この二代目エスカレードを語るとき、絶対に忘れられない存在、それがブルガリである。
キャデラックといえば、それまではどちらかというと「オヤジの乗る高級セダン」という印象が強かった。だが、そのイメージをガラリと変える新しい世代に向けたコンセプトカーが提案されることになった。そのためには若い世代にもアピールできて、なおかつステータス性、クオリティともに信頼のおけるラグジュアリーブランドと手を組むことが新戦略の要になると考えられたのだ。
ブルガリは、まさにその条件に合致した最適なパートナーだった。エスカレードのインパネに設えられたブルガリの時計、後にカスタム業界において一世を風靡するあのブルガリの時計は、まさしく新生代キャデラックの象徴である。
そうした新世代のブランドイメージを引き下げて登場した新型エスカレードは全長5100mm、全幅2040mm、全高1950mmという堂々たるフルサイズボディのSUV。日本の狭い道では少々大きすぎるといったきらいはあるが、スクエアなボディデザインを持っていることもあり、実際に運転してみると車両感覚はつかみやすく、思ったよりも運転は楽。ドライビングポジションは、ステアリングが近くなる典型的なアメ車のものだが、アップライトに座れるので視界もよく、取り回しは良好である。
エンジンは6リッターV8OHV。最高出力は350ps/5200rpm、最大トルクは52.3kg-m/4000rpmというスペックを誇る。OHVではあるが新世代のボルテックエンジンらしく洗練され、スムーズでパワフル。大排気量のアメリカンV8にしては比較的高回転型といっていい。
車両重量は2.53トンと重量級だが、このエンジンのおかげで、鈍重さはまったく感じない。アクセルを踏み込むとボディを軽々と加速させるだけの動力性能を持っている。アクセルワークひとつでアクティブにも走れるし、高級車らしいジェントルな走りもできる。本来は当たり前のことなのだが、最近のハイパワーSUVにはちょっとアクセルを踏み込むとエンジンがすぐに全開になってしまうクルマが多く、こういった基本ができていないクルマが多く存在する。
足回りは最新のキャデラックらしく、かなりのハイテク機構が奢られている。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアが5リンク式だが、そこに電子制御サスペンションのRSS、アンチスピンデバイスのスタビリトラックが搭載されている。さらにAWDはフルタイム方式で、フロントに38%、リアに62%というFRよりの駆動力配分になっている。
これらハイテクのおかげで、エスカレードは大型SUVとは思えない乗り心地の良さとスポーティなハンドリング、操縦安定性の高さを発揮する。
普通に走っているときには路面のうねりやラフな部分を軽くいなしながらフラットな乗り心地を提供してくれる。いかにもアメリカの高級車という感じの乗り味。昔からの「キャデラックライド」といわれる、ゆったりとした乗り心地の良さだ。
しかし、ひとたびコーナーに向かってハンドルを切るとRSSがロールを最適に制御。しっかりと踏ん張るサスペンションとハンドルの手応えによってスポーティな面を見せる。ワインディングロードでも、大きなボディがまるでスポーツセダンのようにキビキビと反応してくれるのだ。重たいボディはコントロールが効かなくなると手が付けられなくなるが、エスカレードはその点でもしっかりと躾られている。フルタイム方式のAWDモデルなので、舗装路を走っている限り、よほど乱暴なことをしなければこのクルマがトラクションを失うことはない。だが、急な路面の変化や天候の変化などに遭遇したときにはスタビリトラックがクルマをスピンから防ぎ、ドライバーを助けてくれる。
エスカレードはSUVならではのタフネスはもちろん、キャデラックとしての豪華さや快適性を備え、オフロードからハイウエイ、ワインディングロードまでと、道を選ばないクルマだ。
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