更新日:2011.06.14
文/編集部 写真/インフィニティ
アメ車の魅力とは? という質問を投げかけると誰もが答えた「デザイン」というキーワード。確かに90年代からのアメ車のデザインでさえ、野暮ったさの象徴である日本車とは比べ物にならないほど魅力的だった。直線基調の代名詞的存在のタホ、サバーバン。C3から進化したとはいえまだまだ流線型とは言いがたいC4コルベット。直線と丸みを上手く融合させたカプリスワゴンなども、いま思えばグッドデザインだとは思う。だが、それら全体を見渡して「無骨」とは言えても決して「洗練」されているとは言いがたいアメ車のデザイン。逆にその荒々しさが非常に魅力的ではあったのだが…。
そんな時代のアメ車も、進化とともに年々丸みを帯びたデザインに変化を重ねてきたが、それ以降「大きさ」「迫力」という点以外で目立ったデザインのアメ車がないのがさびしい。唯一、ダッジバイパーGTSのボディラインが美しいという記憶があるのだが。
アメ車といえば「無骨さ」「迫力」「大きさ」。そんなイメージが定着してきた時代に突如現れた1台。絶対的な大きさはあるのだが、ボディラインの抑揚が激しくて、見た目にあまり大きさを感じさせない斬新なデザイン。前後フェンダーの異様なまでの盛り上がり。それまでのアメ車が「男性的」であるとするならば、「女性的」と表現できるグラマラスなボディ。そして「インフィニティ」という、これまたセクシーなネーミング。インフィニティ FX45は、完全なる輸出専用車。いわゆる日産系の逆輸入車だが、アメ車好き、外車好きの心を一気に捉えたのだった。
●熟成度を増した現行型
2003年に登場したFX45は、09年にモデルチェンジを果たし現行型に生まれ変わっている。先代をベースに、より一層洗練さを増したボディデザインは、ひと目でFXと分かる逸品であり、メカニカルな部分の熟成とともに存在価値は一段と高まっている。
旧型では3.5リッターV6と4.5リッターV8を備えていたエンジンは、V8のみ排気量を上げ、5リッターとし390HPを発生させるに至った(V6は排気量変わらずも280HPから303HPに引き上げられている)。それに新開発の7速ATが組み合わされ、その動力性能は俄然向上しているのである。
駆動方式は、これまで同様のFRとAWD。FX50に関してはAWDのみの組み合わせになる。
(ちなみに余談だが、FXいうのは昔から写真写りがあまり良くない。個人的にはボディラインが上手く表現できていないように思う。なので一度実物を見るといいと思います。かなりカッコいいですよ)。
2011年に登場した現行型は、それまでの旧型から一気に2世代くらい進化したといっても過言ではないほど激変している。まずはスタイル。それまでの直線基調のスタイリングから一気に洗練され、その迫力や風情は欧州高級SUVに引けを取らないほど。また充実の装備と最新テクノロジーを搭載し、名実共に世界の1台、にまで上り詰めた感がある。
特にハイドロリック・ボディ・モーション・コントロールは秀逸であり、4輪にレイアウトされた油圧シリンダーによってコーナリング時の姿勢制御を行ってくれる。これは重心の高い車両がもたらす不安定なロールをコントロールし、まるでスポーツセダンのごときコーナリングが可能になるのである。
搭載されるエンジンは5.6リッターV8。400HP、トルク413lb-ftを発生させる強力な物。これに7速ATを組み合わせてパワフルかつスムーズな加速と省燃費を可能にする。
インテリアの質感も格段に向上し、旧型とはまるで別次元の洗練度をもたらしている。ソフトレザーとウッドのバランスも絶妙であり、その他オプションとの組み合わせでそれこそ至れり尽くせりの充実感が味わえるのだ。
非難を覚悟で言えば、キャデラック・エスカレードやリンカーン・ナビゲーターでさえも最新のQX56には、そのメカニズム洗練度では劣ってしまう。そのくらいの性能である(個人の趣味志向などはさておき、単純な性能比較において)。
これまでのQXは、アメリカ本国で製造されていたが、この新型からは九州工場に変わっている。そういう意味からも「対欧州」的な味付けが色濃くなっており、洗練度が格段に高まっているのかもしれない。
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