1967年にデビューした初代カマロの歴史は、2002年まで生産された4代目(4thカマロ)を最後に一度途切れている。そして2009年、7年ぶりに登場したのが5代目カマロとなる。
復活モデルとしてデビューした5代目カマロにおいて、最大のトピックスはそのデザイン。個人的にはスーパーカーにも引けを取らないアクの強さを最大限評価しているのだが(デビュー当時には賛否両論あった)。
また価格。2002年まで生産された4代目カマロは、たとえV8モデルであってもコミコミ400万円で新車が買えたが、一転5代目モデルにおいては、V8新車でコミコミ600万円(ざっくり)という、一気に2段階アップを果たしたのである。「カマロに600万かよ」、正直そう思った方も多いのでは?
時を同じくしてデビューしていたチャレンジャーRTや2006年から登場していたマスタングV8と比較してもかなり高いと言わざるを得ない…。
だが、現行カマロの「モノとしての良さ、質の高さ」はホンモノだった。だからこそ、今となって再評価となったのでは? とも思っている。そこら辺を聞いてみた。
「乗ってもらえば分かりますが、現行カマロのボディやサスペンション、エンジン等のハードウエアに関してのデキはかなり良いです。ということは、多少の時間と距離を重ねてもビクともしないわけですから中古車になっても程度の落ちは少ないはずです。もしかしたら逆に、中古車になればなるほど評価が高まるクルマなのかもしれない。しかも当然中古車ですからね、価格は下がっているわけですし」とエイブルの原氏。
なるほど、たしかに言われてみればそういう感じのクルマであるかもしれない。筆者も何度か乗っているが、現行モデルの質感は相当高いと思っていたし。「よかったらちょうど今ウチに2010年型が1台あるので乗ってみてよ」
取材車輌は2010年型のSS。1万240キロ走行のD車である。カマロといえばボディカラーは黒か白がお決まりであるが、この車輌はシルバー。カマロにしては比較的珍しい色だが、個人的には超お勧めカラーだと思っている(ハワイファイブオーではお馴染みカラー)。そしてホッケーライン&センターストライプは後付け。これを入れたことにより、かなり引き締まった印象に変わったと言う。実際によく似合っている。
久しぶりに見るカマロだが、相変わらずの存在感である。デビュー当時は「気恥ずかしい」なんてことを言う方もいたそうだが、個人的には強烈な個性として決して悪いとは思わない。
乗り込んでもその印象は変わらない。レトロな感触を残すものの、全体的な造りは近代的なモノであり、筋が一本通ったシッカリした感触がみなぎっている。明らかに質感が高い。
動き出して分かる右後方視界の悪さだけは相変わらずだが、車幅感覚もつかみやすく、全体の質感に、過去のアメ車を思い起こさせるものはなにもない。4thカマロ没後7年して再デビューしたわけだから、単純に考えて4thカマロから2世代分の進化を果たしていなきゃいけないわけで、良くて当然という考えもあるが。
走り出しのフィーリングは至って快調である。とくにボディの感触は驚くべきもので、抜群の「強さ」を感じさせる。20インチのフロント45、リア40扁平のタイヤから入る衝撃をものともぜず、逆に入力を跳ね返すような強さがビシビシと伝わって来る。こういった感触が体感できるアメ車ってほとんどないのが実情だが、最近乗った最新のキャデラック系がこんな感じの強さだったのをふと思い出す。余談だが、近年のGM系車輌のボディの進化は凄まじい。
国道に出てアクセルを踏み込む。搭載されるエンジンは6.2リッターV8 L99型。このエンジンは405ps、最大トルク56.7kg-mを発生させるが、一般道では右足にちょっと力をいれるだけで流れをいとも簡単にリードできるし、余裕たっぷり。マッスルカーと言うほどの荒々しさというよりは、高級車っぽくまとまっている。だが踏み込めば、ご機嫌なV8サウンドは健在である。今やV6モデルでも相当に速いが、アクセルをハーフ以上踏み込む走りなら、やっぱりV8の魅力には敵わない。
6速ATの変速も小気味良く、ほとんどショックを感じさせない今どきのものである。ステアリング裏に付くシフト操作ボタンの変速も存外に速い。ブレーキにはブレンボが装着されており、街中では若干オーバーサーボ気味に感じるくらい良く効く。
そのまましばらく走り、山道っぽい所を試走してみた。そこでのカマロの特徴は、GTカーとは思えない身軽な身のこなしである。ステアリングへの入力に敏感に反応して、ドライバーを中心に長いノーズが瞬時に向きを変える。ロールも押さえられていて、高速コーナーっぽい所でもきっちり踏ん張ってくれる。直進している時とコーナリングではまるで別物のようなハンドリングだが、安定感が高く、コーナーが極めて楽しい。
この2010年型カマロ、恐らく1万キロ弱の距離と年月を経た分のタイヤが摩耗消耗しているだろうが、それ以外で何かアラを感じさせるところがまったくない(年間100台以上の新車中古車を見てる筆者が驚くくらいだった)。
もちろん、D車としての整備記録がついた素性の良さがあってこそだとは思うが、それ以前にカマロ自体が良く出来ていることの証明でもある。ちなみにタイヤを新品に交換すれば、それこそ新車に近いフィーリングが得られると思う。
冒頭でエイブルの原氏も言っていたが、5thカマロは中古になっても「鮮度が落ちない」というのは事実だろう。もちろんこの1台だけで決めつけることは出来ないが、その他で個人的に乗った現行カマロがみなこういった質感を備えていたことから推測するに、カマロのハードウエアにとって、1万キロ弱の走行距離はまったくもってなんでもないということは確実である。それでいて中古車としての売価になるわけだから手に入れやすいわけで、筆者的にも現行カマロの中古車はかなりお買い得だと思う。
2013年モデルのカマロから、リアテールの形状が若干変更されており、好き嫌いがハッキリと分かれるデザインだけに、そういった細かい部分にまでもこだわるなら、もはや中古でしか手に入れられないわけで、カマロの中古車の動きが活発であるという話にも納得できるのである。
なお、すでに6thカマロがデビューしているが、そのデザインを見る限り5thカマロの進化版・熟成版と捉えて間違いないだろう。そう言う意味では後々5thカマロが再び日の目を見る日がやってくるのも間違いないと思われる。
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