2004年型ダッジラム、5.7リッターV8搭載のエクステンドキャブのリフトアップ仕様である。この年代は、旧モデルと比較すると車体の造りやサスペンションが一新され、旧リアリジッドサスがこの型では独立懸架になり、リフトアップにおけるサスペンション造りにおいても、以前より調整が難しくなっているという。
この2004年型はフロント6インチ、リア4インチリフトアップされ、ファブテックのキットとランチョRS9000ショックを駆使してカスタムされている。
ちなみにフロントキットの内容は、リフトアップ用のスピンドルを使用することでロアアームとフロントデフを下方に落とし、それによって相対的に車体がリフトアップされているという仕組み。
またこれらキットに付随してラテラルロッドとステアリングスタビライザーを独自に装着し調整することで、ステアリングレスポンスや直進安定性の向上につとめている。
一方外装における自己アピール部分が素晴らしい。オリジナルのワンオフLEDイルミネーションをボディ内部や足回りなどにインストールしており、夜間に輝きを灯すことでボディ下部のシャシーがライトアップで浮かび上がり、リフトアップ車であることをボディ全域でアピールしている。
単純に走行性能だけを考えれば、リフトアップは好みのカスタムでは正直ない。当たり前だが車高が上がれば不安定さが増すし、万が一を考えれば転倒の危険性も増す。街中での使い勝手だってノーマルよりも良くはならないだろうし……。それにショーでよく見かける凄いリフトアップ車。ほんとに走れるのかよ? たしかに目立つが実用性あんのか?
あくまでも心の中での言葉だが、そんな風に考えていると自然とリフトアップ車から足が遠のいた。あくまでも今までは。いわゆる食わず嫌いなのかもしれないが、ずっとそうだった。
だが、この2004年型の黒いダッジラムはまるでノーマル車のような風情に驚いた。リフトアップしているが、それがまるで普通の状態であるかのような自然さだったのだ。
乗ってみてもそうだった。車体にビシっと1本筋が通っていて、特にこの04年型は遮音の効果もあってか、まるでノーマル車のように路面を凹凸をドライバーたちに伝えず、さらに機敏に街中を駆けていく。
搭載される5.7リッターV8ヘミは345hpを発生させるが、パワーは必要にして十分であり、トラックにしては快音を発するし。ただ、ブレーキ時に多少の慣れが必要だが、それ以外は普通のアメ車を転がしているかのごとく楽しくかつ自然である。
04年型となり、まずクルマとしての基本性能が上がっている。そしてサスペンション性能も一新されている。だからこそ、その基本性能をベースに質の高いリフトアップを施せば、まるで純正のようにそして楽しいカスタム車になるのである。
アメリカにはトラックの文化が存在し、そのトラックを楽しむための裾野がちゃんと広がっている。だからこそ日本人が考えることのないカスタム方法が存在するし、リフトアップに関してもパーツや技術などが豊富に取り揃っている。それらを駆使しつつ、長年の経験と応用力で具体化すれば、このような質の高いリフトアップ車が完成するわけである。
初代ダッジラムトラックが登場したのが1981年。この時代のダッジラムトラックは、販売面でまったく振るわず、フォードやシボレーに対して大きく水をあけられたモデルであった。いわゆる不人気車だ。ということで、この年代のダッジラムについて知る者は、日本ではかなり少ないのが実情である。
初代の不人気に伴いモデルチェンジし、1994年に登場した2代目ダッジラムこそが、日本でも爆発的にヒットしたモデルであった。押し出しの強い、アクのあるデザインこそがダッジラム、といわんばかりのフロントフェイスを携えて登場したこの2代目モデルには、ダッジバイパーに搭載されたV10エンジンを搭載したスーパートラックも登場し、日本でのラムトラック人気に火をつけたのである。
そしてその流れのまま2002年に登場した3代目ダッジラム(取材対象車)。この3代目には、エンジン、サスペンション、ミッション等が一新され、フロントマスクのグリルが一段と大口径になったのが特徴である。
この年代にも、前時代と同様にバイパーのエンジンを搭載した「SRT-10」が登場し、世界最速のピックアップトラックとしてギネスブックにも掲載されている。余談だが、この時代に登場したトヨタタンドラ(2007-)の仮想敵は、じつはダッジラムだったと言われている。あの、トヨタらしくない厳ついデザインは、打倒ダッジラムを目標として製作されたのだ。
で、2008年に登場した4代目ダッジラムトラックへと流れは続いて行く。
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