われわれが知るところのダッジバンとは、1986年~2003年までのモデルであり、前期が1986~1993年、中期が1994年~1997年、そして後期が1998年~2003年となり、ダッジバン自体は今から14年前の2003年を持って生産終了となった。
ラムバンには、ショート、ミディアム、マキシロングとボディバリエーションが豊富であり、搭載エンジンも3.9リッターV6、5.2リッターV8、5.9リッターV8が存在していたところから、それらを組み合わせた非常に膨大なバリエーションが存在していたのである。
ただし、その中にも組み合わせの決まりがあり、たとえばショートボディには3.9リッターV6と5.2リッターV8のみが、ミディアムボディには5.2リッターV8と5.9リッターV8のみが、そしてマキシロングには5.9リッターV8のみと制限があったことから、欲しいモデルを探すための労力が求められることもしばしばあった。
とはいえ、先にも述べたように生産終了してすでに14年。多くのラインナップを備えていたとしても、今の現状で好みのモデルを探すのは至難の業である。生産終了に伴う個体数減少のためである。
だから、もし仮にダッジバンが欲しいと思っても、個体の状態に納得できる出物が出るまでグッと我慢し続け、「見つけたら即買するのが鉄則」とまで語るアメ車ショップの方々も多い。
もしくは、「ボロを買って一から手を入れなおすという選択肢もある」というが、そちらはそちらで金銭的な負担がどこまで必要なのか? ということにも留意しなければならず、誰にでもオススメできる方法ではないがとも付け加えている。
とはいえ、その個体すら滅多に出ないというのがダッジバンの現状である。
そんななか、エイブルに入庫した1台のダッジバン。1999年型の5.2リッターV8エンジン搭載車。ボディはミディアムサイズで、過去「市場では一番メジャーなモデル」と言われていた存在である。
1999年型といえば、ダッジバンの中では最終型。ボディを真横から見ると、フロントの下あごがちょっとせせりでたフロントマスクというのが特徴である(一方中期型は下あごではなく、鼻先が出っ張っているのが特徴)。
これは、この最終型からエンジンマウントの位置が若干前に移設されたことによってフロントバンパーが新たに作り直されたことによるもの。ただし、この変更によって室内運転席&助手席の足元スペースにゆとりがもたらされ、乗員の快適性向上につながっているのが嬉しい。
そうした予備情報をもって試乗した販売個体。久しぶりとなるダッジバンにもかかわらず非常にクリーンな容姿が特徴的なダッジバン。ブルーメタリックのボディに野太い社外マフラーサウンドが響く。外装には前オーナーの遺産と思しきピンストライプが残るが、それ以外はクリーンな状態がやたらと目に付く。
下手なエアロが付いたり過剰な足回りのカスタムが施されることなく、メッキパーツとオーバーフェンダー、そしてブルーのカラーリングマッチしたホントにシンプル&クリーンなバンである。
室内は、ロールーフのコンバージョンモデル、セカンドキャプテンシートの7人乗りということで、レザーシートにウッドパネルが奢られており、シート各所に前オーナーの使用感が残るものの、インパネ付近はなにも加工されておらず、こちらもクリーンな状態が非常に心地良い。
メーター読みの走行距離は7万9000キロ弱ということで約8万キロ走行の個体だが、外装のコンディションを含め想像上にモノがいいというのが第一印象である。
たしかに内装に使用感はあるもの、外装やエンジンルームや走行関係の状態にはお金をかけていた形跡が多分にあり、それはエンジン始動時においてからも感じられる清々しいまでの状態の良さであり、だからこそ走りに関する不安は微塵も感じさせなかった(とくにエンジンルームのキレイな状態は見逃せない)。
エンジンのパワーはたかだか250hpにも満たないからそれほどでもないが、それでも濃厚なV8サウンドは健在であり、パワステの感触も油圧だけに良好。
ブレーキもサーボが効いた良好な効きを示し、普通に走っていて「とにかく普通に楽しい存在」というのが感想である。走行中に各部からの異音騒音がほとんど聞こえてこなかったことも珍しい。
試乗は、主に一般道を中心に国道246から街中の一車線道路を経由し、一方通行等の狭い道をも走ってみたが、アップライドな乗車位置とフロントの見切りの良さ、パワステの良好な感覚をもって街中を、特に大きさを意識せず走れたのは非常に大きな収穫だった。
しかも90年代のアメ車という、すでに18年前のアメ車然とした、いわゆる「古さ」をほとんど感じさせることなく、普通に淡々と走れたことも驚きであった。
個人的には、これまで酷い車両を多く見聞きしてきただけに(それでも売り物だった)、今の時代にこれだけ普通にダッジバンが味わえる存在自体が「超レア」と思うし、エイブルがあえて扱う理由もわかった気がしたのである。
エイブルは、創業当時からサードカマロを中心とした90年代のアメ車と、代表の原氏が修行時代に新車を販売していた80年代当時のジープ系(AMC含む)車両の販売を積極的に行っているが、時代の流行り廃りに関係なく初志貫徹のままここまで来ているからこそ、比較的安価で楽しめる90年代のアメ車を好む方々から今だ絶大なる支持を得ている。「継続は力なり」というが、まさしくその言葉が相応しいアメ車屋さんなのである。
で、ダッジバンだが、市場での人気は中期型ということらしいのだが、今実際に入手することを考えるならば、こうした状態の良さと実用性の高さこそを重視すべきであり、そう言う意味でもこの個体は見逃せないはずである。
330,000円
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