチンか」と思わせるような一面もあり、単なる小型コンパクトの1台とは思えないほどの質感であり、いいモノ感であふれている。
同時に室内も見回したが、インテリアの雰囲気も思っていた以上に上質であり、手に触れる各部のクオリティは、フォーカスやクーガ等にまったく劣らず、センターコンソールに使用される各パーツはエクスプローラー並のタッチやフィーリングである。ちなみに、こうした上質なフィーリングを持ち合わせつつも、ナビは装着されず、コンソール系に表示される文字はすべて英語表記のままである(笑)。
フォード自慢の1リッター3気筒エコブーストターボエンジン。小排気量ながらリッター100psを達成。最大トルクは17.3kg-mを発生させる。自慢するだけはある、見事なエンジンである。
デザインも秀逸だし、質感も高いし、各部のタッチやフィーリングも言うことなし。全体的に使い勝手良く、機能的にも充実している。
ただし、リアビューモニターは付くもナビゲーションは付かず、ダッシュに表記される文字はすべて英語表記となっているのが、らしいといえばらしいか。
興味津々の1リッター3気筒エコブーストエンジンだったが、これが期待以上の逸品だった。3気筒といえば自宅にある軽自動車を連想させるが、そんな軽薄な印象はまったくなく、直噴システムと可変吸気バルブタイミングとターボを組み合わせることで発生させる100psは圧巻であり、かなり素早い加速を見せる。
その際のフィーリングも、振動騒音の類いはほとんど感じず、「このボディにこの加速で何の不満があるだろうか」と思わせるほど、シッカリしたものだ。フィエスタは、世の中的にはエコカー的な味方もあるのかもしれないが、いやいやエコカーなんて雰囲気は一切なく、かなり上質なファンカーである。
このエンジンに組み合わされる6速ATは、デュアルクラッチミッションだが、シフトノブにあるサムスイッチにてマニュアル操作可能であり、かなりダイレクトな変速が可能である。もちろんATモードで自動変速も可能であるから、好みに応じてドライブ可能である。言わずもがなだが、どちらでもまったく不満なくドライバーの意に応じて反応してくれる。
驚くべきは、そうしたエンジンやミッションがひとつになった走りだった。ボディやステアリングの感触は非常に硬質であり、もちろんボディもかなりシッカリしているし。硬質なハンドリングは、キビキビ走るフィエスタに質感を与え、3気筒と聞かなければまるで分からないエンジンは、かなりの速度域までフィエスタを加速させる。さすがリッターあたり100馬力というポテンシャル。とわいえ燃費も良く、カタログ数値で17.7km/Lというから立派である。
正直、「日本の街中走るなら軽自動車で十分か」 なんて思う自分がいたのだが、フィエスタに乗ると、「いやいや、こういうクルマに乗るべきやん」と素直に思えるから不思議である。というか、最初に見た段階である程度決めていた。ひと目惚れである。「やっぱりカッコいいクルマに乗るべきだわ」
6速ATはデュアルクラッチミッションであり、シフトノブにあるサムスイッチにてマニュアル操作が可能である。
フロントシートはバケットタイプのホールド性が良好なもの。シート地は布製だが滑ることもなく、良好な座り心地を示す。
リアシートは3つのヘッドレストが装備される6:4分割可倒式のシート。居住空間は格段に広いということはないが、大人が座っても十分な姿勢が取れるほどの広さはある。
このクルマが一番カッコ良く見えるのが、真横から若干動かした「前後9対1の角度」である。写真にないのが残念だが、ミニアストンさながらのフォルムに食指が動く。
今や厳しい監視の目で、一般道で飛ばそうと思ってもそんなに飛ばせるものじゃないし。わざわざ免許証気にして運転もしたくないし。だからこそ質感高いカッコいいエコ的なクルマがあれば、それこそ皆が待ち望んだ1台ではないか。「どんなに燃費が良くったってトヨタアクアには乗りたくないし、フィットも嫌だ…、だったら軽で十分だし」。だがこのフィエスタなら、そうしたエコカーたちを凌駕する質感と魅力を併せ持つし何より断然スタイリッシュである。
今現在、家に3台のクルマを所有しているが、「コスト削減ですべて破棄して1台にせよ」とのお達しが出たならば、筆者は迷わずフィエスタ1台にするだろう。
開口部が広いトランク。スペースに凹凸がほとんどなく、荷室としてかなりのスペースを活用できる。細かいようだが、こういったポイントを確実に押さえているのが人気の理由だろう。
最後の最後に大逆転だったが、フィエスタはハイオク指定だった(笑)。高質力エンジンゆえに致し方ないのか…。まあそれでも、良いクルマに変わりはない!
ボディカラーは全6色。取材車両のホットマゼンダメタリックの他に、ブルーキャンディメタリック 、フローズンホワイト、ムーンダストシルバーメタリック、パンサーブラックメタリック、レースレッド がある。個人的には、ブルーかブラックのどちらか!
<スペック>
●全長×全幅×全高:3995×1720×1475ミリ
●ホイールベース:2490ミリ
●車両重量:1160kg
●総排気量:997cc
●エンジン:直列3気筒DOHC直噴ターボ
●最高出力:100/6000(ps/rpm)
●最大トルク:17.3/1400-4000(kg-m/rpm)
●トランスミッション:6AT
●サスペンション:フロント/ストラット
●サスペンション:リア/トレーリングアーム
●タイヤサイズ:195/45R16
●価格:229万円
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES