シボレーコルベットの約70年に及ぶ栄光のFRヒストリーにおいて、1960年代に生まれた伝説のプロトタイプレーシングカーの名を受け継ぐ「グランスポーツ(Grand Sport=GS)」。
このC7グランスポーツは、歴史に幕を閉じた最後のFRコルベットのラインナップにおいて、エンジニアたちが最もピュアに走りを愉しめる黄金比を追求して作り上げた、いわば究極のドライバーズカー。
GMの設計思想は極めて贅沢だった。サーキットでの絶対的な速さやタイムを追い求めるZ06に対し、グランスポーツが目指したのは乗り手とクルマが完璧にシンクロする快感。

▲2017年型グランスポーツはBCD認定中古車で走行約3.6万キロ。

▲ボディカラーはブラックで、赤いハッシュマークの組みあわせが抜群にカッコイイ。
そのために与えられたパッケージは、まさに“いいとこ取り”の極みで、「Z06と共通の強靭なワイドシャシー」に「伝統の大排気量NAエンジン」を融合させるというもの。そしてC7コルベット自身が持ち合わせる、トランスアクスルレイアウトによる理想的な前後重量バランスによる強烈なコーナリングスピードを発揮する。
すなわち、上位モデルのワイドボディと強化された一級品の足回りを持ちながら、あえてエンジンは官能的な吹け上がりの自然吸気を組み合わせるスポーツ仕様という、ドライバーの五感を刺激するスポーツギアの精神を持っている。
外観は、全長4515ミリ×全幅1965ミリ×全高1230ミリという圧倒的なグラマラスさを誇り、タイヤ、ブレーキ、電子制御サスペンション(マグネティックライド)はすべてZ06譲りの一級品が奢られている。
で、その盤石の足回りに組み合わされるのが、460馬力を発生する6.2リッターV8の自然吸気LT1エンジン。過給器を持たないNAだからこそ、アクセルを開けた瞬間にリニアに立ち上がるパワー特性を持ち、0-60マイル(約96km/h)加速は3.6秒、0-100マイル(約160km/h)加速は約8.9秒、そして1/4マイル(ゼロヨン)は11.8秒(到達時速191km/h)という、FRスポーツとしては強烈な瞬発力をマーク。

▲搭載されるエンジンは6.2リッターV8OHV LT1エンジンで460hpを発生させる。

▲ボンネットインシュレーターの状態もご覧の通りかなり良好。

▲各種パーツの質感や工作精度はかなり高く、グラフィカルなメーター類と相まって、華やかな雰囲気が漂うインテリア。
大型空力パーツとの兼ね合いからメーカー公称最高速度は291km/hに留まるものの、ニュルブルクリンクでのタイムは「7分27秒」を叩き出す。
これはフロントが約40kg軽い(Z06比)ことによる卓越した旋回性能をもって、かつて世界を震撼させた先代C6型の超ハイパワーモデル「ZR1(647馬力)」の記録に肉薄した、コーナリングマシンの実力を証明する数字。
日本の公道やワインディングでも床まで踏み切ってV8の乾いたサウンドを手の内でコントロールするという、スポーツカー本来の操る歓びを味わわせてくれる。
さらにこのモデルは、頭上のルーフパネルを簡単に取り外せる「タルガルーフ」構造を採用。クーペとしての高いボディ剛性を強固に保ちながらも、気分に合わせて手軽にオープンエアを味わえる=大排気量OHVエンジン特有の地を這うような重低音と乾いたエキゾーストノートを頭上からダイレクトに浴びながら駆け抜ける快感は、このモデルだからこそ得られる特権。

▲GMが自社開発した8速ATは、スポーツカーに搭載すべく開発されたスペシャルな変速がもたらされるトルコンATである。

▲メーターは液晶ディスプレイになっており、タコメーターを中心としたスポーツカーならではのもの。

▲パドル操作も可能であり、そのシフトレスポンスはデュアルクラッチ・トランスミッションよりも素早いと言われている。
くわえて、最高出力で見ればZ06より200馬力近く劣るが、これがグランスポーツに大きなメリットをもたらしている。もともと過酷な650馬力の爆発的なパワーと強烈なGに耐えるよう設計された超強靭なZ06のボディ骨格に、あえて460馬力のNAエンジンを組み合わせているため、走行時にボディが受ける衝撃やストレスが圧倒的に少なくなる。
よって、長く乗り続けた場合でも、カッチリとした剛性感やハンドリングの正確性を長く維持できるという、アドバンテージを隠し持っているのである。
ちなみに、取材した個体の隣には同年代のC7Z06も展示されている。このZ06とグランスポーツは、両者異なるアプローチでFRの頂点へと登りつめたC7コルベットの傑作であり、Z06は極限の速さを、グランスポーツは異例のコーナリングマシンという特徴をもって自身をアピールする。

▲ブラックホイールの中にはブレンボ製大径ブレーキが鎮座する。赤いラインもハッシュマークと連動してGSらしさを表している。

▲ハッシュマークはGSならではの意匠。

▲GSにも市販車最高レベルの質感、ホールド性、剛性を備えた純正シートが備わる。
この取材した個体は走行距離約3.6万キロという、想像以上のコンディション。ボディカラーとハッシュマークの組み合わせも良く、ボディ周りの状態は非常に良好。隣にあるZ06も素晴らしいコンディションだが、このGSも全く引けを取らない。また、GMサービスセンターによるアフターメンテナンスが得られるだけに、GSの走りを思う存分楽しむことが可能だろう。
「年々良質な個体が減っていく中でピカイチの個体だと自負しております。BCD認定車両ですから管理下にあった個体ですし、今、あえてFRのコルベットをお求めになる方には良い選択肢の一つではないでしょうか」
すでに絶版となっているC7コルベットはFRコルベットを象徴する記念碑的存在。それをあえて今所有するということは、アメリカが世界に誇ったスポーツカーの「偉大なる一時代」を共有することに他ならない。
22,000円
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