前回は取り付けに関する記事を紹介したが、今回はテント自体の素材や強度といった特徴について取材してきた。
ルーフトップテントとはいえ、あくまで車両を停止してから使用するため、「どれほどの強度が必要か」ということに関してはあまり興味対象にはならないかも。取材前はそんなことも感じていたが、話を聞けば何においてもやはり「作りは大切」ということを改めて思い知った。
テントひとつにも、その製作者の思想がしっかりと反映されおり、たとえばそれは新車製作におけるボディ剛性だったり、空力だったり、サスペンション制御だったりとetc、いわゆるボディ外版の強度や性能等と非常に似通っている。
クロウズネストは、外側から見るとテント形状がドーム状に見える。他社のテントと比較するとクロウズネストだけデザインが異なっているようにも見えるのだが、それは雨天時にルーフに水が貯まるのを防ぎ、雨漏れを防止する。
と同時に風の強い日等の耐風効果を発揮する性能重視のデザインという。が、それが美しくもあり「機能美」というやつを醸し出している。
ルーフトップテントを検索すればよくわかるが、他メーカーからは箱型のルーフトップテントが多数販売されているし、箱型であればテントの隅は当然角張っている。そうしたテント類は天候が穏やかな日であればまったく問題はないが、ちょっとでも風があるとか雨が降るとかすれば、そうした箱型であるからこその難が露呈する。
素人的な言い方で申し訳ないが、要するに角ばった面が直接雨風の抵抗になるのが最大の理由だが、そうした難から逃れるためにドーム型にすると内部のパイプフレームからのすべてをそのために作り込まなければならない。=製作面での困難が増える(技術面、コスト面etc)
だから、その部分に目をつぶるテントが多いと思われるのだが、クロウズネストは最初からそうした悪天候時の対応アプローチを積極的に行っている。
くわえて、テントの四面に窓があり晴天時には360度のパノラマビューが楽しめるだけでなく、四隅の窓上部の屋根が雨よけにもなっており、実用面での使い勝手に優れている。
しかもそうした骨格を覆うテント表皮には、二重三重にもおよぶ防水面での注意が払われており、各部の縫い目には別布一枚を補強した上でのダブルステッチ縫いを実現し高い密封性を確保している。縫製に関してはテント全体を通してダブルステッチ縫いだ。さらにファスナーには頑強さが売りの日本製YKKを使用。
一方で、テント自体の生地にはポリエステル/コットン混合素材のリップストップ生地を使用しているから紫外線耐性と耐久性に優れている。
ポリエステル/コットンの混合素材はポリコットンと言われており、ポリエステルとコットンの良いとこ取りをした生地であり、丈夫でシワになりにくく乾きやすいというポリエステルの良い部分と、風合い、通気性、吸湿性に優れたコットンの良い部分の両方を兼ね備えている。
コットンには水を含むと膨張するという特性があり、雨が降って水を含むと自ら生地の隙間を埋めてくれるため水滴が下まで落ちるのを防いでくれる=防水性に優れている。一方で、焚き火の火の粉が飛んできても燃えにくいから穴が開きづらい(ポリエステルのみだと火に弱い)。
くわえてテント上部を覆っているレインフライ。強い日差しや雨からタープ内をしっかり守るための天幕にはポリエステル420デニールもの厚い天幕を使用し、遮光や耐水性を上げている(一般的なアウトドアタープで70デニール、大型業務用で300から600デニールというからいからその厚さがよくわかるだろう)。
またテント内部のフレーム部分はすべてアルミニウム製で、ヒンジや治具は海洋グレードのステンレスを使用することで長い耐久年数と優れた強度設計を確保(プラスチックは一切使用していない)。
しかも防水性にも優れた製品となっているわけだから、ルーフトップテントにおけるあらゆる難を解消することに努めた頑強な商品と言っていい。
聞けば、その製作元となるお国柄の特徴があるという。クロウズネストはニュージーランドのFeldon Shelter社製のテントであり、 ニュージーランドにはいまだ手付かずの大自然が残る地域があり、「一日のうちに四季がある」と言われるほど天候の変化が激しいのだとか。
そんな国で開発されたルーフテントであるからこそ、日本の四季にも余裕で対応でき、また耐久性が高いからこその質感を備えているというのである。
だから日本の気候内での使用においてもまったく問題なく長い閒使用可能だし、各部のヘタリやサビも起きにくいからこそ雨に濡れたら乾かすといった程度のメンテナンスは必要であるが(地面で使用するテントよりも乾かすのは楽)、ルーフトップテント全体から見れば、逆にお手軽なルーフトップテントとして人気が高いのである。
その昔、「アウトバーンを時速200キロ以上で走るベンツ(W124くらいまでか)だからこそのクオリティに憧れている」という方が多数いたが、クロウズネストはまさしく当時のベンツのごときオーバークオリティの象徴に近いテントと言えるのである。
筆者的には、今なら河川敷で少年野球をしている息子の見学に使うのも良いかと思っている。ルーフの上からだから、他車に邪魔されず勇姿が見えるはずだし。
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