シェルビーGT500は進化し続けている。2009年型GT500のマックスパワーは500hp、2010年型は540hp、そして今回ステアリングを握った2011年型は550hpとなるからだ。
ちなみに、スタンダードモデルも11年モデルからグッとパフォーマンスを上げた。V6は305hp、V8は 412hpとこれまでよりそれぞれ100hp近くアップしている。
では、なぜそれぞれこうした進化が行われているのか。それはひとえにライバル車との関係にある。スタンダードマスタングでいえば新型カマロの存在があり、GT500でいえばここで挙げられるようなマシンがある。511psのコルベットZ06や647psの同ZR1、それにSMSが送り出すチャレンジャーやカマロなんかだ。要するに、自分ひとりだけ歩みを止めることは許されない。
そんなシェルビーGT500のエンジンは、ご存知のように5.4リッターDOHC V8+イートン社製スーパーチャージャーからなる。ブロックは鋳鉄でヘッドはアルミだ。ツインカムユニットなのはフォード社内のSVT(スペシャル・ビークル・チーム)が深く関わっているからで、先代マスタング・コブラ(マイチェン前)から彼らはそれを続けている。そして、エンジンを組み上げた責任者のネームプレートをブロックに貼るのも、彼らの流儀だ。
組み合わされるギアボックスは6速MTとなる。ゴルフボールのような白いタマがシフトのヘッドに刺さっている。もちろん、これは当時のチューニングマシンを再現したものだが、意外とかわいらしくセンスよく見えるから不思議だ。ストイックなだけでなくちょっとした愛嬌を感じさせる。でもってこれが手の中でしっくりくる。お遊びとも思える演出だが、こいつは実用性が高いことを付け加えよう。
実際に走らせた印象だが、これがある意味肩すかしされるほど乗りやすい。ステアリングは軽く、乗り心地も想像していた細かいピッチングなどはほとんどなく、嫌なバイブレーションも感じない。
それじゃユリユルかといえば、そうじゃない。ダンパーとスタビライザーで固めたと思われる足は、思いのほかフラットライドで安定感がある。そしてコーナリングではボディがひとつのカタマリとして追従する。いうなればこの辺はドイツ車的で、ボディ剛性の高さの産物と思われる。
そしてエンジンだが、スーパーチャージドされたパワーの出方はかなりアメリカン。モリモリ湧き出る増幅されたトルクがクルマを前へ押しやるといった感覚だ。当然、上までシュンとまわるエンジンではないが、スムーズな回転は実に気持ちいい。もしかしたら意図的にトルクをフラットにせず、リニアなチューニングにしているのかもしれない。MTということもあるが、時としてひとつのギアで引っ張った走りもできる。
で、そんなときドライバーを喜ばすのがエンジンサウンド。レーシーにチューンされたツインカムユニットはまんまレーシングカーの音を響き渡らせる。MTで操ることの喜びが、素直に味わえるのである。フェラーリのカーンと乾き切った音もいいが、やっぱこっちからって気がした……、それほど気持ちいい。
今やノーマルセダンも200キロ以上の世界に足を踏み入れることが簡単な時代に、あえて300キロ、400キロの世界を目指してチューニングの世界に足を踏み入れることはいかがなものかと、個人的には思っている。
そういった危険と隣り合わせの世界に対する魅力も分からなくはないが、それよりは、日々使う日常域での気持ち良さなどにこだわるのが今っぽいかなと。
シェルビーGT500には、ノーマルのままでもそれらしい雰囲気と性能があり、かつファッショナブル。さらに6MTを操れば、街中でも浸れる魅力的なサウンドがある。
参考までに。1分越えた辺りから走り出します。魅力的なアメリカンV8サウンドを聞いてみて下さい!
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