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[試乗記]

足として、遊びの相棒として、そして時にスポーツカーとして

2023 シボレーカマロ LT RS

いろいろな側面を持つ万能マシンとして非常に魅力的

アメリカンマッスルカーにとって不遇の時代が忍び寄る…。そんな時代だからこそあえて2リッターモデルに試乗してみた。

更新日:2023.01.26

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBUさいたま・シボレーさいたま南 TEL 048-710-6226 [ホームページ] [詳細情報]

アメリカンマッスルの一翼を担うカマロ

 シボレーカマロの最新ラインナップを見ると以下の通り。そんな中で2リッター直4ターボのLT RSに試乗した。

・2リッター直4ターボ搭載 LT RS:668万円
・2リッター直4ターボ搭載 コンバーチブル:778万円
・6.2リッターV8搭載 SS:848万円

 これまでに何度も試乗しているから、あえて触れることは少ないだろうと事前に思っていた。そしてここ最近、V8搭載のハイパフォーマンスモデルに乗ることが多かったから、正直、あまり感心することもないだろうと考えていたのだが…否。

 めちゃくちゃいい。そして速い。何より身軽な感じが直接伝わってくるし、運転していて楽。これなら毎日の足としても使いたい。そんな思いを起こさせるスポーティカーであった。

▲2018年までのスタイルから一変された2019年。そしてそのまま現在に至る。カマロらしいアグレッシブなスタイルは健在。

▲リアテールも含めたデザインの完成度は高い。ボディカラーにより見え方が変わるから、購入時にはじっくり検討したい。

 搭載エンジンは2リッター直4ターボエンジンで275ps/5500rpm、最大トルク400N•m /3000〜4000rpmを発生させる。これ、筆者が昔乗っていた93年型スカイラインR32GT−R(280ps/6800rpm、353N•m/4400rpm)とほとんど同じスペック。

 ちなみにカマロ直4の車重は1560kgで当時のスカイラインGT−R Vスペックが1500kgということだから、現代の最新安全基準に合わせつつのカマロの車重の少なさは特筆モノであり、恐らく速さ的には若干劣るものの、ほぼほぼ同じとも言えなくはない。

 プラスしてV8搭載のアメリカンマッスルと比較すれば、確かにスペック的には劣るものの、車体剛性の高さやエンジンの搭載位置、さらには車重の軽さ等の総合スペックにて、カマロ直4からはV8アメリカンマッスルとは異なるスポーティな印象が得られる。

 実際、ボディ剛性の高さは特筆モノでありハンドリングもシャープかつ正確で、こういった硬質な感覚はマスタングやチャレンジャーでは味わえない。加速も鋭く、それでいてブレーキもブレンボであるから効きが良く、スポーツ走行時のパフォーマンスは想像を遥かに超える。

▲走りは想像以上にスポーティであり、アメリカンマッスルというよりはスポーツカーと言っても過言ではないレベル。ボディ剛性の高さは特筆モノ。

▲搭載される2リッター直4ターボエンジンは275ps/5500rpm、最大トルク400N•m /3000〜4000rpmを発生させる。またその搭載位置がフロントサスペンションよりも後方に位置することで、抜群の回頭性を見せる。

▲フロントにはブレンボブレーキと20インチホイールが装備される。

 一方エンジンも低速からピックアップ良くパワー数値に関係なく気持ち良く走れる。搭載される8速ATが効いているのだろう、小気味良い変速を繰り返し、ドライバーの意図を汲むかのようなシフトアップ&ダウンを確実に行ってくれる。

 しかも力が必要な場合は、即応して7000回転弱まで一気に吹け上がるのだから、まさしくスポーツカー。

 同行してくれたシボレーさいたま南の渡辺さんによれば、「最近ではBMW2シリーズや4シリーズと比較し購入されるユーザーさんが多い」と教えてくれたが、その理由もよく分かる。要するに比較対象として十分に戦える存在ということである。

 最近のBMWのフロントマスクもかなりアクの強いものが多いから、カマロは逆に大人しいとさえ感じるのかもしれない。

 再び渡辺さんによれば「カマロの販売状況の8割近くが2リッター直4ターボを搭載したLT RSで、6.2リッターV8のSSをお求めの方は2割ほど。

 また、LT RSを購入される方の多くは日本車や欧州車からの乗り換え組、かつ初めてのアメリカ車という方が多く、逆にSSを購入される方はアメリカ車好き、もしくはアメリカ車から乗り換える方がほとんどです」という。

 すなわち、実際にカマロを購入された方の多くは、最初からほぼ決め打ちで購入するモデルをチョイスしている場合がほとんどであり、「LT RS」と「SS」のどちらを買うか? で迷う方はほとんど存在しないということだ。

▲カマロ独特のインテリアデザインがドライバーの満足度を高める。内外装ともに個性十分。

▲2リッター直4ターボエンジンは8速ATが組み合わされる。

▲アナログメーターを中心とした機能的なメーター周り。

 だが。仮に迷っている人がいるのであれば筆者はあえて直4モデルをお勧めする。というのも2リッター直4ターボを購入したとしても、動力性能的な不満を感じる可能性がほとんどないから。

 また、SSとLT RSとの約180万円の価格差や購入後の維持費の違いを考えれば、「LT RSで十分」という人が多いのは当然である。くわえて排気量差による3万6000円と11万円という自動車税の違いは圧倒的だろう。

 LT RSは、現代に適応した新時代のカマロである。そしてお世辞抜きで十分に魅力的。世の中には2リッタークラスのハイパフォーマンスカーはいくらでも存在するし、今や世界的に見ても2リッタークラスのパフォーマンスカーが主流となっている。

 くわえて、アメリカ車のカマロという存在は、BMWやメルセデスと比較しても、かなり個性的ではないだろうか。あえて人とは違うパフォーマンスクーペが欲しければその存在価値は極めて高いと言えるだろう。

 個人的には、若い頃からずっとアメリカンパフォーマンスカーに乗ってきた方が最後の最後に、こうしたちょっとライトな、それでいて骨のあるクーペに乗っているとカッコイイと思う!

 最後に。購入の際の注意点であるが、取材した際のアドレナリンレッドのインテリアが非常に魅力的で「絶対欲しい」と思った装備であったが、それはブラックのボディカラーのみの装備であり、他のレッドやホワイト、ブルー、グレーメタにはブラック一色のインテリアになるというから、購入希望者は是非迷って欲しいと思う。

▲パドルが装備されるからスポーツ走行時には非常に効果的。

▲ブラックのボディカラーにはアドレナリンレッドのインテリアが装備する。これ、最高!

▲左ハンドルのクーペということで、サイズ感による視認性や操作性の難を想像するかもしれないが、はっきり言って慣れるから問題なし。

 それ以外はほぼほぼ全てフル装備と言える状態であるから、ETCとフロアマットをチョイスするくらいで済むのも嬉しい。余談だが、BMW2シリーズでカマロと同等の装備をオプション設定するとBMWの購入金額がカマロを大幅に超えるというから、そういったことも販売増の理由の一つでもあるのだろう。

 取材したシボレーさいたま南は、新車販売のほか認定中古車の販売も行っており、数台のカマロの中古車が展示されていた。が、それらも軒並み人気上昇中というこであり以前よりもだいぶ数が減っているというから、LT RS、SSかかわらず早めにアクションを起こす方がいいだろう。

 最新のシボレーカマロ直4ターボは、足として、遊びの相棒として、そして時にスポーツカーとして振る舞える万能マシンとして、それでいて他車と異なる個性的な存在として…、いろいろな側面を持つ万能マシンとして非常に魅力的存在であると改めて思った次第である。

▲シボレーさいたま南の渡辺さん曰く「BMWやベンツを上回る個性が最大の特徴です。またそれでいてリーズナブルです。実際、そういった他メーカーの欧州車と迷われて購入され、満足されている方が非常に多いのが現在のカマロです」

▲こちらは2019年に設定された特別限定車。このイメージが忘れられず、筆者なら直4ターボの赤いボディでこんな仕様にして乗りたい。

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