確かに新型トレイルブレイザーは洗練され、いかにも21世紀のSUVという感じ、いわゆる「カーライク(乗用車的・セダン的)」なクルマに仕上がった素晴らしい性能の持ち主だ。だが、日本人が日本車のように使うにはまだまだボディサイズが大きいし、今までのブレイザーユーザーや国産SUVからの乗り換えユーザー組には違和感があることは否めない。
しかし、97年モデル以降のブレイザーなら、日本車と同じようにウインカーレバーが右にセットされ、完全なる右ハンドル仕様になっている。全幅1765ミリというサイズは今や日本のSUVよりもコンパクトと言っていいほどだし。ハンドルの切れ角も大きく、小回り性能は日本のSUVよりも優れているくらいだ。
にもかかわらず、このクルマは紛れもなくアメリカンなのだ。エンジンはたっぷりとした低速トルクを持った4.3リッターV6ボルテック(アストロと同じ!)で、これに4速ATとイージードライブが可能なオートトラック4WDが組み合わされる。ゆったりとした走りからいざというときの強烈な加速性能、パワフルなオフロード走行までもこなす。シャシーはしっかりとしたラダーフレームを持つタフな設計で、街中での使いやすさとともに、本格的なオフロードでもビクともしないポテンシャルを秘めているのだ。
実は、このクルマの基本設計は83年にデビューした初代のS10ブレイザーから受け継いでいるもので、すでに25年以上も前のものといっていい。最新の乗用車的なSUVに比べ、乗り心地などにやや無骨な感じはあるものの、快適さは十分。長きにわたって熟成されてきた性能は、もちろん現在でも古さを感じさせない。最新のエアバッグシステム、ABS、4WD機構なども備えている。ツーリングライドサスペンションを装備し、オンロードでのハンドリングもスポーティ。軟派なコンパクトSUVが多くなってきた中で、トラックベースのタフなSUVとして貴重な存在と言ってもいい。もちろん熟成はメカニズムだけではなく、使い勝手の面でもなされている。テールゲートのガラスハッチやワンタッチで折り畳めるリアシートなども備える。
試乗での印象は、おおらかさに尽きる。右ハンドルも用意され、何の予備知識なしに乗り込んでも、コントロール、スイッチ類は常識的な位置にあるし、誤作動させにくいように、形状や位置などもよく考えられている。たっぷりしたサイズのシートは、ルーズに座っても問題ない。リアシートはワンタッチで分割して畳め、しかもバックレストを倒すのに伴ってヘッドレストも自動的に折れるので、いちいち取り外す必要もない。
ステアリングは、昔のアメ車のように無闇に軽すぎない。しかもハンドルはよく切れる。搭載されるV6エンジンは、豊かなトルクのおかげで発進加速も追い越し加速も楽勝でにこなし、高速道路では低いエンジン回転で、安楽に巡航することが可能である。
足回りは、本格的なクロカン4WDにも負けないタフさを持ち合わせている。最近は、より乗用車的な最新SUVが街を闊歩しているが、そういったクルマたちと比較しても遜色ないばかりか、オフロード性能は断然ブレイザーが上。さらに4LOW/4HIGHのほかに「オートトラック」と呼ばれるオート4WDが選べる。これは、後輪が空転した時にトルクを前輪に伝達する優れものだ。ブレイザーは、なりは小さいが、他のシボレーSUV同様、タフさとおおらかさを兼ね備えた万能車である。
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