更新日:2011.06.02
文/編集部 写真/古閑章郎
ラグジュアリーSUVの起源はどこだったのか? 日本では一般的に98年のレクサスRX300(日本名ハリアー)がその第一号と紹介されている。それまでラダーフレームだったSUVをパッセンジャーカーと同じモノコック構造で造った最初のモデルだからだ。
だが、それは定義のひとつでしかなく、ブランドと考えれば、その前年にリリースされたメルセデスベンツ・Mクラスとリンカーン・ナビゲーターがそれに当たる。この2台のクルマが誕生したことで、ライバルたちが追随しラグジュアリーSUVはひとつのカテゴリーにまで成長したのである。
では、ライバル、リンカーンの動向をキャデラックは見ているだけだったのか?。いやそうではない。
実はキャデラックもすでにその頃SUVの開発を進めていた。しかもおおよそのコンセプトは出来上がっていたのだ。が、その中の流れがこれほどまで早いとは予測できていなかった。ナビゲーターは爆発的に売れ、97年においては、常に先を行くキャデラックの販売をはじめて上回ったほど売れたのだ。
そこで、慌てたキャデラックが翌年市場導入したのが、初代エスカレードである。が、こいつはGMCユーコン・デナリの単なるバッジ違いで、スペシャリティに欠けるものだった。格子のグリルにリース&クレストは付くものの、オンリーワンといえるシロモノではない。ただ、こいつはあくまでも場つなぎ。正真正銘のエスカレードは2000年に入ってから登場するのである。
01年にリリースされた二代目エスカレードは見るからにキャデラックの一員とわかるスタイリングをしている。STSやCTS、XLRがそうであるように、アート&サイエンスのコンセプトから造られた。インテリアもオリジナル性は高く、ふんだんに使われるウォールナットが高級感を漂わす。BVLGARIのロゴが入ったアナログ時計は嬉しいオマケ。90年代の豪華さを微妙に残すサジ加減が、このクルマの魅力かもしれない。
この、いわゆるT-800シャシーの2代目エスカレードは、リーフ&クレストが誇らしげな押し出し感の強いフロントマスクが特徴であり、何より現行モデルほど洗練されていない、いい意味での緩やかさが人気の理由かもしれない。ベースの車両価格もこなれてきており、現在では300万円台での購入が可能になっている。いまだ色褪せない存在感とバリュー、そして選択肢の豊富なアフターパーツなど、中古市場における2代目エスカレードの優位性は想像以上に高い。
レンジローバーやメルセデスもかくや、といわれるほどの現行型ももちろんいいが、多少のバタ臭さを有したこの2代目も、あえて別世界のクルマとして、まだまだ推したい1台なのである。
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