SUVの発祥はアメリカである。だからアメリカンSUVは、乗用車的ないいとことトラック的な質実剛健さをもって成り立っており、加えてあのV8が乗るわけだから、ある種の理想的クルマとして大人気を博したわけである。
とはいえ、そういったアメリカ的味付けを施したSUVに対抗するかのように、街中を悠然と闊歩するスポーツカーさながらのSUVが現れた。ポルシェカイエンやBMWX5がそれである(BMWに至ってはSAVと名乗りそのままサーキットを走るシーンが有名である)。
単純な速さ比較となればアメリカンSUVではまったく歯が立たず、「やっぱりアメ車は遅いんですね」が合言葉になったとか。だが実際にはさにあらず。もちろん、スペックによる違いはあれど、単なるセッティングの差が大きな違いとなって現れて、それが理由に負けたに過ぎない。
アメリカンSUVの場合、走りに特化したというよりは、乗員の乗りやすさを重視したセッティングおよびフレームボディの頑丈さによる安全性と牽引の強さを重視、すなわち重いボディを大排気量V8のパワーで悠然と走らせることに重きを置いているために、走り重視のセッティングにはなっていない。だからそこを変えてやればいいわけであって、実際に走りに徹したセッティングに変えてやることで激変するスペックは有しているのである。
というわけで、持てる能力を最大限に生かし走りの質を高めれば、それこそ最速SUVが誕生するのである。
ポイント1は足回り。走りの質を高めるために、まずはアメリカナイズされたロールや前後ピッチングを減らす必要があり、そのためには当然ながら車高を落とす必要がある。ローダウン用の強化コイルを使用し、車体の余分な動きを減らすために減衰力を変えた強化ショックに組み替える。これにより前後ピッチングが大幅に減少されるため、次に車体の左右の動き・ロールを減らすことを考える。
一番の対策は強化スタビライザーへの交換であり、車高を落としショックを変えスタビを入れることで動きや反応はかなり鋭くなる。ちなみに、こういった足回り強化の場合、本国市販品を入れる場合もあれば、日本のショップが特注して減衰力を変えたショック等を販売している場合もあり、そこは相談かつ自分の好みを伝えて決めればいいだろう。
続いて吸排気系である。足回りが強化されたことによる動きの変化は如実であり、これまでとは大きく異なる動きに呼応して、V8サウンドの変化が欲しくなる。最新のアメ車ともなると、車検法の関係もありマフラー交換は微妙とも言えなくはないが、車検法適用以前の車両であればマフラー交換とエアクリーナー交換によって吸排気系の強化が如実に体感でき、走らせる歓びが一段と高まるに違いない。
加えてモアパワーを望む場合、もしくはエンジンのフィーリングを変えたい場合は、へダースの交換がオススメである。へダースの場合は市販品が販売されている場合もあれば、ない場合もある。ただ、レーストラックの場合はへダースに関しては自社調整で製作することも、もしくは市販品を改良することもできるために、車種問わず装着可能というからオススメである。
最初にも言ったとおりアメ車の求めた行き先は、少なくとも速さに重きは置いていないために、アメ車のノーマルへダースはハッキリ言ってダサいという(笑)。たとえばBMWやポルシェなんかは後に手をいれる余地がないくらい最初から極まったパーツが装備されているが、アメ車の場合は日本車で言えばシビックやカローラレベル以下というから(特に古くなればなるほど)、逆にだからこその余力というか如実な変化が体感できるのだろう。
これまで普通に走っていればなんら問題なかったブレーキも走りに特化すればそれに呼応するように対策しなければならい。ブレーキに関してはブレンボ、ストップテック、ベアー、APレーシングetc、各メーカから大容量ブレーキが発売されているので、対策は十分可能である。
また、いきなり大容量とは言わずとも、まずはパッドだけ交換することも、ブレーキホースを同時にステンメッシュにすることも可能なだけに、対策の度合いを話相談すれば、それこそ好みに応じた対策指示を出してくれるはずである。
余談になるが、大容量ブレーキを装着する場合には、キャリパーの交換によりホイールのインチアップを強いられる場合もあるから注意が必要である。また当然だが、モアパワーを求めれば、これまたインチアップを施して高まったパワーを支える必要が出てくるのである。
これらステップだけでもアメリカンSUVは激変する。あの大船のようにおおらかだった乗り味はギュッと締まり、スポーツカーとは言わずとも、それに近いスポーティなSUVに変化する。
で、これだけでも十分ストリートで楽しめる。しかも大排気量NAエンジンが醸し出す息の長い加速フィールはアメリカンV8特有のモノであり、欧州SUV勢と走りで対等に戦えるようになるのである。
写真のデュランゴは、5.9リッターV8エンジンをベースに手組したエンジンチューンを施し、だからこそ点火系等にも手を入れ、さらに一瞬の速さにこだわるためにNOSを装備している。ここまでやれば、逆に本場アメリカのチューニングマシンとして欧州SUVなんかは歯牙にもかけないくらいの性能になるが、果たしてどうだろうか?
まあ、ここまで行くとちょっとやり過ぎの感もあるので、上記の煮詰めだけでもほんと十分に楽しいマシンができることを知ってくれれば幸いである。
最後に、こういった各部の強化は、ベースの車両が古い場合にはリフレッシュすることにも繋がり、その後再び10年乗ることが可能になることも忘れないで欲しい。
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