日本でフルサイズバンといえば、かつてディーラー車も存在していたシボレーエクスプレスとかそれより前の世代のシェビーバンとか、もしくはダッジバンなんて言う方が多いかもしれないが、彼の地本国アメリカでは、バンといえば昔からエコノライン=Eシリーズと相場は決まっていた。
ピックアップトラックのF、フルサイズバンのEは、本国ではごく当たり前の選択肢であり、圧倒的なシェアを誇っていたのである。それが証拠にSWATなどの警察車両にはじまり消防や救急車などにも使用され、某有名企業マークを配した商用車としても使われているのは、あまりにも有名だった。
そんなエコノラインだが、初代モデルが登場したのが1961年。当初は小型ミニバンの体をなしていたが、年々大きくなり二代目1968年~1974年、三代目1975年~1991年と進化を続けていく。そして1992年に登場した四代目モデルが2014年まで続く最終モデルという変遷になる。なお、2015年からは、トランジットというモノコックボディのフルサイズバンが登場し、新たな存在として活躍している。
この四代目の途中2001年にEシリーズと改名、2008年にはビッグマイナーチェンジが行われた。フロントマスクがFトラックシリーズのような風貌に刷新され、ステアリング系、サスペンション、ブレーキ系のリファインも同時に行われ、一気に現代的なマシンへと進化したのである。
2008年のビッグマイナーチェンジにて、Fトラックヘビーデューティシリーズのマスクを手に入れる。だが、ボディ全体は旧型そのものだけに、新旧織り交ぜた感触が各部に散りばめられている。たとえばサイドドアやリアドアのヒンジはむき出しのままだったりする。
全体的にガラス面積が多くルーミーな車内は、他のフルサイズバンよりも開放感が高い。前後ともに225/75-16インチタイヤを装備する。今や20インチを悠然と履きこなす最新SUVからは想像できない75偏平の乗り心地や凹凸のいなしは、優しく快適そのもの。
サイドドアは右側ドア仕様の観音開きタイプ。日本の交通事情では逆となるが、本国仕様だけに致し方ない。
旧車的なアメ車的走りが魅力のE150。普通に走っている限り文句のつけようがない。アメ車の進化もこの辺で良かったのではいかという気がするくらいトラックっぽさ、アメ車っぽさが残っている。
そんな最終2014年モデルの取材である。グレードはXLTの5.4リッターV8搭載モデル。14年当時Eシリーズには2つのグレードが存在していた。ベースとなるXL、上級グレードのXLT。そしてパッケージオプションパッケージ装着車となるXLTプレミアムである。
各車の差は、基本トリムレベルの違いであり、XLとXLTは8人乗り、XLTプレミアムはセカンドキャプテンシートの7人乗りである。搭載エンジンは、通常4.6リッターV8で4速ATが組み合わされるが、オプションで5.4リッターV8もチョイス可能だった。取材車は、5.4リッターV8搭載車であり、日本で見かけるEシリーズのほとんどが4.6リッターV8というなかで、かなりのレアな存在である。
くわえて、この車両はBCDが直輸入した車両だが、エコノラインは本国での人気ゆえに数が多く、中古車としては距離を走っているクルマの見極めが逆に難しい。だからこそ、年式の古い車両だと使われ方によっては微妙なモノも多く、信頼のおける確実な車両を探すノウハウが必要となる。この車両はBCDの現地日本法人スタッフが直接視察し、最終年式に絞ったすえに手に入れた良質車ということで期待がもてる。
ホワイトのボディにクロームのF系マスクがもたらす味わいは最新モデルに間違いないが、その走りは、トラックテイストを残した懐かしさと現代的な交通事情に即した進化とが混ざり合った特有のものだった。
搭載されるエンジンは5.4リッターV8。255hp、最大トルク350lb-ftを発生させ、4速ATで駆動するが、力不足は感じさせない。決してパワフルではないのだが、いわゆるV8パワーと5リッター以上の排気量がもたらす特別の感触はきっちりとある。
だが着座位置、シフト、ブレーキフィーリングには懐かしさが溢れ、かつての旧モデル印象そのものである。ボディは、四角四面であるからドライバーズシートからの視認性は良く、バンを走らせていることを実感しならがの走りであり、そこは「まるでSUVを走らせているかのごとき安定感」を醸し出すエクスプレスとは、まったく異なるフィーリングである。
搭載されるエンジンは、5.4リッターV8。255hp、最大トルク350lb-ftを発生させ4速ATで駆動する。パワフルではないが、不足も感じない。
インテリアも、旧式なアメ車の雰囲気を残しつつ、現代的にアレンジされている。質感は決して高いとは言えないが、一昔前のアメ車はこれが普通だっただけに、気にするようなものではないと思う。ただ、機能的にはシンプルだが、使い勝手は悪くない。。センターコンソール周りもいたってシンプル。これにナビがあれば、基本的に問題なし。
メーター周りは現代的な意匠に進化しており、視認性の良いシンプルな形状に好感が持てる。
良い意味でのトラックテイストでありボディは鋼のような剛性感ではないのだが、フレームボディの骨太感はシッカリ継承され、これも今しか味わえない感覚として残っている。コーナリングも、鉄壁というほど安の定感はないが、適度にロールを許し、とはいえ重いボディをシッカリ走らせるどこか懐かしいフィールで満たされる。
だが、それこそわれわれがかつて愛したフルサイズバンの味であり、バンらしさ溢れる走りとも言えるのだろう。
と同時にエコノラインのセカンドシート以降のスペースにも特有の個性が充満していた。乗員のスペース効率というよりは、リア荷室のスペースに重きをおいたような設計になっており、セカンド、サードシートの位置がかなり前側に設定されている。だから乗員のスペースは意外にも少ないのだが、その分リア荷室は他のフルサイズバンの2倍はあるだろうか。そういう意味では荷物をたくさん積みたい実務派ユーザーにはもってこいの存在ではないか。
このE150は、当時のFシリーズのようなフロントフェイスを備えているものの、それ以外のデザインは92年からのキャリーオーバーであり、車内の質感や走りにも当時の名残が数多く見受けられる。だが、それらが一切嫌に感じないのは、エコブーストを筆頭とする最新フォード車にはない90年代的なアメ車濃度の濃さによるものである。
さらに荷室の広さ。後席シートを前位置に設置しているため居住スペース的には若干の難アリも、リアの荷室空間が他車の2倍以上は確実にある。そいう意味では、積極的に多くの荷物を積み、アメリカンV8の力強さと鷹揚な走りが欲しいという方々にはうってつけの存在なのである。
シートはパンっと張った上質なファブリック。助手席の足元スペースは、エンジンの張り出しによりかなり狭いが、この辺のバン事情は昔からあまり変わっていない。
セカンド、サードシートがどのメーカーのバンよりも前位置に設置されており、セカンドシートの足元スペースはかなり限られている。だがそのぶん、リア荷室のスペースはどのメーカーのバンよりも圧倒的に広い。まるでステーションワゴンのように広く使い勝手がいいのが最大の特徴。
シートアレンジもほとんどできず。ただシート自体の脱着によるスペースは確保は可能である。ちなみに脱着は最低大人二人が必要。できれば三人欲しいか。
セカンド、サードシートを前位置に配置することでリアの荷室空間が他車の2倍以上は確実にある。このバンの最大の特徴である。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES