新世代のフレーム構造を持つ新型モデルエスカレードではあるが、ホイールベースは旧モデルと同様の2950ミリであり、サスペンション構造もフロントが独立懸架、リアがリジッドという基本形式に大きな変更はない。
また、6.2リッターV8OHVエンジンも、旧モデルからの流用となるが、直接燃料噴射システムや気筒休止機構、可変バルブタイミング機構などが搭載され、最高出力は426ps、最大トルク63.5kg-mを発生させる。それぞれ旧モデル比で4%と10%増強されているというが、実際に走ると果たしてどうか?
このエンジンに組み合わされるミッションは6速ATだが、巷では8速AT搭載車も走っているが、長く乗るなら個人的には実績のある6速AT&D車による安心感をチョイスするほうが賢明だと思っている。このレベルになれば燃費問題においてもたいした差が出ないだろうし、低速からのパンチを重視した6速ATでも不足はないだろう。
それにしても塊感が一層強くなったボディは、見るからにデカイ。実際のサイズもデカイが見るからに圧を感じさせる角形ボディはさすがである。ドアを開けるとサイドステップが自動で迫り出してきて、乗降性はまったく悪くない。このステップの迫り出し方は調整することも可能だという。
高い位置にある運転席に座ると前方視界が大きく開ける。ボディの見切りは若干気になる程度で、慣れれば神経質にならずに済む。ちなみにバック時はリアビューカメラの指示に従えば問題ない。というか、非常に頼りになる存在だった。
走り出したエスカレードは、低速から極太トルクを感じさせ、車重2.6トンのスーパーヘビー級のボディを力強く走らせる。車重をものともしない軽々走らせるパワー感はさすがであり、まさにアメリカを感じさせる部分である。大人5人が乗車してもまったく変わらず淡々と走る。
また静粛性が驚くほど向上し、ロードノイズの遮音もすばらしく、一般道で勢いよくアクセルを踏みつけても、室内に侵入してくるエンジンノイズもほとんどない。
走りの質感も格段に良くなり、特にステアリングの正確性は雲泥の差(街中を走った程度もわかる)である。いわゆるトラックベース的な曖昧さはまったくなくなり、たとえばベンツから乗り換えても違和感がないほど引き締まった印象である。
それにしてもキャデラックデザインの突出した迫力は圧巻である。インテリアも、ハンドクラフトされたというだけあって、質感ともども高級車としての満足感は非常に高い。試乗車はホワイトボディにベージュレザーの組み合わせだったが、ブラックボディにブラックレザーの組み合わせも非常にクールな印象だった。
新型ではセンターコンソールから続く張り出しが一段と大きくなって、助手席との距離感が広くなった。ステアリングやペダル類は以前と同様に軽いが、ステアリングと同様に、ブレーキフィールの頼もしさも著しく向上している。制動力そのものの進化も明らかだが、一定の踏力でピタリと上品に停止できるのがなにより素晴らしい。
そういう意味では、高速道路では以前よりも高い速度アベレージで走ることが可能であり、高速スタビリティの安定感も抜群に高まったし、一方で街乗りでの乗り心地も高級車としてのレベルを引き上げており、第三世代となるマグネティックライドサスペンションを含めた足回り全般のさらなる進化によるものが大きいのだろう。
新型エスカレードは、モデルチェンジにより一層の高級感を身に付け、トータルバリューは確実に上がっている。ラグジュアリーアメリカンSUVの商品競争力をさらに一段引き上げたと言っていいだろう。ただ、価格は1300万円超となるから、誰にでも勧められるクルマではないが、実際に手に入れられる余裕のある人にとっては一考の余地ありと言えるだろうし、手に入れれば絶対に満足するに違いない。
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