更新日:2014.05.09
文/T.NAKAJIMA 写真/ゼネラル・モーターズ
今年は、業界的には新型コルベットが話題の中心となっているのはご承知の通りだが、この後エスカレードの納車が始まり、新型マスタングもそろそろ海を渡ることになるのだろう。
だが、そんなド派手なパフォーマンス系とは裏腹に、一見地味に見える単なる普通のセダンなのだが、いざ走ってみると誰もが感動する!、そんな魅惑のアメ車も存在する。ということで、シボレーSSに乗ってきた。
このシボレーSSは、1996年に消滅した名車・シボレーカプリス以降存在していなかった「シボレーV8エンジン+後輪駆動」となるパフォーマンスセダン。兄弟車となるオーストラリアの「ホールデン コモドア」にも使われる後輪駆動用のプラットフォームを使用し、エンジンにはC6コルベットでおなじみの「LS3」6.2リッターV8エンジンを搭載。ボディにはボンネットフードとトランクにアルミニウムを使用することで低重心化と軽量化を図っており、ボディ前後の重量配分は50:50を実現する。
当然ながら足回りも強化され、前マクファーソンストラット/後マルチリンクの足回りに、355mmのベンチレーテッドディスクと4ポッドの2ピースキャリパーを組み合わせたブレンボ製ブレーキを採用し、前後19インチの鍛造アルミ&タイヤが装備される。
名機LS3エンジンは、コルベットでお馴染みだったが、415hpのパワーに、最大トルク415lb-ftを発生させ、パドルシフト付き6AT(MTモデルはない)との組み合わで、0-60マイル加速は約5秒という俊足を誇る!
搭載されるエンジンは、C6コルベットに搭載されていたLS3 V8エンジン。415hpのパワーに、最大トルク415lb-ftを発生させる。車重1800kgのボディには十分すぎるほどのパワーである。最近のアメ車「脱V8」的な動きはキャデラックにまで押し寄せているが、例えばCTSと乗り比べると、その差は圧倒的であり、SSはアメ車好きに訴えるすべてを持っていると言えるだろう。
下部のみ直線となったステアリングは、レーシングマシンの雰囲気を醸し出しており、シートもセダンにしてはホールド性が高く、全体的に若々しいインテリアが構築されている。
メーターは最近流行りの液晶タイプではなく、アナログメーターを2連で配置したもの。好き嫌いもあるだろうが、スポーティカーこそ、アナログメーターが必要だと思うが。
スポーツセダンと言うだけあってコーナリングが面白い。アメ車にしては、かつてのようなフワフワヤワヤワな面影はなく、かなり俊敏なハンドリングが堪能できる。
たしかにスペック的には魅力的な雰囲気が満載である。だが、乗ってみないとわからない。ということで、いざ試乗である。
シボレーSSは、インテリアからもスポーティさを全面に押し出している。下部のみ直線となったステアリングは、レーシングマシンの雰囲気を醸し出しており、シートもセダンにしてはホールド性が高く、インパネ内のメーターはイマドキの液晶ではなくあえてアナログ的なもの。人によっては古いと思うかもしれないが、SSは古臭いといよりは、あえてそう設えることにより、雰囲気をだすことを優先しているようである。個人的には液晶系はかえって安っぽく感じ好きではない…。着座位置も適切で、座ると分かるが、ちょうど先般デビューしたキャデラックCTSと同じような着座姿勢が取れる。
さらなる驚きは、走り出してからだった。思っている以上に速く、しかもボディがかなりガッチリし、ステアリングの反応もダイレクトかつ俊敏であり、かつてのシボレー後輪駆動を知っている方々にしてみると、驚きの連続だと思う。しかも搭載されているLS3エンジンのパワー感が断然いい。サウンドもまさにアメリカンV8。低速から中速域がめちゃくちゃ気持ちいい。昨今、こういった4ドア系は燃費的問題をクリアするために、V6か直4エンジンがメインとなりつつあるが、このSSのV8は圧倒的にファンであり、アメリカを主張する!(日本で勢いよく乗ったら燃費悪そう。笑)
シボレーSSの車重は1800kgだから、415hpのパワーでも十分以上のパフォーマンスを示す。余談だがカマロZ28は500hpのパワーで1700kg弱の車重だから、SSのパフォーマンスの高さが分かるはず(ちなみにCTSは1700kgで276hpのパワー)。
身近な話でいえば最近乗ったキャデラックCTSは、最高にパフォーマンスの高いセダンであるが、直4ターボに魅力を感じる部分は、燃費以外にあまりないというのが正直なところ。だが、足回りやボディ内外装を含め、まるでドイツ車のごときフィーリングを醸し出しており、そこが気に入れば誰にもオススメできるクルマであるのは間違い。
インテリア各部に貼られるアルカンターラが雰囲気を醸し出し、質感を向上させている。「SS」ロゴもスポーティな雰囲気を盛り上げる。
V8に組み合わされるミッションは、パドル付きの6速ATのみ。このあたりがアメリカ国内モデルとして割り切っている証だろう。
フロント245/40zr19、リア275/35zr19というかなりのロープロファイルタイヤを装着する。ホイールに内には、大経のブレンボ製ブレーキを装備している。
この先こういったV8搭載のハイパフォーマンスカーは少数派になりうる可能性が高いだけに、チャンスがあるなら是非一度体感してもらいたい。
一方で、シボレーSSは明らかにアメ車である(笑)。まずボディデザインからしてシボレー系のマスクであり、かなりスポーティではあるけれど、CTSほど全体的に引き締まってはいない。
しかもエンジンの主張が大きく(ボディはかなりしシッカリして近代的なのに、エンジンが一世代前のアンバランスさ)、バランス的にもフロントヘビー感は否めない。だが個人的にはそういうところが好きであり、またそこが「完璧たるドイツ車になりたい」的なキャデラック系セダンとの決定的な違いであろう。
さらにカプリス以来、17年ぶりの「シボレーV8+後輪駆動」ということで、すでに名車の予感! 日本でも家族持ちのアメ車好きには最高の1台ではないか。
シボレーSSの本国ベース価格は4万4470ドルという。日本に持ち込めば(もちろん並行だが)600万弱ということになるのだろうか。
見た目はおとなしく、一見すれば「なんだシボレーの訳わかんないクルマかよ」と思われるかもしれないが、その実C6コルベットと同様のエンジンを搭載している俊足セダン。
これこそまさに「羊の皮をかぶった狼」と表現することができるアメ車だろう。
シボレーSSのライバルはBMW5やダッジチャージャー、フォードトーラスSHOとなるらしいが、個人的にはかなりいい線いっていると思っている。それにチューニングベースと考えれば、LS3を搭載しているだけあって、コルベットのパーツもふんだんに使えるだろうから、面白いクルマに仕上がるだろう。
SPEC:
全長:4966mm
全幅:1897mm
全高:1470mm
ホイールベース:3961mm
車両重量:1803kg
エンジン:V8 OHV
排気量:6162cc
最高出力:415hp/5900rpm
最大トルク:415lb-ft/4600rpm
サスペンション:Fマクファーソンストラット/Rマルチリンク
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES