全長は5.7m、ホイールベースは3m以上という巨大なボディのフリートウッド。当時はクリントン大統領の専用リムジンにもブロアムがベース車として使われていたほどで、高級車としてのイメージが最も定着しているモデルだ。
スタイリングは古き良きアメリカ車の印象が色濃く出ている。そういう意味では近年、もっともキャデラックらしいキャデラックと言えるのではないだろうか。大げさに言ってしまえば、50年代のテールフィンの流れを汲むイメージである。その迫力はコンコースやドゥビルといったモデルよりも強く感じられるだろう。
そのブロアムだが、93年に17年振りの大幅なモデルチェンジが施されている。ボディサイズは全長5725×全幅1990×全高1500ミリ(日本仕様)となり、先代よりそれぞれ100ミリ、30ミリ、25ミリ大きくなった。また搭載される5.7リッターV8OHVエンジンは、93年当初175psだったが、翌94年型以降から250ps、最大トルク44.9kg-mに進化している。
外観的な特徴は、伸びやかなフォルムとリアタイヤが半分近く隠れているデザイン。オールドスクールなこのホイールアーチが他のクルマとの絶対的な差別化となる。なお、このアーチはその後コンコースに継承されるが、整備性の悪さからか95年型をもって姿を消している。
ブロアムの最大の特徴だが、当時の他のキャデラックが4.6リッターノーススターV8エンジンを搭載するのに対し、あくまで5.7リッターV8OHVにこだわり続けたこと。そしてFR駆動でいたことにより、他のFFキャデラックと区別されていたのである。具体的には、ストレッチリムジンがつくられていたためだろう。そのために存在し続けたともいえるのである。ちなみに90年代の大統領専用車といえばコイツの印象がかなり強い。
古き良きアメリカ車の印象が色濃く出ているキャデラック。大統領専用リムジンのベースにもされる高級車。厳粛な雰囲気のスタイリングに鷹揚な乗り味はまさにアメリカ的と言っていい。
50年代からのテールフィンを連想させる縦型テール。このテールを真似した国産車が登場したほど他車に影響を与えたデザインだった。
薄くて長くてというのが昔のアメリカ的デザイン。リアホイールアーチが後輪を隠すオリジナリティも素敵だ。
インテリアはまさに当時の高級車で、スイッチ類にはメッキが多く使われる。シートはフワフワのソファーのようで、フロントベンチシートの6人乗り。こうした高級感はどちらかというと90年代よりも80年代を引きずっているのかもしれない。
試乗車は95年型のヤナセディーラー車。約38000キロ走行車。FR駆動のブロアムセダン・エレガンスである。現状は、登録された当時からそのままと思われるほどフルノーマルのままであり、各部のコンディションは、経年変化はあれど非常に良い。カスタム等でいじられていないためにキャデラック独特の世界観を残している。
とくに内装スイッチ類の感触などは、現代のアメ車でも感じられない硬質さ。全体的にはシンプルなのだが、ウッド、プラスチック、メッキなどが巧みの組み合わされた一世代以上昔のアメリカの雰囲気をそのまま醸し出す。
この年代のアメ車を動かすときには常に思うが、シートやステアリング、コラムシフトの位置決めがほぼジャストで決まるし、OHVエンジン搭載ゆえにボンネット位置が低く、着座位置からの窓越しの車幅のサイズ感もつかみやすく、とにかくすべてにおいてドライバーに優しい。
搭載されるエンジンは5.7リッターV8OHV。250ps、最大トルク44.9kg-mを発生させるが、この車両の雰囲気には必要にして十分なパワー。
275/70R-15インチタイヤはホワイトリボン。当時のままのような状態だが、タイヤはそのうち交換すべき。とはいえこの状態も懐かしく維持したい。15インチタイヤの乗り心地も素晴らしい。
タイヤカバーも付属しており、現状でこのクルマにかけている純正部品の欠品パーツは見当たらない。トランク自体の使用感もほとんどなく好感。
「これがキャデラックだろう」と叫ばずにはいられなかった。すべてにおいて心地よい。たしかに古臭いのかもしれないが、これがアメ車だし、これぞ高級車。
そのまま走ってもイメージを崩すことはなかった。フルサイズキャデラックらしく本当にゆったりしている。とはいえ、ふわふわゆらゆらで困るというようなものではなく、まさしくアメリカ的なゆったりとした乗り心地。まさにキャデラックライドだろう。
250psを発生させる5.7リッターV8エンジンは、「パワフル」という感覚ではなく「余裕」を感じさせる方向に躾けられており、運転していて不満をいだくことはほとんどない。とはいえ、そこは1995年車。現代のハイパフォーマンス車の感覚で見てしまえば、すべてにおいて劣っていると感じるかもしれないから、今このキャデラックに乗るのであれば、ある程度の許容は当然必要になる。
ただ、乗れば運転中はドライバーの気持ちまで大きなり、おおらかな気分で目的地を目指せるクルマである。ステアリングの反応などは、ゆったりしていながらも正確であり、これだけの大きなボディにもかかわらず、ステアリングの切れ角が凄いから動かすことにおいて不自由をあまり感じさせない。
ブルー基調のインテリアは、ごくシンプルなデザインながらもウッドとメッキとプラスチックが組み合わされた往年の雰囲気。旧アメリカ車の趣と豪華さがキャデラックを象徴している。
往年のアメ車を彷彿とさせるデジタルメーター。動作確認を行ったが、きちんと動いていた。味わい深いメーターである。
アナログチックなスイッチ類。デジタイル時計も普通に動いていた。各スイッチの感触が硬質であり、現代のアメ車では味わえない深みを感じる。
いわゆるソファー系のふかふかしたシート。フロントベンチで6人乗り。レザーの状態も22年落ちにしてはまずまず。この大柄な包まれ感がまさしくアメ車。
すべてにおいてアメ車独特の世界観に浸れるということになるのだろうが、最新のアメ車を知っている人間が乗っても嫌にならない。個性的ではあるが、今の時代には感じることができない味だけに、楽しさの方がすべてにおいて上回っているのである(もちろん個人差はあるだろうが)。
約22年前の車両だが、ここまでコンディションが良いとはまったく思っていなかった。少なくとも内装やエンジン等にもっと大きな経年変化が見られると思っていた。だがこの個体に見られた変化は、おそらく新車当時から付いていたショックやタイヤくらいではないか、あとボディの小キズ等。それ以外では前オーナーからの使用感がいくらかあるが(シートなどの汚れとか擦れとかそんな程度)、クルマとしての根本がかなりシッカリしていることに驚かされる。
年式的な経過を考えればヒストリックカーと言っても過言ではないが、実際に乗ればまだまだキャデラックワールドを堪能することができ、さらに各部に少しずつ手を入れることで(消耗品の交換等)、根本がシッカリしているからこそ新車に近いコンディションに戻すことも可能だろう(そのくらいのグッドコンディション)。
大きな高級車と言われた「あの時代」のアメ車に一度でも乗ってみたいと思うなら、絶好の機会かもしれないし、エスカレードあたりに乗っているオーナーさんが、キャデラックの神髄を味わってみるのにも最高の個体であると思う。
ウッドとメッキとプラスチックが組み合わされたドアノブやウインド−スイッチ。またフロントシートの前後の調整スイッチもある。非常に使いやすい。すべて動作確認済。
リアシートの使用感がほとんどないのが驚き。足元スペース的には広々としている。これをベースにリムジンが作られるくらいだからいわずもがな。
19,404円
PERFORMANCE
6DEGREES
19,998円
PERFORMANCE
6DEGREES
3,480円
MAINTENANCE
GDファクトリー千葉店
48,070円
EXTERIOR
6DEGREES