エイブル号に影響を受け、フルノーマル状態の1995年型インパラに乗る板倉氏は、自らの愛車にも同様のリニューアルを施すこととなった。作業内容はエイブル号と同様のセンターリンク、タイロッド、スリーブ、ボールジョイント上下、アイドラアーム等といったステアリングリンケージ系のリニューアルとビルシュタインのショック装着である。
われわれ取材班は、作業前に板倉氏のインパラに試乗させてもらい、「まさに往年のアメ車の味」と評したのだが、この味を一切捨て新たなる足回りを求めた板倉号は果たしてどうなったのか? 作業後2ヶ月が経ち施行後の変化にも慣れた頃に話を聞いた。
——まず作業の率直な感想をお聞かせください
もともとエイブル号には試乗していましたから、ある程度は硬くなるだろうという予測はありましたので、否定的な意見はまったくないですね。実際に路面からくる様々な反応は今までより明確に伝わってきますが、この足回りに慣れれば差ほど気にならないと感じました。
——個人的には前の状態のアメ車らしい乗り味にこだわりたいのですが
たしかに今回のショックとサスの変更により路面の凹凸やつなぎ目、わだちなどに対して今までの「緩い乗り心地」から「しなやかな乗り心地」に変わりましたので感覚がまったく違います。ですが、個人差はあるとは思うんですが、乗り心地最優先の自分的にはどちらの乗り心地も“アリ”だと思いましたね。
1995年型インパラのオーナーである板倉氏。昨年の4月に行われたエイブルのツーリングで初めてお会いした時にも、あまりに状態の良いインパラの姿に感動したことを筆者は鮮明に覚えている。それ以来ずっと気になる1台だった。板倉氏の話を聞いていると1台のアメ車に長く乗ることも「きっと楽しいに違いない」と思えてくるから不思議である。
所々に自分なりのアレンジを施している板倉号。こういった所はオーナーさんの愛着度とセンスが一番出るところだが、どれも品良く収まっている。
——どんなところが良くなっていますか?
ハンドリングはリニューアル前でもそんなに悪くは感じていなかったのですが、ショックとサスが一新され、それと同時にステアリング系もリニューアルされたので不安定な挙動がまったくなくなり、走りがガラッと変わりました。まるで別のクルマに生まれ変わったみたいに安定感が高いです。かといってガチガチに硬いわけではですから、後悔とかはまったくありませんね。
実際にハンドリングに関しては、今まで以上に安定し、車線変更時もステアリングを切った方向へのノーズの反応が一段と素早くなり、なによりひと回りクルマが小さくなったような気がするほど機敏に動きます。
とくに高速道路で加速してから100キロまでの、そして100キロ巡航での直進安定性には驚きました。足がシッカリしただけなのに、まるでパワーアップしたかと勘違いしてしまうくらい、本来のパワーも使えるようになりましたしね。
――では100%満足ということですね?
正直な話、4年半緩い乗り心地で乗ってきたクルマなので、最初の数日間は違和感がありました(笑)。ただ、乗り馴れれば、これはこれで十分に満足してい ます。それにこうした愛車の「変化」を直接楽しみながら自分なりに長く乗る、というのが自分のテーマですので、今回の作業は非常に有意義でしたね。
今回は足回りに関する一連の作業を追っていったが、そういった足回り作業に集中できるのは、エンジンやミッション等のコンディションが良いからというのは言うまでもない。コンディションだけでなく、各部がキレイなのも板倉号の特徴である。きっと洗車も趣味のひとつなのかも?(笑)
ダッシュマットを敷き、ナビを追加した以外ノーマル状態を保っているインパネ。非常にコンディション良く、ここまでキレイなインパラは珍しい。
至極丁寧な運転を行う板倉氏。こういった地道な心がけで年式の古いクルマのコンディションも変わって来る。このままの状態で長く大切に乗って欲しい。
まるで雲の上を走るかのごとくふわふわした乗り味こそがアメ車の醍醐味ではあるが、生まれ変わったインパラはクルマが軽く小さく感じるほどキビキビ走る。慣れればこれはこれで楽しいと板倉氏は語る。
初めてのアメ車として、そして初めてのマイカーとして手に入れた1995年型シボレーインパラを現在で4年半、大切に乗り続けている板倉氏。映画で見た1台のクルマに興味を持ち、長い時間かけてそれこそ日本中を探しまわってやっとのことで手に入れた愛車だけあって、話をしているだけでもその愛着ぶりが伝わって来る。
板倉氏の定期的な点検&整備もきいてか車輌のコンディションも良く、この4年半での主なトラブルはエアコンコンプレッサーのパンクくらいである。この先も整備と自分なりのカスタマイズを繰り返し、是非とも大切に維持して欲しいと願う。
ちなみに目下の不安は、現在装着しているインパラの標準サイズのタイヤが生産終了となったらどうしよう? ということだという。インパラの255/50R17インチのサイズで国産タイヤとなるとヨコハマアドバンSTしかなく、それがなくなったらインチアップかインチダウンかを考えなくてはいけないからである。
だが板倉氏は、「完全ノーマル主義」ではないだけに、タイヤサイズがなくなれば、これまた自分なりのテイストで調整し、ひと味違ったインパラを作っていくことだろう。今後も愛車の変化を楽しみながらアメ車の醍醐味を味わって欲しいとせつに願う。
なお、こうした絶版系アメ車を楽しみながら維持していけるのは、エイブルのような90年代のアメ車にもいまなおしっかりと対応してくれるショップがあるからである。サードカマロに始まり、インパラやC4コルベット、C5コルベット等にお乗りの方で何かあれば気楽に問い合わせしてみることをお勧めする。この年代の情報量がハンパではないから、きっと役に立つに違いない。
自分で輸入した「LT-1」ステッカーを貼っている。このステッカーがはがれないように洗車にも気を遣っているという。その気持ちわかりますね。
「コテコテなカスタムは好みではない」という板倉氏だけに、自分のできる範囲で品良くまとめている。これもインパラのような旧車に長く乗る秘訣なのかもしれない。
インパラに装着している純正サイズは255/50R17インチ。このサイズで国産タイヤとなるとヨコハマアドバンSTしかない。もしこのタイヤが生産中止になったら…。目下の悩みではあるが、なくなったらなくなったで、また違ったセッティングを施す楽しみができるかも?
この時代のインパラに興味をもった理由が「デザイン」であるという。とくに真横からみたスタイルに伸びやかさを感じること。現代のアメ車たちは、安全衝突の件もあるからだろうが、真横のスタイルが分厚い。そこにエレガントさは感じないという。筆者もそう思う。
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