TEST RIDE

[試乗記]

フォード好きなら何としても味わいたい現代の名車 vol.2

2017 フォード シェルビー GT350

シェルビーならではのオーラに包まれる最高峰モデル

2020年に生産終了となったシェルビーGT350の中古車を取材した。

更新日:2024.10.01

文/石山英次 写真/古閑章郎

取材協力/BUBU / ミツオカ TEL 0120-17-2290 [ホームページ] [詳細情報]
     BUBU横浜 TEL 045-923-0077 [ホームページ] [詳細情報]

フォードが作った唯一無二の存在

 アメ車好きなら、フォード好きなら、マスタング系のアメリカンハイパフォーマンスたるシェルビーGT500とGT350は何としても味わいたい!

 個人的にはラプターを含めた計3台のフォードスペシャルマシンに乗れたならアメ車オーナー冥利に尽きると思う!

 中でもGT350は4年間限定モデルであったということで生産台数が少ないこと、個体があったとしてもハイパフォーマンスモデルだけに状態が気になること、さらに購入後のメンテナンスを含めたアフターを考えると、かなりシビアな選択眼が求められる。

 ということで、取材個体の2017年型シェルビーGT350である。

▲6thマスタング前期モデルのマスクをベースに開口部のデカいグリルや各部インテーク類のエア導入口が特徴のGT350。

▲リアフェンダーから4本出しエキゾーストにかけての迫力が圧倒的。

 シェルビーGT350は、2016年に登場した近年では稀に見る高性能モデルであり、ハードな作り込み(専用設計)により非常に手間のかかる存在だった。

 たとえば、フロントセクションの一部にカーボンパーツを使用し、ノーマルマスタングとは別構造になっている。だが、これにより高剛性と軽量化を実現している。

 たとえば、エンジン。搭載されるエンジンは5.2リッターV8NAエンジンで526hp、最大トルク429lb-ftを発生させるが、ポイントはレブリミット。なんと8250rpmと、アメ車としては超高回転型ユニットであった。

 この高回転を実現するためにフラットプレーンのクランクシャフトを採用し、しかも手組みである。

 すなわち、シェルビーGT350がたった4年で生産終了になったのはこうした専用設計が仇となってしまったと言っても過言ではなく、だが逆にこうした専用設計のマシンだからこそ希少価値が高く、当然乗ってもスペシャルな感覚で満たされる。

 そもそも8000rpm以上回るV8エンジン自体が稀なのだから。

▲搭載されるフォード謹製5.2リッターV8NAエンジンは、526hp、最大トルク429lb-ftを発生させる。レブリミットが8250rpmとアメ車としては超高回転型パワーユニット。

▲フロントセクションの一部にカーボンパーツを使用し軽量化と高剛性を実現。だがノーマルマスタングとは別構造になっているから、マイナーチェンジ後にもフロントマスクの変更ができないという事実があった。

▲エンジンを組み上げた担当者のネームが刻まれたプレートが貼られている。

 プラスして筆者がこのクルマが好きな理由は、とにかく唯一無二の雰囲気を発していること。そして締め上げられた箱型マシンのアメリカンマッスルカーであるということ。

 例えばビッグパワーで圧倒するヘビーなGT500とは一味違う俊敏なマッスルカーで、レーシーな雰囲気が伝わってくるし、この感覚は例えばマツダロードスターのような小型スポーツカーとも違うし、ダッジチャレンジャーヘルキャットとも違う。

 エンジンの息吹も含め、本当に唯一無二の存在だけにめちゃくちゃ刺激的であり、そこに物凄く惹かれるのだ。

▲純正ホイールにブレンボブレーキが健在。

▲ステアリングの持ち手部分がスエードになるなど変化が加えられハード&レーシーな雰囲気のコックピット。

▲センターコンソールには油圧、油温メーターが配置されている。

 さて、そんなGT350の2017年型は走行3.4万キロのBCD認定中古車。もとはアメリカ現地からBCD車両として日本に上陸し、日本で大切に乗られていた個体が再びBCDに戻ってきたということで、その程度はお墨付き。

 実際の個体を動かしたが、距離数に応じたヤレのようなものはほとんど感じない。ボディやホイール等にも瑕疵はなく、コンディションが際立った個体だった。

 今やアメリカ現地で車両を探しても5万キロ未満の車両はほとんどなく、仮にあっても1000万円を優に超える現地価格ということだから、この個体の価値は高い。

 「今、スーパースポーツ系モデルのアメリカ現地での価値は上がりっぱなしでして、そう簡単に入手出来るものではなくなりました」とBCDスタッフ。

 そういう意味でも、将来的にアメ車的世界遺産となるべき現存する個体と言っても過言ではないのである。

▲ミッションは、ストロークが短いスポーティなもの。低速走行時はクラッチの上下動のみで動かすことが可能なほどコントローラブル。

▲クラッチは想像するほど重くはなく、非常に扱いやすい。GT500と比較すれば断然軽い。

▲8000rpmを超える高回転型のV8エンジン自体がレアである。

▲激しいコーナリングGにも耐えうるようなマシンに必須のレカロ製バケットシート。GT350にはレカロのバケットシートが特によく似合う。

 くわえてBCDは、初期の頃に発売された「シェルビーGT350R」を輸入させたほどGT350には注目してきており、2020年に生産終了となって以降も常にアンテナを張り巡らせ良質な個体を探し続けている。

 「これまでにBCDが日本に導入したGT350は30台を超える」というから、当然ながらメンテナンス等の情報やノウハウが蓄えられているという点においても安心感が高い。

 昨今、EVシフトへの転換が鈍化しているというニュースを目にすることが多くなってきたが、鈍化というだけで、EVシフトへの基本的な流れは変わらない。それが証拠にダッジチャレンジャーはEVのダッジチャージャーに生まれ変わったのだ。

 なので少なくとも、これまで通りの脱V8は基本路線だろう。よってハイパワーV8に未来はなく、ちょっと大げさに言えば、現行型新車といま世に出ている中古車からしか選べない時代が確実にやって来る。てか、もうやってきている・・・・。

 となれば、シェルビーGT350のようなガソリンエンジン搭載のスペシャルマシンの希少価値はより一段と高くるに違いないから、そして入手が困難になるに違いないから、目の前に優良個体があるうちに是非とも乗ってみて欲しいと思うである。

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