いきなりだが、中古車を見て行くコツとしては、基本的に各部のヤレ状態のつじつまが合うか否かが重要だと考える。
たとえば、ボディ塗装面に結構なキズがあるのに、エンジンルームがピカピカだったり、逆に内装やボディ塗装がめちゃめちゃキレイなのに、エンジンルームやホイール&ブレーキ等が真っ黒だったり…。もしくは、内装がキレイなのに、ABCペダルまでよく見て行くと、かなりつるつるのペダルがついていたり…。
普通に考えれば、ちゃんと使ってクルマがヤレれば(事故とかない前提で)、全体的にヤレていくものであるから、各部の統一感がなければいけないはずである。だから仮につじつまが合わなそうな箇所が見受けられたら、ちゃんと確認した方がいいに決まっている。
そしてつじつま合わせが終わったら、いろいろと想像を巡らせ、前オーナーがどんな使い方をしていたかを推測してみる(ノーマルコンディションのクルマになればなるほど、そのための手がかりがたくさんあることになる)。
まぁそれでも、つじつま合わせはあくまで主観的な判断材料にしかならないんだけど、でも結果的に買うか否かを決断するのは自分なわけで、いろいろ見て自分が納得して購入に及ぶなら、後々後悔はしないはずである(ただ、この方法は60年代や70年代のヒストリックカーとかには通用しない。あくまで10年前後のクルマにだけである)。
そんな感じでこのデュランゴを見て行くと、10万キロ弱という走行距離と基本、ノーマルな状態のボディや足回りに内装、そしてドライバーズシートのみ多少ヤレている現状をプラスして、さらにセカンドシート以降のシート状態とホールディング機構の動きの適切さを見て行くと、前オーナーがファミーリ系グルマとしてコキ使っていたような惨状を思い浮かべることは困難である。
分かり難い表現をしたがつまり、距離は走っているけれどその他ヤレ具合は距離ほどのものでは全然ない、ということだ。そして、この「10万キロ」という数値に惑わされずに、個体の状態をちゃんと見極める価値がありそうだ、ということである。
このデュランゴの中で一番ヤレている箇所は、たぶんドライバーズシートになる。これは一番使用される箇所だから仕方ない。だが一方で、助手席などのシートはそんなにヤレていないし、セカンドシート以降になるとまったくと言っていいほどヤレていない。距離を考えればほとんど使用されていないと言っても過言ではない。想像するに、独身オーナーがプライベートカーとして使用していたのではないか?
というのも、セカンドシートやサードシートを畳んだりしてみたが、その際の動きは至極スムーズ。物理的な重さはあれど至って普通に動く。またシート隙間等にゴミやチリの積もりもないし、使用感がほとんどない。だからマジで使ってないんだわ、と確信できる。
一方で、外装は10年10万キロ走行車と言った感じは少しある。といってもキズがあるとか、凹んでいるとか、塗装がはげているとか、そういったようなものではなく、単なる見た目の印象である(デザイン的な古さを感じる部分もあるだろう)。
とは言うものの、シルバーボディのデュランゴは比較的珍しいし、何よりほぼノーマル(94%くらい)というコンディションがかなりそそる。
余談だが、各部を見て推測する上でノーマル状態が見れるということは、非常に重要な手がかりを手に入れたのも同然。各部の10年前を想像してみて、現状と比べてみれば良いわけだから。だから仮にシートが張り替えられているからキレイになっていると喜ぶ気持ちも分からないではないが、それは同時に中古車としての状況把握における有力な証拠をなくしてしまったことにもなるわけである(シートを交換しているからといってそれがダメと言っているわけではありませんので誤解しないように)。
各部を見ながら、いろいろな推測を行い試乗させてもらった。このデュランゴには、マフラーにフローマスターが装着されているが、それ以外は基本フルノーマルである。
エンジンは一発で目覚め、野太い快音を放ちながら軽快に走る。この時代のデュランゴに共通しているボディの強固な感じとガッチリしたステアリングのフィール、そしてある程度まではロールを許さない意外に硬められた足回りの印象は、このクルマにもいまだ健在である。
恐らく、距離を考えれば多少なりとも各部のヤレは否めない。ただ、下手にいじられていない分、クルマの素性はいいし、当たり前に消耗品関係(ここではショックとかタイヤとかそういったものを含む)を交換していけばかなり良質なデュランゴに生まれ変わるのではないか? そんな印象を抱かせるほど走りに関するネガティブな要素は見つからない。
また、ボディ等もまったく距離を感じさせないコンディションであり、恐らく耐久性ある頑丈なSUVをノーマル状態で乗ってきた前オーナーの使い方が要因であろうと推測する。
もちろん、このままでもある程度は乗れると思うし(実際に筆者も欲しいと思ってしまった)、デュランゴを体感することは可能だが、ここまで素性がいいならあえてもう一歩踏み込んでリフレッシュさせて乗りたいとも思うのである(せっかくいいもの持ってんのにもったいないということ)。
フローマスターを装着した排気サウンドは野太く、アクセルを踏み込むと高まるV8サウンドはかなり魅力的。アイドリングも安定しており、踏み込めば即座に反応し、エンジンはしっかりと回る。
コラムシフト採用するシフトのストロークや操作性は軽く、格段に使いやすい。こんだけ扱いやすいコラムシフトは最近では見当たらないと思ってしまうほど操作が軽く的確である。
ブレーキに関しては、個体差ではなくデュランゴの特徴として、若干深めの印象。国産感覚のつもりで踏むと最初は冷やっとすることもあるかもしれないが、これは慣れの問題であって、消耗などとは関係ない。
最近、フルサイズ系のアメ車を扱うことが多かったこともあり、またプライベートでセルシオを運転することもあった経緯からか、デュランゴの車体が非常に小さく感じられてちょっと驚くほど扱いやすかった。
もともとこの手のミドルサイズSUVが売れた理由は、扱いやすいボディにV8が搭載され、そしてサードシートが装着されているということだった。それにデュランゴの場合は、ダッジらしいイカツいフロントマスクが付いてくる。それこそ人気にならない方がおかしいくらい魅力的なアメ車だったのである。
そんなクルマが68万円(しかもノーマル&ショップの管理ユーザー車)。現状のままで乗ってもある程度の満足感は得られるだろうが、リフレッシュして、現存する最良のデュランゴを目指すのも面白いだろうと思う。
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