2000年型ダッジバイパーGTSと一緒に写る男はホッタである。正式な年齢はわからないが、恐らく筆者の10こ下。推定35才。彼はこのバイパーのオーナーである。
ホッタは昔同僚であった。わけあって一時期3年くらい同じ編集部で働いていた。その後自動車雑誌業界にさらなる活路を求め転職し、今現在はwebCGの編集部員として活躍中である。
そんなホッタは、かねてから「いつかはV8エンジンを搭載したアメ車買います」と豪語していた。
その当時彼はローバーミニとトライアンフのバイクとの6輪生活を送っていたが、筆者自身もローバーミニの最終モデルのMT車に3年乗っていただけに、なぜかわからぬが共感を覚えていたことを思い出す。
だがそれから7、8年…。相変わらずミニに乗っているかと思っていたらフェイスブックで突如バイパー購入を知る。
その後コレクションズにて再会。なんやかんやあって、ホッタバイパーのオートクロス練習会参加ということで改めて話を聞いた。
それにしてもなぜバイパーなのか? 彼のバイパーは2000年型のGTS。398万円という価格で購入し諸経費込みで429万6810円を一括で支払った。筆者的には、過去の彼の言動からしてコルベットやマスタングV8、もしくは旧車のマッスルカーあたりが好みかと勝手に考えていたが、それがまさかのバイパーとは。
彼とはかつてフィアット500を一緒に試乗したことがあったが、正直彼にはミニやフィアット500といった小さいクルマが似合っている感じたったし、アメ車に乗るにしても「なぜにバイパー?」というのが正直な感想だった。彼との会話や行動からして一番遠い存在だと思ったからである。
しかし実車とともに現れたホッタは、意外にも似合っていた。というか、あまり運転が上手かったような印象がないので、似合う似合わないというよりもそちらの方が気になった(笑)。
だが彼も成長していた。現職で毎日ように国産&外車を問わず運転しているだけあって、巨大なバイパーもお手の物。まさに愛車として完全に慣れきっている様子だった。
そんなホッタが、バイパーの本来の姿を体感したいと挑んだ練習会。GTSといえば8リッターV10エンジンを搭載し450hpを発生させるが、普段の運転ではほとんど飛ばさないという。仕事の足として箱根あたりを走った時もあくまでセーフティ運転だったと。彼は普段、運転そのものを楽しんだり買い物の足として使用したりしているという。
だが、そこはバイパー。オーナーとして一度は全開にしてみたい、はたまたどんな感じでテールが流れるのか、またスピンするのか、ブレーキは大丈夫か、ドリフトは可能か?…etc を体感してみたいという思いは常にあったと。
普段は安全運転を貫いているという彼だが、男として一度くらいは征服してみたいとの願望もあり、参加に至ったのである。
話は若干逸れるが、当日参加されていた他のバイパーオーナーさんたちにも話を聞いたのだが、意見が真っ二つに割れていたのが非常に面白かった。
バイパー購入に至る経緯についてだが、ホッタを含めアメリカンスポーツカーへの憧れを実現したという方が半数いて(ドラテク的にそれほどでもない)、もう一方では、アクティブな走りに傾倒していた方々がたどり着いた末のバイパーであったということ。
後者の方々は、かつて首都高を主戦場としてガンガン走っていたとか、同時に首都高でスピンしてヤバかったとか、かつてGT-Rで走って腕を磨いていた経験を生かしバイパーにたどり着いたとかetc。
ちなみに、そういう手練の方々が乗っていたバイパーは、当日の練習会でも圧倒的な走りと腕前を見せてくれ、テールが流れる瞬間にきっちりカウンターをあてコントロールしている様が非常にカッコよかったのである(一瞬で惚れてしまう)。
一方ホッタは、一発目の走りで加速して第一コーナーに向かう手前のブレーキングにて盛大な白煙(笑)、前輪ブレーキをロックさせそのままパイロンに突っ込みそうになっていた。誰もが一瞬最悪の事態を想像したが、なんとか回避。その後見ていたわれわれ一団は安堵の笑いに包まれた。
そうこうしているうちに各人それぞれスキール音バリバリでバイパーを走らせ(最初は大人しくしていた方々もだんだんと派手なアクセル操作が見て取れた)、普段できないアクティブな走りを経験。オーバースピードでコーナーに突入しブレーキングが甘くアンダーステアと格闘し、はたまたラフなアクセル操作でテールがブレイクしスピンを経験したりと、速さだけでなく日常的な運転の役に立ちそうな経験がたくさんできたと、かなり満足した様子だった。
ホッタいわく「バイパーの操り方というかコツというか、いろいろわかった部分がありました。非常に有意義でした。今回の走行で愛車のタイヤが寿命っぽいので、次回はタイヤを換えて参加してみたいですね」
ということで、非常に長い前フリのもと、二つの結論に達したわけである。
ひとつが、16年落ちのバイパーであるが、今まさに十分魅力的な存在であり、まだまだ十分に賞味期限が残っている存在であるということ(その証拠がwebCG連鎖中のホッタのコラムにいろいろ書かれておりますのでよろしかったらご覧下さい)。
そしてもうひとつがバイパーオーナーになるのにドラテクの壁はなし、ということである。バイパーだから運転が上手くなくてはいけない、扱いきれないとオーナじゃない、というのは考えすぎであって、「欲しけりゃ怯まず買うべき」ということである。
とわいえ、電子制御を持たない後輪駆動車だけあって、「雨天時交差点でスピンした」というのはホントの話で(取材日にもいらっしゃいました)、機会があれば運転講習じゃないが、どの程度許容範囲があるのかを知っておいた方がいいというのは間違いないわけである。
<関連記事>
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>> ダッジバイパーと付き合うために vol.1 を見る
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