13年落ち10万キロ超えのエスカレード

2011 キャデラックエスカレード

走行距離数からは見えない「真実」に迫る

中古車市場でいまだ人気絶大のキャデラックエスカレードを取材した。

3代目モデルは視野に入れるべき?

　例えばキャデラックエスカレードの中古車を購入しようと考えた場合、最も目が行きがちな年代は4代目と呼ばれる2015年以降のモデルである。

　価格帯にして600万円から900万円程度。それでも最新モデルが軒並み1500万円を超えることを考えれば買いやすい価格帯ということになるのだろう。

　だが、それでも「高くて買えない」となれば、さらなる年式落ちの中古車へ目を向けるはず。そう、3代目と呼ばれる2007年から2014年までの年式である。

▲2011年型エスカレードプラチナム。走行10万5000キロの個体。

▲全体的にフルノーマル状態であり個体のコンディションが把握しやすい。ブラックのボディカラーにココアブラウンのインテリアの組み合わせ。

　それなら200万円台からあるから現実的な話として進めることが可能だろう。が、そうした年式落ちの中古車には、言わずもがな落とし穴が結構ある。距離や年式ゆえのヤレである。この3代目＝10年超の個体のほとんどが10万キロオーバーと言って過言ではないのである。

　だから、販売ショップや個体のチェックが欠かせないし、高年式モデル以上にしっかり吟味して納得して買う必要が出てくる＝10万キロオーバーが一概にダメとは言えないから、個体をしっかり確認して購入する必要がある。

　ということで、10年10万キロ超のエスカレードを取材した。

　その前に初代エスカレードは1999年に登場。2001年に2代目がデビュー、そして2007年にフルモデルチェンジでデビューした3代目。ちなみに4代目は2015年、5代目が2021年デビューとなっている。

▲搭載されるエンジンは6.2リッターV8で403hpを発生させる。6速ATと組み合わされる。

▲ライトベゼル等の外装系のコンディションが非常に良い。

▲純正ホイールの235/45R22インチが装着されている。

　で、3代目エスカレードであるが、全5世代あるエスカレードの歴史の中で、2代目から3代目への進化の幅が一番大きかった。

　すなわち搭載エンジンが6.2リッターV8になりパワーも403hpまで上昇。実はこのエンジン、最新5代目にも搭載されており（パワーは426hpと上昇しているが）、基本ベースは3代目と同機である。

　また、ミッションも8速や10速ATといった多段化ATではないが、堅実な6速ATを搭載しており、これはこれで非常に頼もしい。

　インテリア等の洗練性に関しては、4代目や5代目と比べるレベルではまったくないが、いわゆるアメ車らしいバタくさい感じの高級感は持ち合わせており、高年式モデルと比較しなければエスカレードらしさを感じることは十分可能である。

▲電動サイドステップも普通に動く。プラスティックパーツやゴム系のヤレは致し方なし。

▲ノーマルボディであるから三列目シートを立てるとご覧のようなスペース。

▲旧時代の名残を感じさせるインテリア。異臭や汚れやヤレがまったくない非常にクリーンな状態に感動する。

　さて、取材個体であるが、10万5000キロ走行の2011年型だから、約13年落ちの中古車。ボディカラーはブラック、インテリアはココアブラウンの組み合わせ。

　取材したブルートにはこの他にも複数台の3代目モデルが展示されていたが、筆者は迷わずこの個体をチョイス。というのも、フルノーマル状態の個体だったから。

　あくまで個人的指標だが、年式落ちの中古車を購入する場合、ノーマル状態の方が個体の状態がわかりやすいと昔から思っており、今回もその指標に則って取材車をチョイス。

　で、早速各部を見回したが、思った通り、いや想像以上の個体であった。

▲ウッドパーツにひび割れ等はなく、レザーに瑕疵もない。

▲アナログ基調のエスカレードならではのメーター類。

▲ドア内張り関連に関するヤレや瑕疵はまったく見当たらない。逆に驚くほどの状態の良さに驚く。

　まずボディ全体を見通して気になる瑕疵がほぼないこと。もちろんゴム類やモール類、プラスチックパーツ等のヤレは確実にあるが、それらは通常10年落ちともなればどんなクルマにも現れる症状だからあまり気にならず。それよりもボディの状態も良いしホイールもさほど目立つ傷もないし、総じて印象が非常に良い。

　それにインテリアの印象がもっと良い。ココアブラウンカラーのインテリアも非常にコンディションが良いし、ウッドパーツにひび割れや欠損は全くなく、汚れや嫌なニオイやキズ等もなく、10万キロ超えをイメージさせる物理的なヤレが本当に少ないのだ。

　前オーナーが大切にしていた、もしくは長距離メインで使用される方だった、プラスファミリーユーザーではなかったのだろうと想像できる。というのも、運転席のみレザーシートに使用感があるが、セカンドシート以降には全くそれがないのである。

　ちなみに、エンジンは最新5世代目とベースは一緒であり、ミッションは信頼性の高い6速ATであるから、定期的な油脂類の交換でこの先まだまだ乗れるというし、この個体には大径ホイールではなく純正ホイールが装備されているから、足回りへの負担もさほど大きくはない。

▲運転席にのみ若干使用感が見られるものの、シートの状態に不満を抱くことはない。

▲セカンドシートに使用感がないのは驚き。

▲サードシートに至ってはセカンドシート以上に使用感が見当たらない。

　なので、この状態から各部の消耗品を新品に交換してリフレッシュすれば、それこそかなり上玉なエスカレードに仕上げることも可能だろう。そのくらいベースとしての質はいい。

　「中古車として見に来た場合、距離を気にする方と距離をあまり気にしない方がいらっしゃいます。もし距離を気にせず全体の状態を見た上で納得されるなら、この個体は非常に良い出物だと思います」とブルートの岡崎氏。

　距離を気にする方なら、10万キロを超えているという時点で、はなからこの個体には目がいかないだろう。が、もし距離も大事だが、トータルでの個体の状態を大切にするという方なら、この個体の良さに気付くかもしれない。

　もちろん機械だけに100%安心とは言い切れないが、総額350万円以内で購入出来るエスカレードの中古車ランキングがあるとするならば、この個体はかなり上位にランクインするに違いない。