最高出力647ps、最大トルク83.5kg-m。そう聞いただけでとてつもなくじゃじゃ馬で、途方もなく扱いづらく、この上なく野蛮な超マッスルカーを想像してしまう。だがいざ室内に収まりシートを合わせると、まだまだ素のC6のような印象すら感じさせる。至って普通の感じである。シフトの動きは軽くクラッチペダルは順当な重さ。言ってみれば予想以上には重くはないが、けど死ぬほど軽いというわけではない。シフトストロークは短めで操作フィールもいいも良いから、ひと回り小さなスポーツカーに跨がっているような錯覚もする。600psとの先入観がすべての印象を良くも悪くするのだろう。ちょっと冷静にならなくては。
いざ動きだす。驚いたことに街乗り程度の走りでは非常に乗り心地が洗練されている。所々にスポーティな印象も漂っているが、乗り心地はこの手のスーパーカー的存在の中では最良レベルといって良いほどだ。ちなみにノーマルのダッジバイパーだと街乗りでもかなり刺激的な乗り心地。ビシビシくる。だがZR-1にはそういった野蛮さは皆無であり、そういう意味での洗練度はかなり高い!
フロントフェンダー、エンジンフードなど、ボディ各所にカーボンファイバーを採用することで軽量化を図っているZR-1。フロントスプリッター(整流板)及びロッカーモールディングは、クリアコート仕上げによる美しいカーボン模様を活かして仕上げられている。そして新開発のスーパーチャージャーを備える6.2リッターV8エンジンは、GMパフォーマンスビルドセンターで一基ごとに精密に組み上げられ、新開発のツインディスククラッチを使用したクロスレシオの6速マニュアルトランスミッションと組み合わされる。
ちょっとびびりながら踏み込んでみる。よく言われる「シートに押さえつけられるような圧倒的な加速感」とはこのことか! まるでノーマルのように扱いやすい領域とシロウトでは、もしくはアマチュアではどうにもならない超暴力的な一面。とてもオーバー600psには思えない安楽な領域とレーサーのごとき触覚を持った人間にしか扱えないような超高性能な世界。
前者の範囲内で遊んでいるうちは、街乗りからロングドライブまで難なくこなせるだろう(段差や車庫入れには気を使うか)。お得意のマグネットライドコントロールが見せる、適度にロールを伴う懐の深いコーナリングフィールがシロウトには逆に安心感を与えてくれるのだ。あくまでもソフトな低速域においてはだが…。
走行中のシフトフィールは絶品だし、ブレンボCCMブレーキの利きなども超一流だった。そして圧倒的なパワー感とエンジンフィールはそれこそスーパーカーのごとき官能性をもたらしてくれる。だがそれも街中で扱える範囲での話だ。それ以降の領域は正直試せなかった。
「2駆で600ps」という恐怖心が、ある意味安全装置だが、どうしても踏み込むことを拒んだのだ。
エンジニアリングの粋を集めた究極のスーパースポーツ=それがZR-1。330km/hという異次元の世界に初めて踏み込んだコルベットは、世のエンスージアスト達の羨望を一身に集めることだろう。そして選ばれし者のみが手綱を握ることを許される真の名馬のごとく、ZR-1はドライバーの技量を必要とするのである。
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