キャデラックエスカレードは2021年にフルモデルチェンジし、5代目に進化している。これ以前の4代目まではフルモデルチェンジとともに数多くの並行輸入車が日本に輸入されていたが、5代目モデル時はコロナ禍だったりウクライナ問題があったりして、GM自体の工場生産に限りがあった。
くわえて当時の日本GMによる正規モデルの導入も早かったことから、5代目モデルの並行モデルはあまり多くない。
エスカレードを含むキャデラックを中心とした品揃えを展開するブルートにおいてもそのことは承知しており、5代目モデルの導入にあたってはD車を中心に仕入れを展開したという。
で、早速だがブルートに5代目エスカレードが入荷した。個体は2021年モデルの「スポーツ」。走行約2万1000キロのD車である。
正規日本仕様のグレードは「プラチナム」と「スポーツ」の二種類になるが、両者に性能的な差異はなく、主に装備品の違いである。「プラチナム」はエスカレードを象徴する大型グリルが目立ち、「スポーツ」はブラックメッシュグリルやブラックトリムといった精悍なエクステリア仕様となっている。
さて、5代目エスカレードの特徴であるが、ボディデザインの変化とインテリアの進化、そしてサスペンション進化により室内空間に余裕が出て、セカンドシートとサードシートが以前にも増して使えるようになったこと。
走行性能の充実は当然だが、今回のモデルチェンジでは特にインテリアや室内空間といった居住性アップが見逃せない。
ボディデザインは、大型グリルと細めのヘッドライトを合わせた最新GM車のトレンドであり、エスカレードの場合、この大型グリルの迫力が随一。特に「スポーツ」のブラックグリルの威圧感は凄い!
そしてホイールベースが延長され、さらにリアサスペンションが独立式に一新されたことにより室内空間が大幅に見直されている。
セカンド、サードシートともに足元スペースが広がり、特にサードシートの足元スペースは旧型比で40%広くなり、大人が普通に座れるようになった。同時に荷室サイズも大幅に向上している。
【サイズ】
■5代目エスカレード:全長×全幅×全高:5382×2059×1948ミリ ホイールベース:3071ミリ
■4代目エスカレード:全長×全幅×全高:5179×2045×1890ミリ ホイールベース:2946ミリ
全長が20センチ以上延びているのがわかるが、それらが全てリアの居住性にあてられているのだ。
一方インテリアは、まずメーターパネルが一新された。ドライバー正面のデジタルメータークラスターと左右のディスプレイを合わせて約38インチという巨大なOLED(有機液晶ダイオード)ディスプレイを採用。それは4Kテレビの2倍の高精度を誇るという。
ちなみに、その約38インチというサイズだが、OLEDディスプレイの左側が7.2インチサイズのインフォメーションセンター、ドライバーの正面の14.2インチのクラスターディスプレイ、右側の16.9インチのインフォテインメントスクリーンの合計サイズである。
加えて新型モデルには36個ものスピーカーを備えたAKG製3Dサラウンドサウンドシステムが備わっている。
AKGとは約70年前にウィーンで創業したプロフェッショナル用音響・録音システムメーカーであり、有名ミュージシャンがレコーディングスタジオやライブ会場で使用するマイクやヘッドフォンでも有名。そのAKGとキャデラックがエスカレードのために共同開発したサウンドシステムが装備されている。
搭載されるエンジンは、6.2リッターV8 VVT。420hp、最大トルク460lb-ftを発生させる。このエンジンは旧モデルからの流用となるが、当然熟成されたことによる緻密なマネージメントを行い、10速ATとともに力強さと高効率が両立されている。
組み合わされるATは、これまでのコラムから10速フロアシフトとなっており、改めて旧エスカレードの趣が一切なくなっていることを知るのである。
新たなメーターパネルやその他センターコンソール等の質感は想像以上に高く、雰囲気も良い。そして新たにフロアシフトとなった空間は、新たな時代のエスカレードを象徴していると言えるだろう。
実は、フルモデルチェンジした時点では「好き嫌いが分かれるデザインかも」と筆者は否定的な印象を持っていた。
というのも、4代目エスカレードまでは、いわゆる旧エスカエレードデザインの延長線上にあるという安心感がどこかにあったのだが、一転、5代目では劇的変化によってデザインの印象がまるっきり変わっているから。
5代目は、これまでの旧エスカレードデザインの延長というよりは、キャデラックXT6系デザインへと移行した感が強く、それに慣れるのに時間が必要だと思われたのだ。
だが。実物は非常に好印象。稚拙だが、めちゃくちゃカッコイイ。細身のヘッドライトに大型グリルのデザインは現在の世界的傾向とも言え、その中でも圧倒的に似合っている。言い換えれば、エスカレードらしい威風堂々とした個性的スタイルであり、それでいて洗練された美しさが感じられる。
ブルートはキャデラック専門店だけに、周りに新旧さまざまなエスカレードが展示されているから、同時に新旧を見比べることが可能である。が、新型を見れば瞬時に瞬殺される(笑)。
そのくらい劇的に変化し、そしてめちゃくちゃカッコイイ。旧型を一瞬にして古臭く感じさせるだけのデザイン的洗練が感じられるのだ。
インテリアも圧巻である。品質的には歴代史上最高なのは当たり前だが、全てにおいて品が感じられ、素晴らしい。これ以前の4代目モデルにおいても「らしさ」は十分に感じられたし、質感の高さもあったが、それはあくまでアメリカンSUVとしての範疇に収まっていた。
だが5代目のインテリア全体の質感は、メルセデスやBMW、レンジローバーといったいわゆる世界的メーカーの高級SUVたちに匹敵するレベル。正直、このレベルを知ってしまうと旧時代のアメリカ的インテリアがこれまた古臭く見えてしまって・・・・。とにかく相当に魅力的な室内空間だった。
と同時に、先日取材したC8コルベットやタホもそうなのだが、2020年以降のGM車の質感やデザインの洗練度のレベルが相当に上がっていることに気付く。きっと多くの方を驚かせ、満足させるに違いない(それ相応の金額が必要になるが)
ブルートにおいては、古くは2代目エスカレードから在庫している時もあり、取材時には3代目、4代目モデルを同時に見ることが可能であった。今ならそれらと新型5代目モデルを同時に見比べることが可能であるから、ぜひとも足を運んで見て欲しいと思う。5代目の凄さにマジで驚くこと請け合いである。
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