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[試乗記]

1995 Chevrolet Astro Boyds

1995年型 シボレー アストロ ボイドカスタム その3

200馬力の希少W型エンジンを搭載したボイドカスタムの中古車に試乗!

 今回、久々にアストロに乗ったのだが、正直な感想は「やっぱり良いな。また買おうかな?」だった。日本の道路交通事情でも困らない手頃なサイズ。大人4人に子供2人が余裕で乗れて荷物も積める実用性。トルクが太くてストレスフリーなエンジン。そして極め付けは安価な車両本体価格。程度の良いアストロ&サファリが100万円以下で楽々購入できるのである。ホント、良い時代になったもんだ(笑)。

更新日:2017.10.25

文/田中 享(Tanaka Susumu) 写真/田中 享(Tanaka Susumu)

取材協力/浅沼ファクトリー TEL 090-8854-1488 [ホームページ] [詳細情報]

200HPを発揮するアストロ&サファリは人気が高い

 ちょっと話が逸れるが、アストロ&サファリは1994年型以前と1995年型以降ではフロントマスクが異なっており、一般的には94年モデルまでが「前期型」、95年モデル以降が「後期型」と呼ばれている。しかし、実は95年型のみ内装は94年型までと同じで、エンジンも96年以降とは仕様が異なっている。

 この企画はモデルガイドではないので詳細は省くが、96年型以降のアストロ&サファリに搭載される「ボーテック」と呼ばれる4.3リッターV6エンジンが190HPなのに対し、94年型と95年型に搭載される4.3リッターV6エンジンは200HPを発揮する(W型ユニットを搭載した93年型は筆者は見たことがない)。エンジンコードはいずれもWなのだが、96年型以降のモデルは「OBD2」導入のために仕様変更が行われた結果、わずかにパワーダウンしてしまったわけだ。

 数値的にはわずか10HPだが、実際に運転してみると、このたった10HPの影響は意外なほど大きい事に気付く。前期した通り、筆者は94年型GMCサファリに4年くらい乗っていたのだが、仕事でたまに新しいアストロに乗ると「あれ?なんかパワーないな」と感じたものである。

 ちなみにOBDというのは「On-Board Diagnostic system」の略で、これが導入された目的は「カリフォルニア州の大気汚染防止」のため。要するに96年型以降のアストロ&サファリは、排ガスをクリーンするためにパワーを若干犠牲にした改良が加えられたわけである。
 もちろん大気汚染防止のために排ガスをクリーンにすることは重要。また、少々パワーダウンしたと言っても、96年型以降のアストロ&サファリが非力といわけではない。今の国産のミニバンやラグジュアリィバンに比べれてもよっぽどパワフルだ。でも、乗って楽なのはどっちか?と聞かれれば、94年型&95年型の方が楽だし楽しいのは間違いない。

このデザインのフロントマスクに変更となったのが1995年型から。ちなみにこの車両はビレットグリルになっているが、ブームの後半にスパイクやキャッツアイやカブキが流行った際に、このタイプのビレットは一気に数を減らした歴史がある。

1993-1995年型に搭載されていたエンジンコードWの4.3リッターV6ユニットは、アストロ&サファリ史上最強の200HPを発揮する。ちなみに旧マスク時代のアストロ&サファリで最もポピュラーなエンジンコードZのユニットは最高出力160HP。

1996年型以降のボーテックユニットの最高出力は190HPとなる。

アストロは1995年型にこだわるファンも少なくない

 ついでなので、さらにマニアックな話をすると、実は95年型までと96年型以降ではリアの足回りの仕様も違う。いずれもリーフ式スプリングであるのだが、95年型まではモノリーフで96年型以降はマルチリーフなのである。
 この違いは普通のユーザーには全く関係ないと思う。ノーマルで乗る限りは、せいぜい「マルチリーフの方が若干乗り心地が良いかな?」という程度だろう。
 でも、マニアックなユーザーの中には昔はモノリーフ派が少なからず存在した。何故か? 本当のところは夫々のオーナーさんに聞いてみないと分からないが、恐らくモノリーフの方がローダウンで落としやすいとかそんな理由だろう。

 以上のようなマニアックな理由もあって、後期型の外観をしながらも中身は旧型最終進化系といった感じの95年型は、現在でもマニアの間で人気が高い。そして、人気の高さは価格に反映される。結果、95年型のアストロというのは、等程度の状態&走行距離の96年型や97年型の車両よりも金額が高くなることも珍しくない。

 実際、今回取材した車両は車両本体価格49万円。車検整備や登録といった諸費用を含めた総支払額65万円というプライスが付けられているが、もっと年式が新しい並行輸入車の中には、これよりも安いプライスが付けられた車両も存在すると思う。

ミニバン本来の使用用途を考えれば、多少のパワーの違いや足回りの違いは取るに足らない気もする。しかし、逆に言えば、その僅かな違いにこだわるファンが存在するくらい、アストロ&サファリはファンが多く、奥も深いと言えるかも?

この直線基調のインパネも1995年型まで。1996年型からは一気に現代的な曲線基調のデザインとなる。

今では取れない「事務室車」登録なのは高ポイントだ

 もっとも、多少割高とは言っても49万円である。この金額は国産の軽自動車の中古車よりも安い。さらに言えば、前期した通り、筆者がアメ車雑誌の編集者を始めた頃は、この車両とは比べものにならないほど程度の悪いアストロ&サファリが、この車両の倍以上の金額で売られていたのである。それを考えればただの「安い」ではなく「メッチャ安い!」と言っても過言ではない気もする(笑)。

 と、こういう事を書くと、小型車好きな人間は「購入費が安くても維持費がかかる」とか言い出しそうだが、それは間違い。いや、確かに小型車と比べて維持費が高いというのは間違いではないのだが、考え方が間違っていると言わざるを得ない。

 維持費を気にするというのは、要するに出費を抑えたいという意味だ。でも、出費というのはトータルで考えないと意味はない。目先の金額だけ見ても仕方ないのである。
 自動車の購入費や維持費に関する誤解については、下記リンク先の購入ガイドで詳しく説明しているのでそちらをご参照いただきたいが、一般的なサンデードライバーが、新規で購入した車両に5年乗ると仮定した場合、購入時の価格差は税金や燃料代では取り返せない場合が多い。しかも、今回取材した車両は「事務室車」として8ナンバー登録された「特殊用途車」なので、税金は1万5900円(東京都の場合。都道府県によって異なる)で2年車検。国産の2リッタークラスのミニバンと比較しても、負けているのは燃費ぐらいのもので、他は全て圧勝なのだ(笑)。

>>ハイブリッドカー=経済的と思ってる人が多過ぎ!

ラゲッジ部分に折りたたみ式の「テーブル」と「椅子」を装備する「事務室車(特種用途車)」として登録されている事はかなり大きなポイントとなる。というのも、現在ではアストロ&サファリを新たに事務室車として登録するのは難しいから。

最近の日本のミニバンの車内はけっこう広いが、それでも車内空間にアストロほどの余裕は感じられない。

買って損はない車両だが、もうちょっと他も見たい(笑)

 以上、脱線しつつも色々と書いてきたが、ここまでの内容では、今回の取材のきっかけとなった浅沼氏の「ちょうど良い」発言の真意は分かり難いと思うので、最後にちょっと解説しよう。

 ポイントとしては、価格、年式、程度、8ナンバーとなる。
 価格はそのまんま。筆者はアストロかサファリを購入する気はあっても、今更アストロやサファリに大金をかけるつもりはない。「マックスでもせいぜい50万円。それも車両本体価格だけでなく諸費用まで含めて50万円以内にしたい」という希望を周囲に伝えていた。今回取材した車両は登録まで含めれば50万円は超えてしまうが、車両本体価格だけで見れば筆者の予算に合致する。また、「取材タイアップ」という奥の手を使えばもうちょっと安く上がるかも?(笑)。

 次に年式。前期した通り、95年型は96年型以降のモデルと比べると若干パワーがあるし、パーツ代も少し安い。ま、筆者自身は別に95でも96でも関係ないのだが、アストロマニアの浅沼氏にとっては大きなポイントだったみたい(笑)。

 程度については、ふたつの側面がある。ひとつはメカニカルな部分に関して、「現状」でも走行に全く支障がないレベルであるということ。つまり整備にお金をかけなくても暫くは乗れる。逆に内外装にはヤレが目立つのだが、筆者の仕事を考えた場合、下手にピカピカの車両を買うよりは適度にヤレた車両を買う方が、「内装クリーニング」とか「部分ペイント」とか「ホイール磨き」とか「ラッピング」とか、色々とアメ車ワールドの企画ネタになるのではないか?また、最初から綺麗だと思い切ったカスタムをする気になれないし。

 最後の8ナンバーについては、これまたお金の問題。それこそアストロ&サファリの全盛期に「節税」目的でキャンピング8ナンバーを取得するオーナーは多かったが、今はキャンピング仕様は節税にはならない。今でも1ナンバー登録という手はあるが、毎年車検や高速道路料金、乗車人員のことを考えるとメリットは少ない。でも、事務室車であれば色々とお得。ちなみに今ではアストロを事務室車として登録するのは難しいので、これは中古車ならではのメリット。

 とまぁ、以上の様な諸々の理由から「田中さんにはちょうど良いんじゃないですか?」と、連絡をくれたのが浅沼氏であり、実際に筆者も「なるほど」と思ったのだが、今のところはまだ買っていない。
 これは何もこのアストロが気に入らなかったわけではなく、単純に筆者が「もうちょっと色々な中古車を見て見たいな。で、出来ればAWDがいいかな」と思ったから。ということで、今すぐお店に行けばこの車両は買えます(笑)。興味のある方はお早めに!

>>1995年型 シボレー アストロ ボイドカスタム 1へ
>>1995年型 シボレー アストロ ボイドカスタム 2へ

1990年代、ボイド(とかバドニックとかビレスペとか)のビレットステアリングは、若いアメ車ファン垂涎のアフターパーツだった。

BOYDSの刺繍が施されているが、シート自体はノーマル。アストロ&サファリのフロントシートは地味に名器(笑)。肉厚で座り心地が良く、丈夫でヘタり難い。筆者はかなり気に入っている。唯一の難点はお釜の影響で足元が狭いことくらいか。

下を覗いて確認したわけではないが、おそらくタイコ部分は懐かしのチェリーボムに交換されている。90年代、このアイテムを装着した4.3リッターV6ユニットは、V8みたいなエキゾーストノートになると話題だった。

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