続いて2018年型マスタングに試乗した。言い忘れたが、この二台、同価格帯の車両である。かたや2016年型で568万円のチャレンジャー。で、このマスタングGTが2018年型で578万円。同様にMT車だ。
一昨年前あたりでは、マスタングGTの新車は日本で700万円くらい以上が相場だった。それに多少のオプションが加われば750とか800とか…。正直、ちょっと違和感のある価格帯が実情だったが、今は状況が変わりつつある。
そう、この18年型マスタングGTは、4000キロ弱走行の直輸入車だが、578万円。コミコミ600万円ちょいで入手可能である。
比較対象として持ち出した赤いチャレンジャーが2016年型だから、年式も型も新しく、さらに車両は上級のGTプレミアムである。ちなみに、GTではなくエコブーストだとこれよりも50~100万円程度価格帯が下がるから、よりお買い得になる! とはいえ500万円級の車両だから高級車ということには間違いないのだが。
さて、この18年型のマスタングGTのMT車に試乗した。18年型のGTのAT車は、他社でも扱いがだいぶ増えてきたが、MT車はおそらく日本初だろう。
BUBUのBCDは、常に在庫として日本に車両を持ち込むために、いかにもありますよ的な広告宣伝を行っているショップ、しかも実際には車両はなく、購入が決まってから日本に持ち込む業者たちとは確実に一線を画す。彼らは、正規輸入されていない車両を、まるで正規輸入されているかのごとき保証体制をもってユーザーをフォローする。
だから2018年型マスタングに関しても、ATとMTとを区別せず、日本にて選べる状態を作ってくれているのである。
で、そうしたディーラーが日本に輸入した最新マスタングのMT車。AT車は、2018年から10速ATとなっているが、MT車は旧式同様の6速MT。ただ、個人的には、シフトの誤操作を含め7速MTには反対派だけに、MTは6速で十分楽しめると思っている。
さて、2018年型マスタングのおさらいである。2018年型のマスタングでは既存の2.3リッター直4エコブーストエンジンと5リッターV8の二種類となり、直4エコブーストはキープコンセプトであり、V8エンジンには新たな直噴インジェクションが使用され高回転型&フィーリングアップがもたらされている。
具体的には、2017年までの5リッターV8は、435hp、最大トルク400lb-ftを発生させていたものが、2018年からは上記燃料噴射等の変更により460hp、最大トルク420lb-ftへと進化している。
さらに460hpの最大発生回転数が7000rpmへと上昇していることから、分厚いトルク感はそのままに、これまで以上に回るエンジンとなっているのだ。
くわえて、これらエンジン(V8&直4ともに)に組み合わされるミッションは、6速MTと新開発の10速ATとなっている。
また上記以外でも、足回りの進化やマグネライドサスペンションのセレクト可能といった情報もあり、年々進化を遂げいているマスタングではあるが、現状2018年型こそが「最高」レベルに達していると考えられる。
そして、一番の大きな変化がフロントマスクの変化である。2017年までのマスタングは「優雅さ流麗さ」をアピールしていたが、2018年から採用されるシャークノーズ的なフロントマスクは、「アグレッシブさ」を前面に押し出している。
鋭角に切られたヘッドライト回りは、正直、好き嫌いがハッキリと分かれるタイプと思われるが、二時間足らずの取材時間中に皆見慣れてしまっていたから、恐らくそんな感じで溶け込んでいくのではないだろうか。
と言いながらも、実際に試乗させてもらったら、デザインの変化などまったく気にならないほど、気に入ってしまった。
まず、着座位置。圧倒的に低くタイトな感じはスポーツカーのようである。チャレンジャーはそこら辺が乗用車ベースらしくあって、(チャレンジャーはそれがらしくていい)、マスタングの場合は、とくに現行型は一段と低くタイトなっているから、より一層スポーティカーとしての雰囲気を高めている。
しかし、その分サイドミラーは小さくデザインされており慣れるまで道路上で恐怖感を感じる(笑)。ペダル配置も乗用車的なチャレンジャーとは一線を画し、独自のスタイル&クセを持っているから、所有すれば、総じて慣れるまでの時間が必要になり、そういったクセを克服した達成感を同時に味わうことができ至福の満足感に浸れること間違いない。
くわえて、クラッチペダルは想像上に軽いから操作性は悪くなく、シフトがショートストロークタイプでエンジンを自由自在に操れる感に浸れて、MT車としての満足感も同様に味わえる。
また、ボールタイプのシフトノブが絶品であり、操作性が良好なだけでなくカチッとしたフィールが極上の代物だった。エンジンとシフト操作の感触もシンクロしているから低速走行の街中でも楽しめるのである。
しかもその際の濃厚なV8エンジンフィールがめちゃくちゃ素晴らしく、「V8フェラーリやBMW直列6気筒を越える」とまでは言わないが、それに伍するくらいの魅力は備えていると個人的には思っている。
それに460hpとはいえ、高速道路などでひとたびアクセルを踏み込めば、異次元のブチ切れた走りとサウンドを披露してくれるのだから最高だろう。
ちなみに、直4エコブーストを搭載したモデルも劇的に素晴らしい存在であり積極的に選ぶべきモデルに間違いないから、はなからエコブーストをチョイスしようと検討しているならば、そのまま進んでもまったく問題はない。
だが一方で、もし万が一「エコブーストとV8」とで迷っているならば(ほぼいないと思うが)、「絶対にV8をチョイスすべき」であると答えるだろう。
いわゆるシビレる要素としては、やはりV8サウンドこそがデフォルトであり、スピードの速い遅いに関係なく「あえてアメ車に乗る理由」みたいなものを与えてくれるのである。同時にMT車ならば、V8サウンドの刺激を二倍にも三倍にも高めてくれると思うのである。
なお、先月にチャレンジャーの8速ATを、先々月にマスタングの10速ATを体感しているから、ATの素晴らしさも認識済みである。だから「もともとAT以外は眼中になし」というオーナーであれば迷わずATでまったく問題ないのだが、もしもどちらかで迷うというならば、存分に迷っていただきたい。
絶滅危惧種となりつつあるMTではあるが、その刺激度においては二倍も三倍も違うわけだから、チョイスする価値はいまだ高いと(個人的には)思っているのである。
12,810円
PERFORMANCE
6DEGREES
17,298円
PERFORMANCE
6DEGREES
18,420円
PERFORMANCE
6DEGREES
2,090円
MAINTENANCE
6DEGREES