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果たして操れる猛者がいるのか? 超絶アドレナリン・マシン

ダッジ バイパー SRT-10

DODGE VIPER SRT-10

大排気量V10エンジンを搭載したFRスーパースポーツカー。初代デビューは18年以上も前の1991年末。当初8L、400hpでスタートしたエンジンは、フルモデルチェンジを経て、8.4L、600hpに達している。

更新日:2010.05.23

文/編集部 写真/古閑章郎

取材協力/ジャパンレーストラックトレンズ TEL 03-5661-3836  [ホームページ]

細心の注意が必要な荒馬

 現代のスーパースポーツは、馬力向上と操縦安定性の両立を見込んでAWD方式という選択肢をチョイスすることが当たり前のようになっている。が、他に類を見ない大排気量V10エンジンを搭載したスーパースポーツ・ダッジバイパーは、当然ながらFR方式を採用している。8.4リッターV10 OHVエンジンは、600HPとトルク560lb-fを発生させる。そしてその走りは、当然のごとく迫力があり、正直、言葉では表現できないほどの凄さと緊張感である。

 申し訳ないが、われわれ素人ドライバーの運転では、このバイパーのもたらす性能の1/3程度も体感することは不可能だ。正直、路上の一般走行ですら常に緊張感にさいなまれている。とはいえ、クラッチはアメ車で言えばコルベットZ06、国産車で言えばかつてのスカイラインGTR程度の重さくらいしかなく、シフト操作は年々改良され、もはやユーノスロードスターほどの手首の返しで操作が可能である。
そしてドライバーズシートからのボディの見切りも、出っ張ったフェンダーの峰によって格段に良好であり、アメ車にしては珍しいほど、一般路上での運転操作のストレスから解放されている。この手のスーパーカーとしては、超珍しいほどだ。

 だが、そういった部分におけるストレスが無い分、バイパーの持てる能力を使おうとすればするほど、後輪の状況に集中せねばならず、バイパーをバイパーらしく走らせるための過大なストレスが常に襲いかかって来る。

 「コイツなら、アメリカンスーパーカーを代表して、ランボルギーニやフェラーリともまともに勝負できますよ。ただ、例えるなら『荒馬』ですからね、カーボーイになったつもりで操作中に振り落とされないように細心の注意が必要かもしれないですね。マジでヤバイですよ(笑)。ただ、乗れば分かりますが、アドレナリン出まくりです」

 レース経験のある高橋氏をもってしてもヤバイと言わせるバイパーは、2010年の予約限定台数をもって生産を中止するという。好事家の中には新型モデルを予想する噂があるというが、その是非はまだ分からない。だが、時代を象徴する、いやアメリカを代表するスーパーカーの火がまたひとつ消えてしまうのは、非常に残念なことである。

搭載される8.4リッターV10 OHVエンジンは、600HPとトルク560lb-fを発生させる。ガソリンエンジン車史上最大の8.4リッターが生み出す豊潤な低速トルクは、2000回転も回していればすべてが事足りるほど。

路面の凹凸を拾いまくるステアリングだが、同時に路面とタイヤの状況をダイレクトに実況中継してくれるし、気が狂ったとしか思えないパワーが伝わったとしてもビクともしない屈強なミッションは、剛性の塊のようでかつゲートが明確で操作しやすいので意識しないでもギアはガンガン入ってくれる。

合計で7つのメーターを備えるインパネは、シフトを含め、すべてドライバー側に向けられている。タコメーターは7000回転まで、速度メーターは220マイル(355km/h)まで刻まれている。エンジンは、赤いスターターボタンにより始動し、爆音の中まるで普通の乗用車を運転するかのごとく安易に発進が可能である。

アメリカ製であることの証

 「記念に」ということで、一般道にて同乗走行をさせてもらったが、発進などでもたつく感じは全くない。その他運転操作にまつわる不安も全くない。ただ、常にあるのが、どの程度までアクセルを踏めるのか? そんな不安くらいのみで、普通にドライブできる。

 室内はかなりタイトであり、シフトやメーターなどがドライバーに向かっており、例えるならコルベット等のあっさりしたインテリアとは格段に異なる硬派な雰囲気である。質感が高いとは言えないがスポーツカーおよびレーシングカー的なノリをひしひしと感じる。走りだしても排気音が大きく、エンジンサウンドをかき消すほどのボリューム。さらに低速での乗り心地も意外と硬く、乗り手を刺激する。

 空いた道路状況を見計らってアクセルオン。するといままでの硬さが嘘のようにフラットになった! 恐らくコイツの想定速度が高すぎて、一般道の30〜 40キロ程度のスピードではすべてに硬さを感じていたのだろう。そしてそれ以上の速度域は頭の中が真っ白になって…。あっという間の体験試乗だった。

 これだけの性能を持ったクルマを欧州メーカーが出したとしたなら、もっと高額な誰も手の届かないクルマになっていたかもしれない。そしてもっと洗練された面白みのない、ただただ速いだけのクルマになっていたかもしれない。
 クライスラーのダッジ・ディビジョンが作ったからこそ、これだけファンな「アメリカン・スーパースポーツカー」が誕生しのたのである。

非常にタイトなシート周りなど、ドライバーをその気にさせる雰囲気はピカイチである。シフトは速度を上げるほどシックリくる。

クラッチペダルの重さは、国産スポーツカー程度のもの。ブレーキとアクセルペダルの位置感覚はスポーツカーさながらの適正なものであり、ヒール&トウなどの足さばきの助けとなる。ちなみに、昔のバイパーは、ペダル全体が中央にオフセットされていたが、現行ではそういった扱い難さはなくなった。

エンジンフードのエアインダクションやフロントフェンダーサイドのベンチレーション、さらにはサイドエキゾーストは、バイパーの造形美を語る上でも外せないポイントだ。ちなみシルバーのセンターストライプは、レーストラックがオリジナルで入れたもの。

フロント19インチ、リア20インチのHREホイールを装着している。ガンメタのボディに合わせ、さらにバイパーの性能に耐えうる最高のホイールをセレクトした。


小気味良いシフト操作が確認できます!



オーナーならではのスタートの儀式です



走行の雰囲気をどうぞ!



まだまだ持ち前のパワーの5%にも満たないけど…

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