続いてはランチェロである。年代は同じく1970年代のもの。正確には、1971年モデルである。1972年からフロントマスクがグラントリノと同様に変更されるから、取材車両はその前の年のモデルとなる。
時は1955年。サンダーバード、スカイライナーと魅力的なモデルを世に出すフォードにとっての新たなる武器がランチェロだった。1957年のことである。
もともとランチェロとは、ピックアップトラック需要が高まりつつあるなかで、ピックアップをより洗練させた存在を登場させるべく、セダンベースのステーションワゴンのリアルーフ部分を切り取った、変形ステーションワゴン型のピックアップとしてデビューしたのである。
そんなランチェロは、世の動向をモロに受けた存在としても有名であり、1960年にはファルコン、1967年にはフェアレーン、そして1970年にはトリノをベースとするよう変更を重ね、またピックアップトラックだけでなく、SUVの台頭により、年々その存在意義が失われていったのである。
そしてデビューから23年後の1980年に生産終了となっている。
ランチェロ1970年型 21640台 GT3905台
ランチェロ1971年型 24946台 GT3632台
日本で言うところのメジャーな存在は、1972年型以降のランチェロといわれている。だが本国アメリカでの存在価値は、1971型まででも上記の数からも相当高く、セミレストアを施した良好なコンディション車が眠っているといわれているのである。
さて現車である。351キュービックインチV8エンジンを搭載し、リビルトされた3速ATを搭載。ランチェロといえばベンチシート&コラムATの3名乗車を想像させるが、こちらはGT。センターフロア付きのフロアATで2名乗車となっており、走りの良さを予感させる。
当たり前だが、先ほど乗ったGMCシエラとは乗降姿勢からしてまったく違うし、乗車姿勢や視界はセダンのそれであるから、いわゆるピックアップとはまったく異なる存在といっていい。
とはいえ、ベッドの存在があるからモノによってはピックアップと同じ使い方ができるし、荷台を使用しなければ、それこそマッスルカーのごとき走りが堪能できる。まさしく、一粒で二度おいしい存在だろう(これこそがランチェロGTの目指すべき地点だったはず)。
取材車は、サスペンションやブレーキもリファインされており、15インチのアメリカンレーシングホイールとのマッチングもよく、ボディペイントのコンディションや室内インテリアの状態等は、実際に見れば明らかだが、驚くほどの良い状態である。
そして走り。ボディの大きさからハンドリングにいたるまで、ピックアップという概念は皆無であり、2シーターのマッスルカーと言っても過言ではない。サイズ感も現代車両ほどの大きさを感じさせず、なによりデザイン的にボディサイドの肉厚さがないから、素晴らしいほど美しいシルエットだ。
同時にコンディションの良さとあいまって、V8エンジンが奏でるエキゾーストサウンドが、これまた現代車両では決して得られない濃密な音質になっており、こういった感覚的な部分にもこだわるアメ車ファンにはたまらない感覚性能となっているのである。
聞けば「BUBU VINTAGEは、これまで宝石のような光り輝く骨董品のようなVINTAGE車両を多く取り扱ってきましたが、価格の高騰によりそういったVITAGE車両を手にすることができる方々がより限られてきました。
ですがアメリカ本国には、たとえばVINTAGEコルベットのような数千万円もする旧車以外にも、当時の面影を残す美しい車両や楽しい車両が多く存在しています。
もちろん、そういった車両を直輸入する場合にも、高額旧車を輸入するのと同様レベルの商品クオリティを維持するよう心がけています。今回のGMCやこのランチェロはその一例ですし、これら以外にもエルカミーノ等のVINTAGEが今後も目白押しです」
今、業界では、ちょっとした旧車プチブームといわれている。だが、とはいえBUBU VINTAGEは、流行に乗じた「安かろう悪かろう」といった車両を扱うことは一切ない。
今回のランチェロも、売るなら1972年型以降とも思わなくはないが、そういった人気優先の車両選びはせずに、あくまで程度優先を貫いた結果なのである。
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