実はちょっと前に愛車(2000年型C5コルベット)のサーモスタットを交換しました。
ゴールデンウィークにイベント取材で浜名湖に行ったんですが、その道中で水温がレッド付近まで上昇してチェックゲージ(エンジン・チェック・スーン)が点灯。オーバーヒート寸前までいってしまったんですよね。ラッキーなことに、取材場所がアメ車ワールドの契約店であるウエストクラブさんの近所だったので、すぐに避難して見てもらいました。すると、「たぶん原因はサーモスタット。新品に交換すれば直るよ」とのことで、すぐに交換してもらって事なきを得ました。と、ここまではプロローグ。
で、ここからが本題。つい先日、先のウエストクラブの石川社長から「今年はサーモスタットの交換修理の当たり年。田中君のコルベットの後も5〜6台交換したよ。せっかくだから記事で取り上げたら?」という連絡があり、この記事を掲載することにしたわけです。
今年はマジで「勘弁してくれっ!」て程の猛暑だし、この暑さはまだまだ続きそうですからね。こういった地味だけど大切な話をするのもアメ車ワールドの使命かな?と(笑)
さて、まずはサーモスタットとは何ぞや?という事を簡単に説明しますと、簡潔に言えば水冷式エンジンの冷却装置の一部。もうちょっと分かり易く言えば、水温=エンジン温を調節するための部品です。
水冷式エンジンの冷却装置の主役であるラジエターへ送る冷却水(クーラント)の流れを、弁状のサーモスタットで調整することで、エンジンが熱くなり過ぎないように、また逆に冷え過ぎないようにコントロールするわけです。
クルマのサーモスタットのバネは、主に形状記憶合金を素材にしており、熱によって伸縮します。で、このバネが伸縮することで、弁を開いたり閉じたりして冷却水の流れをコントロールしているんですが、サーモスタットが経年劣化で傷んでくると、バネが伸縮しなくなってしまいます。そうすると、どうなるか?
まず、弁が閉じたままの状態で動かなくなってしまうと、冷却水がラジエターに送られなくなってオーバーヒートの原因となります。逆に弁が開いたままの状態で動かなくなった場合は、オーバークールの原因となってしまいます(ま、これだけ暑い時期には、オーバークールで困るということは滅多にないとは思いますけどねw)。
また、弁がちょうど半開きの状態で動かなくなる事もあり、その場合はちょっと厄介。チョロチョロと水が回っているので、普通に走っている分には一気に水温が上昇するということはないんですが、常にちょっと高めの水温状態となり、渋滞時など、水温が上がり易い状況でのみオーバーヒートぎみになったりします。
で、ここからが特に重要なんですが、このサーモスタットは、先に書いたように形状記憶合金の特性を利用したアナログな部品で、センサーなどは付いていません。つまり、スキャナー(テスター)では劣化が判断できないんですよね。
どういうことかと言うと、コンピューターが水温異常を感知すればチェックゲージが点灯します。チェックゲージが点灯した場合、仮に水温が下がってチェックゲージが消えたとしても、テスターにかければ「水温異常を感知しましたよ」という履歴は出ます。でも、「サーモスタットが壊れてます」とか「サーモスタットが寿命です」という表示はされないわけです。
それではプロのメカニックはどうやって原因をサーモスタットと特定するかと言うと、経験?(笑)。実際にはアナログなチェック方法はあるんですが、それはここでは書きません。素人が自分でやろうとすると危ないので。
ということで、水温計がレッドまで行く様な状態であれば速攻で。仮にそこまでいかなくても、「最近ちょっと水温が上がり気味だな」と感じたら、まずはアメ車専門店に相談する事をオススメします。アメ車ワールドの『全国アメ車プロショップ』のリストに掲載されているお店であれば何処でもOK。あのコーナーには信頼できるお店しか掲載していませんので。
冬場のオーバークールと違って、夏場のオーバーヒートというのは、場合によってはエンジンに致命的なダメージを与えてしまう危険があります。90年代半ば以降のアルミ素材を使ったエンジンというのは、熱に対しての耐性が古い鉄のエンジンよりも落ちます。最悪の場合、オーバーヒートが原因でアルミヘッドが歪んだりする事もないとは言えません。
サーモスタットは高価な部品ではありません。車種や年式によって違いはありますが、安ければ4000円前後。高くても1万円を越えることは滅多にありません(最近のモデルでハウジングブラケットなども一緒にアッセンブリー交換するタイプは少し高価ですが)。なので、とくに異常を感じていなくても、少し古めのクルマであれば、車検などのタイミングで一緒に交換してもらってもいいと思います。
当然ながら、交換する場合には、部品代だけでなく工賃も発生しますが、「オーバーヒートしてエンジン本体にダメージを与えて大出費」なんて事態を回避するためなら、わずか2〜3万円の金額は安いもんだと思います。
ちなみに、サーモスタットの寿命は一般的には6年〜8年と言われています。ただ、これは走行距離やクルマの使い方によって変わります。実際に筆者のコルベットは、12年、9万kmまで保ちました。なんで、出費を極力抑えたい方は、水温の上昇に異変を感じるまでは放置しておくという手もあるんですが…。
やっぱアメ車は「転ばぬ先の杖」的な考えの方が、結果的にお得になるとは思いますよ(笑)。
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