最新のアメ車はどれも国際化が進んでいる。内外装の質感や高速走行時の直進安定性、コーナリング限界は飛躍的に向上した。新型が出るたびに、ボディのねじり剛性が先代モデル比ウン10%アップしましたとかいうアナウンスが流れるなど、世間一般的には歓迎されるべきことだらけである。
だが保守本流のアメ車好きからすればどれも微妙だ。なぜなら、洗練という名の進化の一方で大切な何かが確実に失われていくことを実感してしまうから…。
どかんかいワレッ! とばかりに高速道路の右車線を延々と猛進したいのならベンツに乗ればいいし、クルマに無音・無振動を求めるのならばレクサスを買えばいい。ニュルで速いタイムを叩き出せるスポーツカーが欲しけば、日・欧のメーカーからはいくらでもスゴイやつが出ている(最近ではアメ車の中にもいっぱいあるが)。
だがアメ車好きがアメ車に求めるものはそういった国際基準に則った高性能ではないはずだ。アメ車は、どこまでもひたすらアメ車であってほしい!。そんな守旧派にとって最後の聖域。それが「ダッジ」である。日欧のマーケットを強く意識しながら造らねばならない国際戦略モデルとは異なり、基本的には輸出することをあまり想定せず、アメリカ人のためだけに存在するドメスティックな性格を持つ。それゆえにアメ車らしさをもっとも色濃く残すブランドなのだ。
デュランゴは、数あるアメリカンSUVの中にあって、ダッジブランドならではの異彩を放つパワーに溢れたモデルである。中古車として脂が乗り切った感を迎えつつあるのが初代デュランゴである。シェビーよりもシャープで、フォードよりもワルそうに見えるところがビジュアル面での人気の秘訣だが、そうしたイメージが明瞭に浮かび上がるのもダッジのダッジたる所以である。
ラムバンと並べて置くと相対的に小さく見えてしまうものの、ボディには十分に豊満なボリュームがあり、しっかりとした3列目シートも備わるため、実はファミリーカー的な用途にも存分に応えてくれるという意外性も備わるのだ。
パーソナル志向のラムバンに、ファミリー志向のデュランゴ、というと一般的な感覚からすると何だかアベコベなようだが、常識や型にハマらない使い方を楽しめるところにこそ、アメ車ライフの醍醐味があり、それがアメ車以外のクルマでは味わえないアメ車ならではの魅力といえるのだと思う。
イメージ重視のアメ車ライフを送ってみたい。かといって、旧態依然とした古臭いメカは嫌だし、日本車みたいな無味無臭なアメ車はもっと嫌だという人にオススメしたい1台である。
2006年までバイパー以外はほとんど正規輸入されなかったのに、この極東の島国でさえ一部に支持されてきたのは、アメリカ映画の影響によるところが大きいようで、サーフボードとお姉ちゃんを積み込んで海辺を颯爽と走るような場面に地球上で一番良く似合うクルマはラムバン意外にありえない! という意見は圧倒的多数を占める。
そんなイメージのおかげで、ラムバンにはいわゆる日本のバンにみられる(思われる)ようなダサさとはまったく無縁でいられるパワーがあり、それらとは対極にある存在である。間違っても子だくさんの大家族がゾロゾロと乗り込んで、オトーさんが運転手役に没頭する、みたいな状況を想像されることはない。
あるいは広大なる空間を背負いつつ一人で運転していても空しくならないし、またそう見られることもない。むしろ、この空間は彼女とふたりだけで過ごすような贅沢を楽しむために備わっているといえまいか。昔流行ったちょいワルを演じるツールとしてもピッタリである。
今回の撮影は海でも山でもなく、東京のお台場という都会に連れ出してみたのだが、ラムバンにはこうした場面でも実にサマになるというフレキシブルな側面があることが確認できた。デュランゴと並べて停めると「LAの路上駐車」に見えてくるのは筆者だけではないはずだ。
相変わらず、クライスラーのキレっぷりは凄い。思い起こせば、バイパー出して天下とって、PT出して度肝を抜かせ、マグナム、300C、チャレンジャー、チャージャーと立て続けに人々の心に刺さるクルマを続々と発表&発売するクライスラー(ダッジ)。乗ればどれもに圧倒され&関心させられ、われわれの好奇心をそそる。イマドキこんな自動車メーカーはあり得ないですよね。
考えてみれば、クルマを評する時に速さやデザインってのは、非常に重要な要素になる。クライスラー系のクルマたちは、かりに百歩譲って壊れたとしても、またディーラーに行くのにクルマで1時間以上走らないと行けないとしても、その重要な要素が、他メーカーよりも圧倒的に抜きん出ていると思う。 「こんなの出すの? カッケぇー、500馬力かよ!」etc。 非常に子供っぽい言いぐさだが、そういった単純な要素にわれわれはいまだ惹かれる。加速が凄かったり、デザインが魅力的だったり…。そういった単純なことにわれわれアメ車好きはいまだに敏感に反応してしまう。だからクライスラー(ダッジ)には魅力的なモデルが多く、何かと期待してしまうのだ。
一方、そういった傾向は中古車にもおよぶ。デュランゴ、ラムバン。どれも他社メーカーにはない色つやを放ち、アメ車好きの心を捉えて離さない。
デュランゴはミディアムSUVというジャンルの草分けであり、V8エンジン+サードシートという指標を構築した貴重な存在である。昨年3代目モデルが登場したが、いまだに初代に乗り続けているオーナーが後を絶たない。この旧型モデルを望む声はいまだ止むところを知らずで、中古車価格も下がる気配を見せないという。
ラムバンは、新型モデルの登場はなく、いわゆる絶版モデルといわれる存在になってしまった。だが、コチラも中古車界ではいまだに引っ張りだこであり、価格も一定基準を保っている。やはり強力なエンジンと魅力的なデザインが多くの人々を惹きつけているのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES