TEST RIDE

[試乗記]

何気ない普通のセダンとして使いこなしたい

2015 ダッジチャージャーR/T (DODGE CHARGER R/T)

性能的にはハイパフォーマンスモデルに匹敵

2005年に4ドアスポーツセダンとして復活したダッジチャージャー。その後いくつかのマイナーチェンジや改良がなされ、デビュー10年後の2015年モデルにおいてボディパネルのほとんどすべてが一新される大幅なモデルチェンジが行われた。

更新日:2017.02.21

文/吉田昌宏 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL  [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

フルモデルチェンジで大幅刷新

 旧世代から大きく様変わりしたフロントマスクは、グリル、ヘッドライト、バンパー、フェンダー、ボンネット、フロントドアといったほとんどのパーツが変更されており、LEDがアクセントとなったフロントフェイスは、一体感を感じさせるシャープなものになった。

 同様にLEDが使用されるリアテールのデザインも見慣れたものとなり、前後のデザインのまとまり感はこれまで以上に高いものとなった。

 くわえてフロントフェンダーおよびボンネットラインがいままで以上に低く見えるようになっているから真横からのスタイルも、今となっては非常に貴重な直線基調のラインを保っており、スタイルの美しさは健在である。

 ちなみに、先日発表された2018年デュランゴSRTは、このチャージャーのフェイスがベースになっているのは間違いない。

 性能面でも同様にアップグレードされており、2014年型まではV6モデルのみしか設定のなかった8速ATが2015年モデルではV8モデルにも採用されるようになり、その採用がチャージャーのフィーリングを劇的に変えている。

搭載されるエンジンは以下の通りである。

■ペンタスター3.6リッターV6DOHC:292hp/260lb-ft
■HEMI 5.7リッターV8:370hp/395lb-ft
■HEMI 6.4リッターV8:485hp/475lb-ft
■HEMI 6.2リッターV8スーパーチャージャー:707hp/650lb-ft

ダッジダートを思わせるフロントマスクだが、全身が一新され旧型をまったく連想させないスタイルになった。

先日発表された2018年デュランゴSRTは、このチャージャーのフェイスがベースになっている。

白黒ボディだけでなく、赤もなかなかセンスがいい。

最新のフィーリングが持ち味

 一方インテリアは、チャレンジャー同様にリファインされ、メーター周りが一新。ステアリングホイールは3本スポークの新デザインでパドルシフト付きになり、センタコンソールも新設計で8.4インチのタッチパネルが収められる等、まったく新しい空間が作り出されている。

 実物は、チャージャーとしての迫力? 悪っぽさ? そういった風情は少なくなったと思うが、前後左右のデザインのまとまり感は非常に良いし、フロントのオーバーハングの短さが、これまでのチャージャーとはまるで違う印象を与えてくれ、新鮮なクルマとして生まれ変わったと言っていい。

 同時にインテリアの品質一新がエクステリアの様変わりに呼応して、より新鮮な印象を与えてくれる。

 インテリアに関しては、チャレンジャー同様に質感が激変しており、メーター周りの雰囲気からシフトノブノブに至るまで、すべてにおいてやっと価格に見合ったレベルになった。

 たしかに旧型でもある程度までの質感は有していたが、華やかさに欠けていた。2015年型になり、質感、雰囲気、デザイン、色合い、フィーリング、どれにおいても充実していると言えるだろうし、少なくともアメ車内においては十分にレベルの高く、しかもチャレンジャーやチャージャーに見合ったスポーティな造形がかなり気に入るはずである。

 チャージャーRTは、5.7リッターV8ヘミエンジンを搭載し、370hpを8速ATで駆動する。カタログ的には、上に6.4リッターV8や6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンが存在しているだけに、「RTは下位モデル」と毛嫌いする向きもあるというが、そうはいっても370hpである。ひと昔前のアメ車でいえば超ハイパフォーマンスモデルであり、最新モデルにおいてすらNAエンジンで400hp近いパフォーマンスを示す車両は数えるほどしかないわけである。

真横からのスタイルが直線基調であり、フロントのオーバーハングの短さが、これまでのチャージャーとはまるで違う印象を与えてくれる。

リアテールのデザインも変更され、LEDが使用される。これにより前後のデザインのまとまり感はこれまで以上に高いものとなった。

搭載されるエンジンは5.7リッターV8ヘミ。370hp、最大トルク395lb-ftを発生させる。

8速ATの搭載で激変

 しかもこの型のチャージャーは、日本国内では絶対数が少ないだけに、人とは違う個性に触れるチャンスでもある。

 乗ればわかるが、搭載されている8速ATの進化が凄まじく、街中50キロ走行くらいのスピードにおいてもポンポンとシフトアップし、あっという間に5速にシフトアップされる。

 とはいえ、加速が欲しい時には瞬時にギアダウンし加速体制に入るし、その際のシフトショックがまったくなく、しかもパドルの変速タイミングも素早く、痛痒を感じることがまったくないのである。

 旧モデルは、いわゆる旧アメ車的であるが、2015年以降のチャージャーはまさに現代車クオリティを持ったアメ車なのである。そんな搭載ミッションによって5.7リッターV8エンジンのパワーがより緻密に引き出されるのか、正直過去に乗ったどの5.7リッターV8よりも速く感じるのである。

フルモデルチェンジにより質感、雰囲気、デザイン、色合い、フィーリング、どれにおいても充実している。

メーター周りの雰囲気からシフトノブノブに至るまで、すべて質感がアップしている。

新たに搭載される8速ATは、新時代のアメ車らしく積極的なシフトアップとダウンを実現している。

毎日の足として淡々と使いこなしたい

 街中走行程度じゃ、パフォーマンス云々を語るほどのことはまったくわからないが、それでも乗り心地やブレーキング等に違和感はまったくないし、なによりフルサイズセダンでありながらも、街中でその大きさを持て余すことがないのがが何より嬉しい発見だった(フロントデザインの見切りの良さに通じる)。

 個人的には、この型のチャージャーはR/Tでいいと思っているし、何らカスタマイズせず、まるでクラウンセダンに乗るかのように毎日の足として、淡々と使いこなして欲しいと思う。

 それだけでも十分にカッコイイし、BMWやメルセデスに乗るオッチャンよりもセンスに溢れた自分を演出することが可能になるはずである。

大きさを含め、とにかく乗りやすいというのが感想である。だからこのまま毎日の足としてどんどん使って欲しい。そんなクルマである。とはいえ、400hp近いパワーを有しているのだから、スポーツセダンとしての性能をも持っているのである。

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