ここで紹介している四駆のK1500は1992年型。すでに28年前のモデルとなるが、驚くほどキレイな状態を保っている。といってもオールペンしたり、鈑金したりすることなく、ほぼノーマルの状態を保っている。
この「ほぼノーマル」というやつだが、純正と違いのはノーマル車高にカヤバのガスアジャストショックが入っていることと、リアのベッドにボックス型ケースを積んでいることだけ。つまり、それ以外のペイントやデカール、エンジン、インテリアなどはフル純正のままという。
ボディには、実際に使われているからであろう小キズなどが若干見られるものの、普通に見ればちょっとあり得ないほどキレイなK1500である(博物館級ですよ)。しかもそのボディのカラーリングがなんとも心憎い。本国純正ということで、これまでに見たことない、味わい深いアメリカンな雰囲気でいっぱいである。
なんでも、現地で乗っていたオーナーさんがそのまま日本に持ち帰った個体ということで、今回はちょっとくすんできたモール類やショック等を新品に交換作業したところで撮影させていただいた。
搭載されるエンジンは5.7リッターV8。エンジンルームも見事キレイな状態を保っていた。この時代のV8エンジンは、現代のV8エンジンのようにコンピューター制御の著しいものではないために、いわゆるシンプルイズベストな状態が長く保てるということである。しかもこれまた味わい深いサウンドを響かせる。
リアの荷台にボックス型のケースを積んでいるが、ロングベッドだけにそれでもスペースが多分に残されている。
ロングベッドだけにキャンプ道具も積めるしサーフボードのロングだって行ける。この使い勝手がピックアップの良さ。
225/75R16インチタイヤを履く優しい乗り味が印象的である。92年型だが、ヒストリックという感じでもなく、また気を遣うこともなく、まだまだ普通に乗れる感じ。アメ車って頑丈である。
聞けば、「GM系はオールドパーツも手に入りますから、これからもこうやってオリジナル志向で車両を維持していくことが十分可能になりますよね。わたしは普段、いろんなクルマをカスタムしていますが、この1500を見ていると元の形を再現していくことの楽しさやアメ車自体のカッコ良さが良くわかります」と高橋氏。
取材先まで同乗させてもらったが、ボディカラーと同調したインテリアも見事キレイな状態が維持されており、シートのコシも上々、さらにステアリングやセンターコンソールのスイッチ類もすべて完璧! しかも、ノーマル車高のK1500なんて初体験。正直、こんなK1500、見たことない。
このK1500は、レギュラーキャブにロングベットであるが、これまで日本であまりお目にかかったことがない仕様だけに、ボディ、そしてカラーリング&仕様、すべてにおいて生粋のアメリカンであった。
基本はベンチシートとなるが、オーナー氏の嗜好により、センターにコンソールボックスをあえて置いている。
エアバッグのないステアリングも新鮮だが、その奥に見えるメーターが全てシッカリ動いていることが素晴らしい。また各種スイッチのコシというかハリというか、機能全体的にまだ生き生きしているコンディションである。
本来のベンチシートの姿。シートのコシがしっかりしており、驚くほど快適。レギュラーキャブにロングベット仕様はまさにアメリカンな仕様。
男らしさ、潔さといった面ではピックアップに勝る乗り物はない。限られた定員とリアに構えるムダな(?)空間は、ある意味本格的スポーツカーと価値を共有する。このムダを愛せるのは男だけかもしれない。
さて、シボレーC/Kピックアップといえば、アメリカを代表するピックアップトラック。長きにわたってシボレーを支えてきた「ブランドの屋台骨」といってもいい存在。C/Kシリーズはその源流を1918年までさかのぼることができるが、その長い歴史の中でも、特に1500シリーズは名車の誉れ高き存在である。
そもそもアメリカ人にとって、ピックアップトラックとはもっとも身近なクルマである。アメリカでもステーションワゴンやミニバンブーム、そしてSUVブームなど、時代とともに売れ筋のクルマは移り変わってきたが、そんなブームをしり目に、いつの時代でもアメリカでもっとも売れているクルマがピックアップトラックなのである。
国土の大半が大自然ということもあり、タフで頼もしいピックアップトラックが生活のパートナーとして選ばれることがいまだに多いのだろう。余談であるが、あのキャデラックエスカレードにさえEXTというリアが荷台のモデルが存在したほどである。
C/K1500シリーズのモデルネームはシャシーのタイプを表している。CとKは駆動方式で、Cは2WD、Kは4WDを意味する。4桁の数字は荷台の積載量を表している。1500は2分の1トン、2500は3分の4トン、3500は1トン積み。したがってC1500といえば2WDの半トン積みトラックとなる。
さらに6種類のシャシーにレギュラーキャブ、エクステンディッドキャブ、クルーキャブ(ダブルキャブともいう)の3タイプのキャビン。そしてショートボックスとロングボックスという2種類の荷台が用意されている。さらにはエンジンが4.3リッターV6をはじめ、5リッター、5.7リッター、7.4リッターのV8、そして6.5リッターのV8ターボディーゼルと多彩なラインナップを誇る。
これらの順列組み合わせにワークトラックパッケージ、シャイアントリムパッケージ、シルバラードトリムパッケージと3タイプのグレードが用意されていたために、また年式によってエンジンやボディ、トリムの組み合わせが異なることもあり、その存在は無限に近い。
現代でもこの味わいが、このコンディションで味わえるというのは奇跡に近い。だが、大切に扱えば齢30年でもこのような状態で走れることも同時に教えてくれる。
もはや同レベルの車両を日本で見つけることは不可能だが、この車両と同じように今持っているアメ車を大切にはできるはず。今後10年20年と乗り続けて欲しい。
レギュラーキャブにロングベッドという組み合わせは、まさしく本国にて活躍していた車両だからだろう。日本人的好みならショートベッドを選ぶはずだから。
したがって存在するすべてのバリエーションを把握することはほとんど不可能に近いといってもいいほどである。
今回レーストラックで取材したこのK1500は、まさしくこの無限のバリーションの中の1台であり、本国で大切に扱われてきたものをそのまま日本に持ち込み、さらに日本でも大切扱われている。
パーツ供給がまだ安定しているということで、これからもずっとこの容姿をキープし続けていくに違いない。
「カスタマイズすることでアメ車をさらに輝かせることを生業にしていても、『元の形を再現していくことの楽しさ』がアメ車にはありますよね」と高橋氏は語る。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES